「にじさんじ」のANYCOLOR、第2四半期の収益成長は売上高8%増、営業益11%増にとどまる 先行投資とフェス開催時期変更で 一時的な事象か成長鈍化か

木村英彦 編集長
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ANYCOLOR<5032>は、12月14日、2024年4月期 第2四半期(23年8月~23年10月)の決算と決算説明資料を発表し、売上高65億4000万円(前年同期比8.2%増)、営業利益24億3900万円(同11.5%増)、経常利益24億4400万円(同11.2%増)、最終利益17億0100万円(同11.7%増)と増収増益だった。

・売上高:65億4000万円(同8.2%増)
・営業利益:24億3900万円(同11.5%増)
・経常利益:24億4400万円(同11.2%増)
・最終利益:17億0100万円(同11.7%増)

 

対前年で高い成長率を続けてきたが、今回は売上高が1ケタ、営業利益は10%台の成長率にとどまった。昨年10月に開催した「にじさんじフェス」を今年は12月22日~24日に変更したことの影響に加えて、イベントに備えた費用が先行発生したという。

また、将来のビジネス機会の拡大に向けて人材採用も積極的に行った。前年同期に269名だった従業員数は100名近く増えて365人となった。コンテンツ制作やイラスト製作、エンジニア、プロジェクトマネジメントを行う人材を採用したという。

 

売上については、「にじさんじ」が同16.0%増の52億円、「NIJISANJI EN」が同12.8%減の12億6300万円だった。イベントを考慮すると「にじさんじ」は順調といえそうだが、気がかりは成長ドライバーとみられている海外Vtuber「NIJISANJI EN」の減収だ。

同社によると、日本人ファンが国内Vtuberに移行した影響と分析しているとのことで、外部の人間が期待するほど海外ファンが獲得できていなかったようだ。今後は継続的な新規デビューと既存Vtuberのプロデュース体制の拡充を通じて、海外ファン層の拡大に取り組むとしている。

 

四半期ごとの売上高と営業利益の成長率の推移を見ると、成長率は低下している状況が見て取れる。株式市場では同社の成長性の低下を懸念する見方が出ている(あらかじめ上期の業績予想を開示しておけば多少は違ったかもしれない)。イベント開催時期の変更や先行投資を行った結果と説明したところで、その懸念を払拭するのは容易ではない。

 

結局のところ、実施した先行投資を結果につなげていくしかないわけだが、短期的には、これから開催する「にじさんじフェス」が注目ポイントだろう。大きな盛り上がりが期待されるイベントだが、第2四半期の結果はあくまで一時的な収益減に過ぎなかったことを示せるか、イベントの成否にかかっている。

ANYCOLOR株式会社
https://www.anycolor.co.jp/

会社情報

会社名
ANYCOLOR株式会社
設立
2017年5月
代表者
田角陸
決算期
4月
直近業績
売上高253億4100万円、営業利益94億1000万円、経常利益94億4800万円、最終利益66億9800万円(2023年4月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
5032
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