セガ、Rovioを1036億円で買収 「Angry Birds」複数PF展開、運営ノウハウ共有などシナジー追求 世界モバイル市場でプレゼンス向上目指す
セガサミーホールディングス<6460>は、この日(4月17日)、グループ会社であるセガがフィンランドのモバイルゲーム企業のRovio Entertainmentを買収することを明らかにした。英国子会社SEGA Europeを通じて、Rovioの全株式7617万9063株を7億0600万ユーロ(1036億円)で公開買付けを行うとのこと。今回の買収は友好的なもので、Rovioは公開買付けに対する賛同表明を行っている。またRovio社の複数の株主(発行済株式の約49.1%保有)も公開買付けに応募する旨の同意を得ているという。
なお、買収完了のためには、独占禁止法に基づく条件の充足及びその他一般的な前提条件を満たすことが必要で、本件完了時期は2024年3月期第2四半期となることを予定している。また公開買付け資金には、手元資金で充当する予定。ただし、資本政策上の観点から、公開買付の実行に影響のない形で、借入を実施する可能性があるとした。
本件買収の背景・目的
同社におけるコンシューマ事業の位置付け
同社は現在、2024年3月期までの中期計画において、エンタテインメントコンテンツ事業のコンシューマ分野を成長分野と位置付け、既存IPのグローバルブランド化による収益基盤の増強、マルチプラットフォーム展開やメディアミックスによるユーザーエンゲージメントの強化などの取り組みを進めている。
また、2026年3月期までに総額2500億円程度を成長投資として充当することを検討しており、その中でもコンシューマ分野においては開発リソースの強化や新たなエコシステムに対する投資を実施することを検討してきた。
これまでセガはグローバル開発体制の強化を目的に、2005年の英国を拠点とするThe Creative Assembly Ltd.の買収以降、日本国内においても2013年にアトラス(旧:インデックス)など、複数のゲーム開発スタジオの買収を行っており、買収した各スタジオはいずれも買収以降に大きく開発規模を拡大し、数多くの新作タイトルをグローバル市場に向けてローンチしてきた。
買収に至った背景
グローバルゲーム市場は2022年から2026年にかけて年平均成長率3.5%で拡大し、2026年には2633億ドルに到達することが予測されている。グローバルゲーム市場の中でも、モバイルゲーム市場は年平均成長率5.0%で成長し、2026年のグローバルゲーム市場全体に占める割合は56%に到達、2022年時点の53%から拡大することが期待されている。
このように急速に成長するモバイルゲームを含むグローバルゲーム市場において同社のプレゼンスを高めるには、継続的なゲーム開発体制と運営力の強化が必要不可欠と判断し、買収を進めることを決断したとのこと。
今回グローバルでモバイルゲームを展開するRovio社を買収することによって、Rovio社の有する運営型モバイルゲームの開発能力及び運営ノウハウを獲得し、セガの既存IPのモバイルゲーム化・マルチプラットフォーム対応を促進することで、セガのゲームポートフォリオを強化し、グローバル展開をこれまで以上に加速する、としている。
■Rovio会社概要
買収の狙い
Rovio社は、モバイルゲームの企画、開発、パブリッシングをグローバルに展開するモバイルファーストのゲーム会社であり、同社のモバイルゲームは累計50億ダウンロードに至る。
Rovio社はグローバルブランド「Angry Birds」で広く知られおり、同ブランドは2009年にローンチされ大ヒットしたモバイルゲームに始まり、ゲーム以外にもブランドライセンス事業を通じてアニメやキャラクターグッズなどの幅広いジャンルのエンタテインメントとして展開されている。
セガは、Rovio社の有する運営型モバイルゲームの開発能力及び運営力や強力なグローバルIPを獲得し、セガの既存の事業基盤とのシナジーを創出することでグローバルゲーム市場における成長を加速、ひいては企業価値向上を実現する。
具体的には、主に以下の領域においてシナジーの発現を目指す。
・Rovio社が保有する高度なモバイルゲームの運営ノウハウを、セガの既存タイトルおよび新規タイトルに活用して行くことで、ポテンシャルの大きなグローバルモバイルゲーム市場において、セガのコンテンツをより多くのユーザーに届けて行くこと
・Rovio社が持つ「Beacon」には20年にわたる欧米市場を中心としたモバイルゲーム運営のエキスパータイズが詰め込まれているとセガは評価している
・両者が保有するグローバルキャラクターの多面的メディア展開のノウハウについて共有・連携を図ることで、相互のファンベースの拡大を加速させること
・Rovio社は「Angry Birds」において、セガは近年「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」において、それぞれIPをゲームだけでなく、映画・アニメ・マーチャンダイジング等多面的にメディアに展開することに成功しており、共に世界的規模のファンベースとIP展開ノウハウを保有している
・Rovio社が保有するIPのクロスプラットフォーム展開をセガが保有するケイパビリティでサポートすること
・Rovio社は、モバイルゲーム以外の領域への進出を目指しており、この点においてセガのケイパビリティの有効活用を図っていく
■セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役社長グループCEO 里見治紀氏
成長が著しいグローバルゲーム市場において、特に今後のポテンシャルが大きいモバイルゲームの展開を加速させて行くことはセガにとって長年の悲願です。この度、世界中の人々に愛されている「Angry Birds」を保有し、業界トップクラスのモバイルゲーム開発力・運営力を支えている多くの優秀な従業員の方々が活躍するRovio社との間で、このような発表をすることが出来たこ
とを嬉しく思っています。セガは長い歴史の中で、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズをはじめとする数多くのゲームタイトルをあらゆるプラットフォーム向けに展開してきました。今後、両者のブランド、キャラクターやファンベース、加えて、各々の企業文化や機能が組み合わさることで大きなシナジーが発揮されると確信をしております。
■ Rovio社 CEO Alexandre Pelletier-Normand氏
私はソニック・ザ・ヘッジホッグで育ち、その最先端デザインに魅了されました。その後、初めてAngry Birdsをプレイしたとき、ゲームが真のメインストリーム現象に進化し、現代文化を形
成する力を持つようになったことを知りました。
Rovio社に入社したことは光栄であり、新しいゲーム、シリーズ、映画をリリースしながら、Angry Birdsが成長し続けるのを見られることを誇りに思います。またあまり知られていませんが、同様に素晴らしい我々の特徴は業界をリードする独自の技術プラットフォーム「Beacon」です。Beaconは20年にわたる専門知識を有し、緊密に連携したチームが世界クラスのGaaS製品を開発できるようにしています。
私たちのミッションは「Craft Joy」であり、私たちの専門知識とツールを使って、プレイヤーにさらなる喜びをもたらし、Rovio社とセガの活気あるIPを強化・拡大するというアイデアに興奮しています。
レッドとソニック・ザ・ヘッジホッグ:世界的に有名で象徴的な2つのキャラクターは、モバイル、PC/コンソール、そしてその先に広がる世界的なリーチを持つ、驚くほど相性の良い2つの会社によって作られています。Rovio社とセガの強みを組み合わせることで、非常にエキサイティングな未来が待っています。
会社情報
- 会社名
- 株式会社セガ
- 設立
- 1960年6月
- 代表者
- 代表取締役会長CEO 里見 治紀/代表取締役社長執行役員COO 内海 州史/代表取締役副社長執行役員Co-COO 杉野 行雄
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1916億7800万円、営業利益175億3900万円、経常利益171億9000万円、最終利益114億8800万円(2023年3月期)
会社情報
- 会社名
- Rovio Entertainment
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460