【決算レポート】カヤック、第3四半期(7~9月)は過去最高の売上高を達成 子会社の上場も決定 グローバルな広告市況の悪化によるハイカジの収益性低下が課題に

柴田正之 編集部記者
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カヤック<3904>の2022年12月期の第3四半期(7~9月)の連結決算は、第3四半期としては過去最高の売上高を達成したものの、グローバルな広告市況の悪化により、ハイパーカジュアルゲーム(以下、ハイカジ)の収益性が低下したことで営業利益率も低下した。

売上高35億8400万円(前年同期比9.2%増)
営業利益2億4100万円(同13.1%減)
経常利益2億3200万円(同19.4%減)
最終利益1億2800万円(同19.3%減)

まずは、ゲームエンタメサービスの状況を見てみると、子会社カヤックアキバスタジオの受託案件の谷間となったことに加え、このところの業績のけん引役となってきたハイカジがグローバルな広告市況の悪化を受け苦戦したこともあり、前年同期比で0.6%の減収となった。

そうした中で、新作『Scale Man』をリリースし、四半期に1本のハイカジ新作リリースというペースを維持しつつ、グローバルな広告市況の悪化で、ユーザーからの広告収益(LTV)が下がった中でも利益を出すために獲得広告の入札単価を調整する運用を行った。

また、新しい領域へのチャレンジとして、同社初のライブゲーム『ヌシ釣り』をMirrativで9月15日から配信開始した。

さらに、子会社のカヤックアキバスタジオが、AKIBA観光協議会とともに、NFTやトークンといったWeb3.0時代の新しいビジネスを創出するコンソーシアム形成を目的とした「AKIBA3.0」構想を発表した。その第一弾企画として、手塚プロダクションと連携の二次創作NFTプロジェクト「ATOM Genesis」を展開する。

eスポーツサービスについては、オミクロン株の流行もあり、eスポーツ大会などの運営に関する受託案件が軟調に推移していたが、この四半期は復調の兆しを見せる形となり、前年同期比で23.8%の増収となった。

また、大きなトピックとして、ウェルプレイド・ライゼストの東京証券取引所グロース市場の上場が承認された。なお、上場時には同社の保有株の売出しは実施しない方針だが、上場後の株価のトレンドによっては売出しの可能性があるかもしれないが、今の段階では具体的に決まっていないとしている。

また、M&Aの動きも活発化しており、小学生向けeスポーツ教室を運営するeSP(エスピー)を8月に子会社化したほか、東南アジア向けeスポーツ大会ツールを提供するPapillon(パピヨン)も10月に子会社化している。

なお、2022年12月期の通期業績予想については、売上高は想定通りの進行となっているとして従来予想を据え置いており、以下のとおり。

直近のゲームエンタメサービスの利益率での苦戦をどう解消していくのかが通期計画達成への1つのポイントとなってきそうだ。

売上高150億円(前期比19.4%増)
営業利益15億円(同31.2%増)
経常利益15億円(同18.4%増)
最終利益10億円(同20.6%増)

株式会社カヤック
http://www.kayac.com/

会社情報

会社名
株式会社カヤック
設立
2005年1月
代表者
代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
決算期
12月
直近業績
売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3904
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