MindaRynが1stアルバム「My Journey」に込めた思い タイから日本のアニソン界へ、それはまるで「異世界の旅のよう」

去る12月21日に自身初の1stアルバム「My Journey」をリリースしたMindaRyn。タイ出身の彼女はアニソンカバー動画を中心にYouTuberとしての活動をスタートすると、高い歌唱力と語学力で日本やタイを中心に世界中から多くの支持を集めることになる。
そんな人気を受け、2020年11月には満を持してLantisよりアーティストデビュー。『神達に拾われた男』、『サクガン』、『ありふれた職業で世界最強』、そして『転生したらスライムだった件』と、数々のアニメとタイアップを果たしてきた。

今回、記念となる1stアルバムリリースのタイミングでこれまでの道のりを振り返ってもらうとともに、アルバムに込めた思い、さらに最新のタイアップ作品である『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』についてなど、さまざまなことを伺った。

デビューとともに訪れたコロナ禍、そして『転スラ』との巡り合い

――1stシングルのリリースから約2年をかけて今回のアルバム「My Journey」が誕生しましたが、ここまでの道のりはいかがでしたか。

この2年間は本当にたくさんのことがありました。デビューが2020年で、すぐに新型コロナウイルスが流行したためほとんど日本に来れなかったんです。2ndシングルから4thシングルはタイからリモートで制作する環境で、大変であり、不安でもありました。
日本でイベントやライブをやることに憧れていたのに、それもできない。なによりファンの方々と会うこともできないので落ち込むこともありました。そんなとき、「Shine」や「Daylight」といった私自身の楽曲から元気をもらうことも多かったです。

――現在は日本で活動することも多くなったと思います。あらためて、日本に対してはどんな印象をお持ちですか

とても街がきれいで、素敵な国です! だけど電車が多すぎて、迷うことも多い(笑)。普通の電車と急行電車の見分け方は今でも悩みます。

――(笑)。ちなみに、デビュー当時からアルバムを作りたいと考えていたのですか?

実はデビュー当時はアルバムが作れるなんて想像していませんでした。1stシングルがリリースできて、コロナ禍でも2ndシングルが制作できて…というひとつひとつの過程をクリアしていく中で、「ひょっとしたらアルバムも作れるんじゃ…」と考えるようになりました。もちろん、ここまでこれたのはスタッフの皆さんの力が大きいですし、本当に感謝しています。

――1stシングル「BLUE ROSE knows」は、『神達に拾われた男』のエンディングテーマでしたが、ご自身の楽曲がテレビから流れた瞬間はいかがでしたか。

めっちゃ泣きました(笑)。そのときはスタジオにいて、マネージャーと一緒に泣いたのを覚えています。昔からずっとアニメが好きだったので、自分の歌声とアニメの映像が同じ空間に存在する、それだけでも本当に嬉しかったです。

――『神達に拾われた男』のほかにも、『サクガン』『ありふれた職業で世界最強』といったアニメとのタイアップをしてきました。これらの作品は、どのように見ていましたか?

転生作品だけどバトルや冒険が少なくて、とにかく“癒やし”を全体的に感じられる作品でした。主人公のリョウマがスライムを研究して、自分のクリーニング店を開業して。独特の雰囲気がありました。

『サクガン』はちょうどコロナ禍の、気分が落ち込んでいるタイミングでいただいたお話でした。主人公のメメンプーちゃんは何があっても諦めない子で、すごくパワーをもらえました。主題歌になった「Shine」の歌詞にある「I will never ever give up halfway」という言葉は作品にも、私の気持ちにもリンクしていて思い出深い楽曲です。

『ありふれた職業で世界最強』は…個人的な話になるんですけど、友達がこの作品を大好きで、熱狂的なファンがたくさんいる作品という第一印象でした。物語の序盤、主人公のハジメはちょっとかわいそうな境遇ですけど、ヒロインはずっと寄り添っていて、その姿がとても美しく感じました。

――そして『転生したらスライムだった件 第2期』でもオープニング主題歌を担当しましたよね。以前から『転スラ』の大ファンと伺っているのですが、この作品にはどんな魅力を感じていますか?

他の転生作品とは少しテイストが違って、バトルよりも国を創ることが大きなテーマになっているのは『転スラ』ならではだと思います。バトルシーンではリムルがどんな作戦を使うのか、そしてどんなキャラクターと出会うのか、毎回ワクワクできる作品です。
『転スラ』はタイでも人気で、私が主題歌を担当すると発表したときには、多くの人が驚いてくれました。

 

――そんな『転スラ』の主題歌を歌えると決まったときの心境はいかがでしたか。

私が担当することになったのは第2期2部だったので、すでに熱気が高まっているタイミングでした。もちろん私も人気の高さは知っていたので、最初は「聞き間違いかな?」と思ったくらいです(笑)。本当のことだと分かったときは心拍数が一気に上がって、息もできない感覚でした。
TRUEさんをはじめとした大先輩の後を私が担当するのはプレッシャーもありました。ただ、それ以上に大きなチャンスを掴みたい気持ちのほうが強かったですね。

――最近は『劇場版転スラ』の主題歌も担当していますが、こちらの感想はありますか?

本当に素敵な作品でした。リムルと仲間たちの絆、ヒイロとトワの絆、オーガの里の絆、すべてが美しかったです。
劇場版の主題歌を担当して驚いたのは、やっぱり反響の大きさです。日本はもちろん世界中から応援が届いたし、YouTubeのミュージックビデオも海外からの視聴者が多くてびっくりしました。

――ちなみに、アニメとタイアップする場合、事前にストーリーやキャラクターの心情を把握してからレコーディングするのですか?

それは必ずやります。出来上がっている映像があれば見せてもらうし、ストーリーやキャラクターのことも勉強します。次に、キャラクターの心情と、私自身が思っていることにリンクするところがないか考えるんです。上手くリンクできれば、そこをヒントに「こんな歌い方にしよう」と想像が膨らんでいくんです。

念願のアルバムリリース、だけど「旅は始まったばかり」

――それでは、あらためてアルバムの話も聞かせていただければと思います。まず、タイトルの「My Journey」はどのような思いが込められているのでしょう。

「My Journey」は日本語に訳すと“私の旅”。デビューから今までを振り返ると、4枚のシングルがたくさんの体験をさせてくれたと思ったんです。それは言い換えると、楽曲たちが私を旅に導いてくれたのかなって。そしてこの旅の中では、私を支えてくれるスタッフや、ファンの方々とも出会うことができました。そんな人達への感謝の気持ちも込められています。

――この2年間を旅に例えたと。

これまでの旅をただ振り返るだけでなく、未来にもつながっていると思うんです。今度はこの作品を聞いてくれた人たちと一緒に旅をしていきたいです。

――作詞・作曲を担当する方々とはどんなやり取りをしてきましたか?

例えばMisakiさんが手掛けた「BRAND NEW OLD」では、最初に歌詞がないデモ音源をいただいて、「このメロディからどんな物語が想像できた?」と尋ねられました。私は人が駆け抜ける姿、何かを追いかける姿がイメージできたので、それを伝えて、本格的な歌詞を仕上げてもらう流れでした。

1曲目の「My Journey」という、アルバムと同名のトラックも同じ流れでMisakiさんに作っていただいた楽曲です。これは自分が今いる場所から飛び出して、夢を追いかけるコンセプトがあります。夢を実現するため、タイから日本へきた自分自身の姿がメロディに重なったんです。

――その中で「Another world」はご自身で作詞・作曲を手掛けていますよね。

アルバムを作っているうちに、すべてを他の方に任せるのは違うなと思うようになったんです。1曲は自分の力で作り上げた楽曲を置きたい思いから、「Another world」が生まれました。
タイから日本のアニソン界に入るのは異世界に来たような気持ちはどうしても多くの人に伝えたかったんです。だから「Another world」、つまり“異世界”というタイトルで制作することにしたのです。

――作詞と作曲は、どちらがより大変でしたか?

作曲は特に大変でした。最初にサビの部分だけが思い浮かんで、そこから前後を付け加えていくやり方でしたけど、「1曲作り上げる」という作業がこんなに大変だったとは。

歌詞に関しても、日本語を当てはめていくのが難しくて…。日本でデビューしたから、日本のファンの方に聞いてもらいたくて、全部英語の歌詞じゃない方がいいと思ったんです。だからいつもMindaRynの楽曲を制作してくれているSACHIKOさんに相談しながら、日本語の歌詞を考えていきました。

――ちなみに、曲順はご自身で考えたのですか?

スタッフさんと相談しながら決めました。「My Journey」のタイトル通り、聞いた人が旅を感じてほしいなって。個性的な旅が散らばるように楽曲を配置して、最終的に「My Evolution」につながるようにしました。旅を通じて成長した姿を見せたいので、ラストに「My Evolution」を置くのがいいんじゃないかと思って。

――ジャケットイラストについてはどうですか? ポップな仕上がりで、とても目を引く印象を受けました。

このジャケットも2年間の道のりを表現しているんです。タイの国旗に始まり、雲はシングルのイメージカラーになっています。

――それでは、今回のアルバムを経て、次の目標があれば教えてください。

始まったばかりの旅で、やりたいことは言い切れないです(笑)。まずは私の楽曲を日本にも、世界にも届けることです。特にライブは、今までコロナ禍で活動できなかったぶん、空白を埋めるためにもがんばりたいです。

――さらに数年後まで見据えて、将来の夢はなにかありますか?

元々の夢がアニソンシンガーになることだったので、ひとつ大きな夢を叶えることができました。さらにその先というと…もっともっとレベルアップして、ワールドツアーができる存在になりたいです。
先日ニューヨークのイベント「Anime NYC」に参加させていただいて、熱狂的なファンの多さに驚きました。楽しい思い出ばかりだったので、ワールドツアーという形でまた体験できたら嬉しいです。

ニューヨークのイベント「Anime NYC」の様子
撮影:クランチロール

1st Album「My Journey」
発売日:2022年12月21日
【初回限定盤】CD+BD / LACA-35959 / ¥5,280(10%税込) / ¥4,800(税抜)
【通常盤】CD / LACA-15959 / ¥3,300(10%税込) / ¥3,000(税抜)

[CD_INDEX]
01. My Journey
作詞・作曲:Misaki (SpecialThanks) 編曲:小山 寿

02. love my friends
作詞・作曲:Misaki (SpecialThanks) 編曲:キクチハルカ

03. Make Me Feel Better
作詞・作曲:Misaki (SpecialThanks) 編曲:小山 寿

04. kiss my cheek
作詞・作曲:SACHIKO 編曲:長澤孝志

05. Daylight
(TVアニメ『ありふれた職業で世界最強 2nd season』OP主題歌)
作詞:Joelle 作曲:SACHIKO 編曲:小山 寿

06. Like Flames
(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』オープニング主題歌 第二弾)
作詞・作曲:SACHIKO 編曲:小山 寿

07. Another world
作詞:MindaRyn, SACHIKO 作曲:MindaRyn 編曲:長澤孝志

08. Be the one
作詞・作曲:SACHIKO 編曲:長澤孝志

09. BRAND NEW OLD
作詞・作曲:Misaki (SpecialThanks) 編曲:キクチハルカ

10. BLUE ROSE knows
(TVアニメ『神達に拾われた男』エンディングテーマ)
作詞・作曲:Misaki (SpecialThanks) 編曲:長澤孝志

11. Shine
(TVアニメ『サクガン』エンディングテーマ)
作詞・作曲:Misaki (SpecialThanks) 編曲:小山 寿

12. My Evolution
作詞・作曲:MARYA 編曲:長澤孝志

MindaRyn 1st LIVE “My Journey”
日時:2023年2月24日(金) 18:30開場 / 19:00開演
会場:Shibuya eggman
チケット料金:全自由 5,500円(税込)
※未就学児入場不可 ※整理番号順入場 枚数制限:お一人様2枚まで

©Roy・ホビージャパン/『神達に拾われた男』製作委員会
©「サクガン」製作委員会
©Ryo Shirakome, OVERLAP/ARIFURETA Project
©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
©Roy・ホビージャパン/『神達に拾われた男2』製作委員会

株式会社バンダイナムコミュージックライブ
https://www.bandainamcomusiclive.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコミュージックライブ
設立
1983年8月
代表者
代表取締役社長 垰 義孝
決算期
3月
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