カヤック<3904>の2023年12月期の第2四半期(4~6月)の連結決算は、主力事業のハイパーカジュアルゲーム(ハイカジ)を含む主要な事業のうちの4事業の不調が重なったことで利益率が大きく低下した。
特に営業利益率は約4年ぶりの低水準まで落ち込んだ。
売上高38億9300万円(前年同期比0.0%増)
営業利益2700万円(同91.8%減)
経常利益1億100万円(同72.8%減)
最終利益5000万円(同80.7%減)
■前四半期の最高益から急激に利益率が低下
前回2023年12月期の第1四半期(1~3月)の連結決算を振り返ってみると、ハイカジ事業やメタバースなどを中心にゲームエンタメ領域が引き続き好調に推移し、営業利益は四半期ベースで上場来最高を記録した。
今回の第2四半期決算はそこからの急激な利益率低下という形になっているわけだ。
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■ハイカジ事業の広告単価コントロールの一時的な不調に
ゲームエンタメサービスの状況を見てみると、第2四半期の売上高は前年同期比1.8%増となったものの、ハイカジ事業の広告配信を担う外部システムのアップデートに伴う広告単価コントロールの不調により、広告宣伝費が大きく膨らむ形になった。これがこの四半期の同社の営業利益率低下の最大の要因と言える。
なお、この広告単価コントロールの不調は、約1ヵ月間でほぼ回復し、現在は安定した状況にあるという。
一方で、ハイカジの新作については、過去最多となる5本を四半期中にリリースし、今期の目標8本に対し、上半期で7本の開発が完了した。
また、ハイカジと近いがより成長要素を強化したハイブリッドカジュアルゲームに進出することを決定した。これは外部環境の変化に合わせたポートフォリオの拡充という位置付けになり、今後新規投資を進めていくとしている。
この四半期のトピックとしては、KDDIのメタバースプラットフォーム「αU metaverse」内で生成AIを活用したゲームを開発した。今後も同社は、長年培ってきたメタバース関連の知見を活かし、AIや音声通信、大規模同時接続技術など先端テクノロジーを活用した技術とコンテンツを提供していくという。
■「Tonamel」の大会開催数が海外で急拡大
eスポーツサービスは、子会社ウェルプレイド・ライゼスト<9565>の大型受託案件の納品時期の影響が大きく、前年同期比で11.3%の減収となった。
そうした中で昨年M&AしたPapillon社を5月に合併し、本格的に東南アジアを中心とした海外市場にフォーカスしたことで、「Tonamel」の海外での大会開催が大きく伸びており、直前四半期比で1013.3%という増加率になっている。
■通期予想はひとまず据え置きに
2023年12月期の通期業績予想については、従来予想から変更なく、以下のとおり。
期初の通期予想に対する第2四半期時点での進捗率は売上高が44.5%、営業利益は29.8%、経常利益は38.0%、純利益は36.8%で推移しているが、基本的には下期偏重の予算となっており、ひとまず予想を据え置くとしている。
売上高182億円(前期比10.3%増)
営業利益13億5000万円(同11.4%増)
経常利益13億5000万円(同10.7%増)
最終利益8億5000万円(同8.5%増)
会社情報
- 会社名
- 株式会社カヤック
- 設立
- 2005年1月
- 代表者
- 代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3904