【ハイカジ道】タツマキゲームズ代表・畑佐氏の特別連載「全米一位への道」…第5回テーマは「広告動画の作り方と、気をつけるべきポイント」

畑佐雄大 タツマキゲームズ代表取締役
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第5回:広告動画の作り方と、気をつけるべきポイント

 ハイパーカジュアルゲームを中心に開発やパブリッシングをしている「タツマキゲームズ株式会社」代表の畑佐(はたさ)と申します。季節の変わり目で見事に風邪をひきかけてしまいましたが、エナドリと家系ラーメンを摂り入れることで事なきを得ました。さて、5回目となる今回はゲームづくりと同じくらい大切な「広告動画作り」について記載していきます!

基本のおさらい

 前回の記事でも少し触れましたが、プロトタイプをつくって最初に行なうCPIテストでは、およそ4本程度の広告動画をバリエーションとして作成します。動画の長さは20秒〜30秒以内で縦横比は4:5(1080x1350)、mp4形式になっていれば問題ありません。

 広告作成につかうツールは、簡単な動画編集(トリミング、カット等)ができてmp4で書き出すことができれば何でも構いませんが、タツマキゲームズではAdobeのAfter Effectsを使用しています(ツールが本来持つ機能の1割も使いこなせてないと思いますが…)


▲タツマキゲームズではAfter Effectsで編集してます。

広告動画で大切なこと

① 一番大事な「3秒ルール」

 動画広告でいちばん大切なもの。それは冒頭の3秒です。動画広告は主にSNS上で表示されることになりますが、ほとんどの人は3秒から5秒以内にスキップして別のコンテンツに移ってしまうそうです。つまり、視線をとどめてもらっているその僅かな時間の間に、自分が作ったゲームのルールやモチーフを理解してもらい、さらに「面白そう」「やってみたい」という感情までも想起させなければいけないということになります。

 20秒〜30秒あるからといって、ぶっちゃけ後半の展開はそこまでこだわって調整しなくても大丈夫です(笑) むしろ、冒頭の3秒でどれだけ見る人の興味を引くことができるかどうか、それが広告動画において最も大切なことなのです。

 また、ゲームのルールやモチーフに関していえば、プロトタイプが出来上がっている時点でもう広告動画だけでは変えようがありません。動画を編集している最中に「あれ…これじゃ伝わらないかも…」と思うことがあるかもしれませんが、せっかくプロトタイプが出来ているのであれば、一度CPIテストを行なってみましょう。

 そして、次の企画をつくるときは初めの段階からこのゲームは3秒で伝わるかどうかにも気を配って考えていくと、どんどん練度が上がっていくと思います。

② 動画内の要素は最小限に

 次に大事なこととして「動画の中の要素は徹底的に削ぎ落とす」ということがあります。特に注意すべきはボタンやコイン、ゲージといったユーザーインターフェース(UI)です。

 攻撃ボタンのように「それがないとどうやって動かしているのかが分からない」ようなUIは残すべきですが、ゲームプレイに直接関係ないUIは、予めUnity上で表示をオフにした状態で画面を収録したものを使うようにしましょう。短い時間で目に飛び込んでくる情報量を減らすことによって、よりゲーム本来のコンセプトに注目・集中してもらいやすくなり、広告のパフォーマンスも上がります。


③ 余計なことはしない

 最後に②とも関連しますが、プロトタイプには入っていない演出やカメラの動き、エフェクトといった過度な装飾を動画上で載せるのは控えるようにしましょう(少なくともCPIテストの段階では)。

 また、冒頭3秒の興味を引くために、ゲームと関係ない、実写の気持ちいい映像やショッキングな映像などをいれるテクニックも存在しますが、こちらもCPIテストの時点では行わないほうがベターです。あくまでもCPIテストの段階では、そのゲームのプロトタイプがもつ”素”のポテンシャルを測るという目的で、収録した動画を切り貼りする程度の編集に留めておくようにしましょう。

 CPIテストを通過した後で、そこからさらに低いCPIを追求するために様々な手法やテクニックを使って大量の広告バリエーションをつくっていくことになりますので!


▲こういう手法は、まだ使わなくて大丈夫。

興味を引ける動画とは?

 広告動画の目的は何でしょうか?ハイパーカジュアルにおいてそれは「アプリをインストールしてもらうこと」に他なりません。アプリをインストールしてもらうために必要なのは、動画を見た人が「気持ちよさそう」とか「自分ならもっとうまくできる!」とか「なんだこれは!やってみたい!」とか、何らかの感情が動く必要があるのだと思っています。無感情のままでは、なかなか行動に移しにくいですからね。

 そこでこの段落では普段私が「どうやったら感情を動かせるかな〜」と考える上で骨子にしている「感情を動かしやすい動画内容」のパターンについて、自分なりの解釈でお伝えしようと思います。パターンは、大きく4つに分けられます。

A. 少しの不安と大きな満足

 たとえば草がボーボーに生えて風に揺られている荒れた畑をみるとちょっとだけ不安で物悲しい気持ちになりますよね。それを一気に草刈機でドワーっと刈り取って畑をどんどん再生していったら、最初に気持ちがちょっとだけネガティブに振れていた分、気持ちよさや満足感も増すのではないでしょうか。最初の方に「大丈夫かなこれ…」と思わせるような、ネガティブな印象をほんの少しだけ置いておくのがこのポイントです。


B. キモいけど触れてみたい…

 ギリギリの長さで爪を切って深爪になっちゃう広告や、ニキビをプチュっと潰すようなハイカジの広告を見たことがあるかもしれません…。正直、結構キモかったりグロかったりしますよね。あまりやりすぎるともちろん逆効果ですが、この「ちょっとキモい」「うわ〜痛そう」という感情は、うまくやると「でもゲームの中ならやってみたいかも…」という感情の想起につなげることができます。怖いもの見たさってやつかもしれません。


C. 超ハイテンション無双

 これはもう説明する必要がないかもしれませんが、冒頭のっけから超ハイテンションで、うひょ〜気持ちいー!みたいな勢いのあるパターンです。最近Twitterやtiktokで、とんでもない数の小さな敵キャラがプレイヤーに迫ってきて、それをワッサワッサと倒しまくる広告を見たことがある方も多いと思いますが、まさにそんな感じのパターンです(笑)


D. 続きをどうぞ!

 最後のこれは少しテクニカルな話かもしれません。要するに「動画の続きをプレイヤーに委ねる」ということです。たとえばクイズゲームの場合は「正解はどっち?」のような展開にして思わずタップしてしまうような構成にしたり、アクションゲームならあえてココから盛り上がりそう!という気になるところで終わらせたり。ちょっと小賢しい感じもしますが「続きがやりたい」と思ってもらえているなら、インストールしてくれる確率も上がります。

今回のまとめ

 いかがでしたでしょうか? 広告動画をつくっているとどうしてもパターンが偏ってしまいがちなのですが、上記のようなフレームを元に考えることで、効果的にパターンをつくり分けることができるのではないかと思います。

 いかにして見ている人の視線を留め、感情を動かしてアプリのインストールにつなげるか、というのはハイカジづくりにおける非常に重要な要素であり、また検証や実験しがいのある面白いポイントでもあります。ぜひこれを参考にしていただき、動画広告のバリエーションが広がっていったら嬉しいです。

メールやDMはお気軽に!

 タツマキゲームズではハイパーカジュアルのあらゆるご相談をお受けしております! ハイカジに興味を持ったり始めてみようかなという人を増やしたいと思っていますので、まずはお気軽にメールやTwitterでご連絡ください。この連載で書いてほしい内容なども大歓迎です。ホントに何でも聞いてください、包み隠さずお伝えします(笑)

メール:info@tatsumaki.games 
Twitter:ハタサ@タツマキゲームズ(@noots_87

次回予告

 次回は「テスト通過のボーダーラインと判断基準」というテーマで掲載予定です。お楽しみに!

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