大日本印刷、バーチャルプロダクション向けに「銀座四丁目交差点」の3DCGデータの提供開始

大日本印刷(DNP)<7912>は、映像制作会社等に向けて、地域の文化資源を活用したバーチャルプロダクション用の高精細3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)データとして、新たに「銀座四丁目交差点」を制作し、11月28日より提供を開始した。バーチャルプロダクションは、スタジオの大型スクリーン等に3DCGの仮想的な背景等を投影し、その前に人や物を配置することで、現実の世界で撮影したような映像をつくり出す手法。今回の「銀座四丁目交差点」のデータは、ソニーピーシーエルが運用する高品質デジタル背景アセットライブラリーサービス「BACKDROP LIBRARY」で公開、販売する。

 

■「銀座四丁目交差点」3DCGデータの特長

・細部まで詳細に表現した都市3DCG
都市部は、大きさや質感が異なる建物・道路・景観などが複雑に入り組んでおり、バーチャルプロダクション用の3DCGデータを制作する際に、高度な技術と知識が求められる。DNPは、印刷技術の応用・発展によるデジタルアーカイブ事業等の実績で培った撮影・加工技術、3Dデータ上での凹凸や陰影の表現技術を活かし、細部まで忠実に再現した都市部の3DCGデータを開発した。

・現実空間を高い精度で再現、制作工程を最適化し、3DCGデータの供給ニーズに柔軟に対応
DNPは、国内外で3,000件以上の豊富な計測実績を持つ協力会社と連携し、同社保有の“点群データ"を活かしたバーチャルプロダクション用データを提供する。これまで写真から制作した3DCGデータで現実空間を再現すると、現実にはない違和感が残る課題があった。点群データを活用することにより、現実空間と同じ縮尺で再現できるため、臨場感のある映像を撮ることが可能となる。また、計測済みの点群データの活用によって、制作工程の最適化を図り、企業等が求める背景(ロケーション)の早期提供を可能にする。

・天候や時間の制限なく広域での映像撮影が可能
本データは、交差点を起点に東西南北約1kmのエリアを3DCGで制作したものだ。バーチャルプロダクションでは、天候や時間帯等の制約を受けない安定した映像撮影が可能であり、また広い対象エリアのデータも活かすことができる。それにより、非日常的な映像表現や、本来の街の奥行きを感じさせる撮影を可能にする。

 

 

■開発の背景

近年、バーチャルプロダクションによる映像制作が国内外で広がり、特に使用許諾に時間や手間を要する公共施設等の3DCGデータへのニーズが高まる中、これらのデータのバリエーションはまだ少ない状況にある。また、都市を実際に撮影する場合は、交通・人流の規制管理や日照条件といったハードルがあった。

こうした課題に対してDNPは、高解像度な画像データに対する独自の変換・加工・最適化技術と、XR(Extended Reality)コミュニケーション事業*2やデジタルアーカイブ事業で培った3DCG制作の実績を活かし、再現が難しい文化財や都市部等の3DCGデータ制作を手がけてきた。

2023年9月4日には、XR技術を活かした地域の活性化と文化財の活用に向けて、神田明神のバーチャルプロダクション用3DCGデータの提供を開始した。今回は、地域の魅力発信の一環として、都市部ならではの建物や景観を忠実に再現した「銀座四丁目交差点」を制作し、国内外での活用機会を創出する、としている。