【決算レポート】モブキャストHD、第3四半期(7~9月)は「転スラ」ゲームアプリの競合が響き大幅減収に Webtoon・電子漫画市場に向けた展開を推進

柴田正之 編集部記者
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モブキャストホールディングス<3664>の2022年12月期の第3四半期(7~9月)の連結決算は、子会社モブキャストゲームスが配信中の『転生したらスライムだった件~魔国連邦創世記~』の競合タイトルによるマイナス影響が想定を上回り、引き続き大幅な減収となった。

なお、最終損益にはモブキャストゲームスにて和解金および貸倒損失などを特別損失として計上したことも影響している。

売上高8億3300万円(前年同期比22.6%減)
営業損益1億1400万円の赤字(前年同期1億1400万円の赤字)
経常損益1億2400万円の赤字(同1億500万円の赤字)
最終損益1億3200万円の赤字(同2億100万円の赤字)
※「収益認識に関する会計基準」等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、前年同期比較は参考値。

モバイルゲーム事業については、前述のとおり、『転生したらスライムだった件~魔国連邦創世記~』の苦戦が大きく響いた。そうした中でモバイルゲーム事業を展開するモブキャストゲームスは、IP開発への取り組みとして、Webtoon・電子漫画市場に向けた展開を推進した。その1つの形として、11月1日には原作を手掛けるSMARTOON「異世界に行ったら分裂してしまった」のピッコマでの独占配信を開始した。

また、スマートフォン向けオリジナルゲーム『グル~ミ~のじゃじゃぐまジャ~ニ~』を10月31日に配信開始したほか、スマートフォン向けゲーム『炎炎ノ消防隊 炎舞ノ章』のクローズドベータテストを10月上旬に実施し、クオリティアップの開発を推進している。

キッチン雑貨事業は、子会社のゆとりの空間が新型コロナウィルス第7波の影響を受けたものの、新規事業が底支えし、売上は前年と同水準を維持した。その一方で、構造改革の成果により原価率が圧縮され、営業損益は改善した。

具体的には、不採算店である心斎橋大丸・滋賀竜王アウトレットの2店舗を撤退により、店舗人件費・店舗家賃を削減したほか、構造改革の目的の一つである全商品の自社開発化により商品力、販売力を強化した。

「継続企業の前提に関する注記」の早期解消に向けた取り組みの進捗については、海外拠点の撤退により経営資源を国内体制に集中することは完了した。

一方で業績面での取り組みは、新方針「経営資源をグループIPビジネスへ集中」により、来期黒字化への体制を整備している段階にある。さらに、グループ収益にインパクトを与える保有資産の売却プロジェクトを引き続き推進しており、保有資産の売却などによるキャッシュフローの改善にも引き続き取り組んでいる。

なお、2022年12月期通期の予想は、第2四半期決算の発表時に開示された修正予想から変更なく、以下のとおり。

売上高37億9100万円(前期比16.4%減)
営業損益3億1500万円の赤字(前期3億7300万円の赤字)

株式会社モブキャストホールディングス
https://mobcast.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社モブキャストホールディングス
設立
2004年3月
代表者
代表取締役CEO 藪 考樹
決算期
12月
直近業績
売上高33億7100万円、営業損益4億2800万円の赤字、経常損益4億3600万円の赤字、最終損益3億8000万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3664
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