家庭用ゲーム大手6社、9月中間決算は「明暗」 新作告知とアニメ展開でリピート販売伸ばしたカプコンが過去最高業績 多くは新作投入する下期偏重の計画

家庭用ゲーム大手6社の9月中間決算が出揃った。3社が本業の儲けを示す営業利益が増益となった一方、残りの3社が減益となった。いずれもアニメやアミューズメント関連、遊技機、スポーツ事業など複数事業を展開しているため、ゲーム事業にフォーカスした場合でも3社が増益、3社が減益だった。スクエニHD<9684>とカプコン<9697>、コナミグループ<9766>が増益となった一方、バンダイナムコHD<7832>とコーエーテクモHD<3635>、セガサミーHD<6460>が減益となった。
【ゲーム大手9月中間決算】
【大手ゲーム各社のゲーム事業の業績】


玩具・ゲーム業界では、年末・年始の商戦にあわせて新作タイトルを市場に投入するため、伝統的に特定の四半期(多くは下期)に収益が偏重する傾向が強い。家庭用ゲーム大手でも、モバイルゲームの比率が高かった時期は四半期ごとの収益は相対的に平準化していたが、ここ最近は家庭用ゲームソフトの比率が再び上がるとともに、大型コンソールゲームの成否によって収益が大きく変わる、伝統的な下期偏重に戻りつつある。
そうなると、大手ゲームの決算は年間単位で評価することが望ましいのだが、それでも中間期の状況を評価すると、大きな成功を収めたのがカプコンだろう。中間期としては過去最高業績を達成した。『バイオハザード レクイエム』が「gamescom award 2025」で最多4冠を達成し、過去タイトルの販売増につなげたほか、『デビル メイ クライ 5』がNetflixとのアニメの相乗効果を生み出し、売上を伸ばした。『ストリートファイター6』もeスポーツ展開、そしてダウンロードコンテンツの配信も奏功して販売を伸ばした。
過年度発売タイトルまたはリピートタイトルは、前期以前に発売したゲームタイトルで、開発費の計上がすでに完了している。そのため、売上=利益とまではいかないものの、採算性が高い点に特徴がある。各種デジタルプラットフォームにおける「セール」の効果が徐々に落ちる中、カプコンならではの取り組みといえるかもしれない。


コナミグループは、大型アップデートを実施した『eFootball』の収益貢献に加えて、『METAL GEAR SOLID ∆: SNAKE EATER』や『SILENT HILL f』が初動で100万本を突破するなど収益に寄与した。『桃太郎電鉄2 ~あなたの町も きっとある~ 東日本編+西日本編』など期待作が控えている(記事執筆時点では発売中)。


スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>については、費用削減で増益を達成した。HD(High-Definition)ゲームの開発費の償却負担や広告宣伝費が減少したことに加えて、スマートフォンゲームでストア外決済の導入による収益改善などが増益要因になったとのこと。こちらは『ドラゴンクエストI&II』や『オクトパストラベラー0』など新作次第といえるだろう。


バンダイナムコHDは増収減益だった。『ELDEN RING NIGHTREIGN』がワールドワイドでヒットする一方、リピートタイトルは価格施策などにより収益性が低下したという。また、前年同期は「ELDEN RING」の大型ダウンロードコンテンツ「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」が大ヒットしていた。モバイルゲームは、新作『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』が大ヒットして想定を上回る収益を獲得した。『ELDEN RING NIGHTREIGN』のDLC、『CODE VEIN II』など新作を下期に発売する。


セガサミーHDは、増収減益となった。主力タイトルを投入したものの、フルゲーム販売とRovioの業績が想定を下回ったことが響いた。その一方で、サブスクリプション向けタイトル提供、キャラクターライセンス収入、DLCの販売は良好だったという。『Football Manager 2026』や『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』など新作が期待されている。


コーエーテクモHDは、減収減益だった。オンライン・モバイル分野の売上が大きく減少したことが響いたという。2023年度に配信を開始したモバイルタイトルのロイヤリティ収入が減少し、オンライン・モバイル分野の売上は197億円から157億円へ約40億円減少したとのこと。コンソール・PC分野の売上はほぼ前年並み。『アトリエ』シリーズの新作を9月末に発売し、既存タイトル群のリピート販売が底堅く推移した。『ゼルダ無双 封印戦記』『仁王3』『ぽこあ ポケモン』など大型タイトルを下期に集中的に投入する予定。


会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1696億400万円、営業利益657億7700万円、経常利益656億3500万円、最終利益484億5300万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3245億0600万円、営業利益405億8000万円、経常利益409億3900万円、最終利益244億1400万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4216億200万円、営業利益1019億4400万円、最終利益746億9200万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高831億5000万円、営業利益321億1900万円、経常利益499億8800万円、最終利益376億2800万円(202年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 浅古 有寿
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆2415億1300万円、営業利益1802億2900万円、経常利益1864億7000万円、最終利益1293億100万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4289億4800万円、営業利益481億2400万円、経常利益531億1400万円、最終利益450億5100万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460