ガイアックス<3775>とNPO法人ドットジェイピーは、8月30日、ブロックチェーン技術を活用し、非営利組織をDAO(※1)へ移行させ、組織活動を促進するためのDAO化プロジェクトを、日本で初めて(※2)開始すると発表した。
これまでの「社員だけによるプラットフォーム運営」から、DAOという「ユーザーや社外の協力者も巻き込み、一体となったプラットフォーム運営」という取り組みを通じて、主にNPO法人などの非営利組織が抱える人材リソース不足、PRやマーケティング不足を補いながら、社会認知を獲得し、社会課題の改善・解決のスピードを飛躍的に向上させる事業モデルを提示していくとしている。
ドットジェイピーは「若者の投票率向上」を目標に、1998年に設立された。現在、全国35の拠点、700名の大学生スタッフが所属し、大学生を対象としたインターンシッププログラム(議員事務所・大使館や国際機関・NPOなど)を運営し、25年間で4万人が参加、また国内最大規模の政策コンテストも運営している。
ドットジェイピーはこれまで「若者の投票率向上のためのプラットフォーム」を運営してきたものの、本プロジェクトでは、過去25年間の知見をもとに、ブロックチェーン技術を活用したインセンティブ設計を組み込むことで、まずは組織内の大学生スタッフが、より自律的にこのプラットフォーム運営に取り組める基盤を構築する。
さらに将来的にはインターン生や受入議員事務所のみならず、あらゆる個人・法人に対してこのプラットフォームを開放し、トークン付与などの運営ルールを定めながら、若者の投票率向上という目標を達成するDAO実現を目指すとしている。
※1:Decentralized Autonomous Organizationの略。分散型自律組織。定められたルールに則って自律して完全自動で動き続ける。
※2:ガイアックス調べ。当社開発部長であり、日本ブロックチェーン協会 理事およびISO/TC307 国内審議委員を務める峯荒夢より、NPO法人自体をDAOへ移行する当該取り組みを理事会で決定した前例は確認していないとのこと。
■ドットジェイピーDAO化プロジェクト 3つの特徴
① 大学生主体の組織活動にブロックチェーン技術を導入
岸田政権が先月7日に閣議決定した「骨太の方針2022」内で、web3(ブロックチェーン技術を活用した次世代の分散型インターネット)への注力が明記されており、そのweb3の最たるものとして注目されているのがDAO。
ドットジェイピーは、700名程度の大学生が中心となって活動するNPO法人です。若い世代がブロックチェーン技術を活用することで、これまでにない組織の枠を超えた、新しい形の課題解決プラットフォームが誕生すると同時に、大学生スタッフ自身も活動を通じてweb3の知見を獲得することができる。
② 活動で獲得できるトークン(NFTを含む)は事業運営に必要な経費として消費可能
活動の中で大学生スタッフが獲得できるトークンは、事業運営に必要な書籍購入費、交通費などとして消費できるようにする。スタッフの活動へのモチベーションが向上することを目指した仕組み。
③ 協力者の貢献を可視化
インターン生を受け入れてくださる議員事務所をはじめ、プラットフォーム運営に協力してくださる方々にもトークン(NFTを含む)を配布することを計画している。
大学生スタッフ、インターン生、議員事務所との交流機会や限定イベントへのご招待などインセンティブを設計することで、より長期にわたってプラットフォーム運営に協力していただける環境を整えている。
■ドットジェイピーDAO化プロジェクト 概要
1.初期フェーズ(DAO化に向けた準備期)
・大学生スタッフ、社員にNFTを配布し、Discord内でのコミュニケーションを促進。
・大学生スタッフの努力を可視化し、表彰対象者をNFT保有者による投票で決定。
・各地区の事業を推進するコミュニティマネジャーをNFT保有者による選挙で選出。
・獲得NFTの量によって、申請可能予算額を増減させるなどインセンティブを設計。
2.第二フェーズ
・大学生スタッフ、社員の活動進捗を図る指標をスマートコントラクト化。
・状況をみながらユーティリティトークンの発行および活動内で消費できる仕組みも検討。
3.第三フェーズ
大学生スタッフ、社員の動向を見つつ、将来的にはドットジェイピーという組織の枠を超え、社内・社外、個人・法人、営利・非営利あらゆる方々が本事業プラットフォームDAOに参画できる仕組みを構築し、DAO内のメンバーが自由に提案、議論を重ね、若者の投票率向上のための活動を飛躍的にスピードアップさせることを目指す。
■今後の展望
ドットジェイピー
・22年末までに大学生スタッフ700人にトークン(NFTを含む)を発行。まずは組織内におけるインセンティブの仕組みを設計する。
・2024年3月までに外部へ公開し、オープンなDAO化を目指す。
ガイアックス
・2022年末までに20以上のDAO支援実施を目指す。