【レポート】「FUN SLEEP SUMMIT ~睡眠をもっと楽しみに~」第二部は柳沢教授が「より良い睡眠」の話を披露 『Pokémon Sleep』コラボ商品の開発に込められた各社の想いも


ポケモンは、朝起きることが楽しみになる睡眠ゲームアプリPokémon Sleepのローンチに先駆け、本日719日に都内・時事通信ホールにてFUN SLEEP SUMMIT ~睡眠をもっと楽しみに~」を開催した。




本日(720日)リリースされたPokémon Sleepは、「睡眠のエンタメ化」を目指し開発された、「眠る」ことで様々なポケモンの寝顔を観察し、自身の睡眠状態を計測・記録・分析するゲームだ。



本イベントは二部構成で開催。第二部では、睡眠の世界的権威として活躍している、柳沢正史先⽣が登壇し、最新の睡眠科学研究の観点から講話を⾏なった。さらに、マッシュスタイルラボ企画本部gelato piqueサブディレクターの伊藤真央⽒、昭和⻄川MD本部 企画部MD課 課⻑代理の原野早苗⽒、⽇清ヨーク ブランドマネージャー(ピルクルブランド)の星理恵⽒の3名をゲストに招き、それぞれの企業の視点から睡眠についての話を展開した。

なお、ポケモン代表 取締役 最高執行責任者の宇都宮崇人氏からの挨拶や、ポケモン アプリ開発担当者の首藤まり江氏によるPokémon Sleepの紹介については、第一部のレポートにて掲載しているので、そちらを参考にしていただきたい。

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■「寝だめ」は不可能。睡眠の負債を返しているだけ

第二部ではまず、S'UIMIN代表取締役の柳沢正史氏が登壇。柳沢氏は、睡眠と覚醒の切り替えを制御する神経伝達物質オレキシンを発見した功績などで2023年の自然科学における国際的な学術賞であるブレイクスルー賞を受賞されるなど、世界的に活躍している。


S'UIMIN代表取締役の柳沢正史氏。

「理想的な睡眠ってどんな睡眠?」をテーマに、以下の4つの質問が投げかけられた。

 

Q1.睡眠不足が続くとどうなる?

その人にとって必要な睡眠時間を確保しない生活を続けている状態を睡眠不足と呼ぶ。これを借金に例えて睡眠負債という。この睡眠負債は、覚醒への依存症でもあると言い換えることもできるとのこと。「寝ないことが悪い状態と分かっていながらやめられないという意味で、依存症の定義を満たしているのではないかと思っています」と柳沢氏は話した。こうした状態が続くと、短期的にも長期的にも悪影響が出てくる。

まず短期的には、日中に眠くなる、イライラする、ミスが増えるなど、さまざまなところで脳と体のパフォーマンスが低下する。また、中~長期的には免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなるほか、メンタルの不調、メタボ(肥満・高血圧など)といった生活習慣病や認知症のリスクも上がっていく。

さらに、日本は世界と比べて睡眠時間が短いという記録が出ている。そのことから、各々のパフォーマンスが下がり、GDP3%(約15兆円)を睡眠不足によって失っていると柳沢氏は語る。このように、睡眠不足は経済成長にも影響をおよぼしているため、眠ることが如何に大事かを改めて訴えた。

Q2.休日に「寝だめ」をするのは効果的?

そういった睡眠不足を解消するため、休日に「寝だめ」をしようとする人は少なくないが、柳沢氏によると、そもそも睡眠の貯金はできないのだという。考え方としては、睡眠不足の人が負債を返しているだけで、人間は睡眠が充足した状態だと自然と目が覚めてしまい、それ以上眠れなくなるのだという。

さらに、最近の研究では長期的な睡眠負債は12日の短期間では返すことができず、最低でも数日~1週間、長いと数週間かかるとされている研究結果もあるとの話だ。



また、週末のみ長時間寝ることの弊害として、多くの場合、長く眠るだけでなく遅寝遅起きになってしまう。そうすると、時差ボケの状態を自分で招いている結果になることを挙げた。これを社会的時差ボケという。このことから、平日も休日も同じ長さ・リズムで睡眠をとることが理想的であると語られた。

Q3.より良い睡眠を取るために大切なことは?

「より良い睡眠」と聞くと、量と質をイメージされる方が多いかもしれないが、そもそも質の良い睡眠を取るためにはが必要になるという。そのため、十分な睡眠時間を確保することが第一歩になるという。時間を確保せずに質を論じることはナンセンスだと柳沢氏は話した。こういった理屈から、Pokémon Sleep』でも睡眠の長さがスコアに直結しているのだろう。

また、同じ就寝時間と起床時間を保って規則的な睡眠を取ることが大事だということも話された。人間の脳には24時間を刻む体内時計があり、日々の睡眠の生活や朝起きて光を浴びることにも影響するため、リズムを一定に保つことが体調を整えるのに最も大事であるという。

こうした睡眠リズムを見える化するためにも、Pokémon Sleep』のような計測アプリが役に立ってくる。特に、睡眠は人の無意識化で行われるため、自分で意識するだけでは何が寝ている間に何が起きているかが分かりづらい。まずは自分の睡眠を見える化することが自分の睡眠を良くする第一歩になると語られた。



ただ、見える化によって「自分が全然眠れていない」という結果が出た際にプレッシャーを受けすぎてしまうことも良くないのだとか。眠りたいのに眠れないという訴えの多くに、客観的にはきちんと眠れているけど、自分の中では眠れた気がしないというパターンがあるという。そういう方々にとっては、睡眠を見える化することで安心することができる。逆に、自分では眠れていたつもりでも、見える化することで安定した睡眠が取れていないことが分かるケースもあるため、まずは自分の睡眠状態を客観的に知ることが大事だと結論付けた。


▲脳波を測ることでより詳細に自身の睡眠について理解することができるという。

Q4.すぐに実践できる睡眠のための秘訣とは?

この質問に対して柳沢氏は、万人がこうすれば良いという画一的なソリューションはないと答える。そのため、自身に合った睡眠のルーティーンを見つけることが大事だと話した。

具体的に何をすることが睡眠に良いかは人によって違うため、リラックスする手段として本を読む、ゆっくりとお風呂に入る、冷たいものを飲む、音楽を聴くなど、自分なりの入眠のためのルーティーンを見つけると幸せになれるだろうと話した。ちなみに、柳沢氏の場合は、寝る前に読みたくない論文を読むことで良く眠ることができるとの話だった。

Pokémon Sleep』コラボで「衣・食・住」からも睡眠を考える

続いて、ポケモンPokémon Sleep』プロジェクト担当の佐藤優氏、マッシュスタイルラボ企画本部gelato piqueサブディレクターの伊藤真央⽒、昭和⻄川MD本部 企画部MD課 課⻑代理の原野早苗⽒、⽇清ヨーク ブランドマネージャー(ピルクルブランド)の星理恵⽒の4名が登壇。Pokémon Sleep』とのコラボレーション商品を発表した企業から代表者を招いて座談会が行われた。

今回の座談会が行われることになった経緯について佐藤氏は「眠ることや眠るための準備を盛り上げてくれるアイテムがあってこそ睡眠をより楽しいものにできると考え、それぞれのカテゴリで著名な皆様にお声掛けをさせていただき、Pokémon Sleep』を絡めた商品化を実現することができました。また、睡眠そのものに対して少しでも意識を向け、楽しむきっかけとなるような場を設けたいと考え、各社様に賛同いただき、今回のイベントを協同開催するに至りました」とコメント。


▲ポケモンPokémon Sleep』プロジェクト担当の佐藤優氏。


▲マッシュスタイルラボは、gelato piqueの心地よい素材を使用し、癒しをテーマにしたルームウェアや雑貨を9月に発売予定。


▲昭和⻄川からは、マットレスパッド、ストレッチシーツ、枕、ピローケース、秋冬用のブランケットなどの5アイテムを10月に発売予定。


▲⽇清ヨークは、睡眠の質を改善し、日常生活の疲労感を軽減する乳酸菌飲料「ピルクルミラクルケア」のPokémon Sleep』パッケージコラボを8月中旬に発売予定。

先ほどの柳沢氏の講演を聞いて伊藤氏は「私自身、慢性的な睡眠不足に陥ることがあったのですが、甥と一緒に生活をするようになったタイミングで寝る時間や起きる時間が習慣化されました。早く寝るとスッキリするだけでなく、仕事に集中できるようになり作業効率も上がっていると実感しました。本日のセミナーを聞いて、生活リズムが整っていることが如何に大切かを改めて感じました」と素直な感想を話した。


▲マッシュスタイルラボ企画本部gelato piqueサブディレクターの伊藤真央⽒。

続いて、各社のコラボ商品について、どのような想いを持って開発されたのか、また会社としてどのような形で睡眠をサポートできると考えているかという質問に対しては原野氏が「寝具の商品開発では、リラックスできるものを基本に考えているため、Pokémon Sleep』のキャッチコピーである良い睡眠リズムを、つかまえよう!を拝見したとき、とても新鮮に感じました。今回、自らつかまえるといった今までにはないアプローチを商品に落とし込みたいという想いが一番大きくあります。具体的には、等身大のカビゴンと寝るとカビゴンが腕枕をしてくれるようなレイアウトなど、自ら睡眠を楽しめるような仕掛けを商品に落とし込みました。寝具は基本的にサイズが大きいので、このサイズ感を活かしてポケモンと一緒に眠るような気持ちを楽しんでいただきたいと思っております」と答えた。


▲昭和⻄川MD本部 企画部MD課 課⻑代理の原野早苗⽒。

ポケモンから睡眠のエンタメ化について聞いた時どのような感想を抱いたかという質問に対しては星氏が「睡眠と聞くと学術的なイメージもあり少し難しく感じるかもしれませんが、エンタメ化で睡眠をより身近に感じていただけるとても良いきっかけになるのではないかと思いました。日清ヨークも楽しく健康管理をしていただきたいという気持ちで商品を開発しておりますので、Pokémon Sleep』の楽しく睡眠を整えるというコンセプトにシンパシーを感じましたし、かなりワクワクする気持ちがありました。今回のコラボを通じて、より多くのお客様に睡眠に目を向けるきっかけとしていただいて、手軽に楽しく睡眠と疲労をケアする手助けを一緒にできればと思っております」と答えた。


▲⽇清ヨーク ブランドマネージャー(ピルクルブランド)の星理恵⽒。

最後に佐藤氏は「Pokémon Sleep』だけでなく、皆様との取り組みを通じて少しでも睡眠に意識を向けていただき、睡眠がもっと楽しみになるような体験を引き続きお届けしていきたいと思っております」とコメントして座談会の締めとした。

こうしてイベントは幕を閉じたが、会場には各社の商品を取り入れた展示スペースも設けられていた。



(取材・文 編集部:山岡広樹)



■『Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)』


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株式会社ポケモン
https://corporate.pokemon.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ポケモン
設立
1998年4月
代表者
代表取締役社長 石原 恒和/代表取締役 宇都宮 崇人
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