日本ファルコム、成長戦略として市場規模の大きい国内Switch向け展開強化 マルチユースや新作増加に向けた開発投資も 収益性重視の安定成長目指す

 

日本ファルコム<3723>は、この日(12月22日)、『事業計画及び成長可能性に関する事項』を公開し、今後の成長戦略として、Nintendo Switch向けゲームを国内で自社展開することを明らかにした。同社はこれまで自社で制作・販売を行っているタイトルは、国内のPlayStationプラットフォーム向けに提供してきたが、市場規模の大きい国内Nintendo Switch向けにも自社展開を進めることで売上、利益の拡大を図っていく。 

この方針自体は以前から示していたもので、2023年9月期には『イース・メモワール~フェルガナの誓い』と『東亰ザナドゥeX+ for Nintendo Switch』『イースⅩ-NORDICS-』を発売した実績がある。2024年9月期においては、『英雄伝説 黎の軌跡 for Nintendo Switch』を含めた2タイトルを展開する予定とした。

 

マルチユース・マルチプラットフォーム展開も推進する。海外翻訳版やモバイルやアニメなど他のプラットフォーム向けゲーム、ゲーム以外のキャラクターグッズなどにコンテンツ展開を行う。

【2023年9月期の状況】
・『英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ アジア版』(2022年10月発売)
・『TVアニメーション 閃の軌跡 Northern War』(2023年1月放映開始)
・『軌跡シリーズ3タイトル 英語版』(2023年3月、7月、9月発売)
・『PlayStaton5向け 英語版タイトル』(2022年11月、2023年5月発売)
・『英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ ONLINE(アジア)』(開発中)

【2024年9月期の予定】
・『The Legend of Heroes 閃の軌跡 Northern War』(2023年12月)
・『PS5 英雄伝説 閃の軌跡ⅢⅣ 英仏語版』(2024年2月)
・『英雄伝説 黎の軌跡 英語版』(2024年夏予定)
・『英雄伝説 ガガーブトリロジー』(開発中)
・『英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ ONLINE(アジア)』(開発中)

 

このほか、発売タイトル数の拡大・新しいIPコンテンツの創出にも取り組む。現状のゲームソフト年間発売タイトル数は2本~3本だが、少数精鋭を堅持しつつ開発力の強化を進め、年間4~5本を目指していく。同社の研究開発費を増やしているが、この一環と見られる。

 

同社は、成長戦略としては、「収益性を重視しながら持続的成長を目指す」としており、高品質の新作タイトルを毎年しっかりと提供して安定した収益を稼ぎつつ、収益の範囲内で投資を行って着実に伸ばしていく考えといえるだろう。巨額の投資を行ってリスクを取り、大きなリターンを狙う、という考えとは全く異なっている。当たり外れはゲーム業界の宿命だが、同社の場合は手堅く安心感の持てる戦略という印象を受ける。

 

日本ファルコム株式会社
http://www.falcom.co.jp/

会社情報

会社名
日本ファルコム株式会社
設立
1981年3月
代表者
代表取締役社長 近藤 季洋
決算期
9月
直近業績
売上高25億3300万円、営業利益14億6000万円、経常利益15億7300万円、最終利益10億2700万円(2022年9月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3723
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