シンガポールからスマホで世界を目指す日系ベンチャー「Metaps」【前編】

本日より株式会社HatchUPの八反田智和CEOによる新連載「グローバルマーケットリーダー」をスタートします。第1回目は、metaps(メタップス)の佐藤航陽氏へのインタビューとなります。Metapsは、リワード広告やアプリ紹介アプリなどスマートフォン関連のサービスを矢継ぎ早にリリースし、業界でも注目を集めています。今回から3回にわたって掲載されます。     ―――簡単に会社概要、沿革のご説明をお願いします。 Metaps Pte. Ltd.(メタップス)は東京のイーファクター(株)のシンガポール子会社で、アンドロイドアプリのマネタイズに特化したプラットフォームを運営をしています。アプリ開発者のプロモーションからマネタイズ、分析までワンストップで提供するプラットフォームです。 インファクター(株)は東京、大阪でIT関連事業を展開している法人でして、スマートフォンのプラットフォームやメディアコンテンツ運営をしている会社です。 ―――なぜそのようなビジネスを始めようと思ったのですか。 趣旨としては、スマートフォンのアプリの開発者はあまり儲かってないので、端末は普及するけど、コンテンツは儲からないアンバランスな環境になっているのを改善できるようなビジネスをできたら良いなと思っています。 今まではドコモさんやKDDIさんがある程度集客をしてくれていて、コンテンツプロバイダー(以下CP)さんも儲かりやすい状況にあったんですけど、スマホだとグローバルで戦うので、CPさんたちのハードルも非常に高くなってしまっています。 その部分で開発者を支援できるようなプラットフォームを私たちが作って、後は、今までの国内のCPみたいにいいコンテンツを作ればオッケーですと言う状況が出来ればなと思って事業を作っています。 なので、広告主と媒体主をつなぎ合わせるビジネスをやってはいるんですけれど、完全に目線としては、開発者ですね。媒体側をどう儲けさせるかということを考えたビジネスです。 今後国内のCPもどんどん海外を攻めていかなければ、生き残れなくなる時代が来る思っています。その時に弊社のようなプラットフォームが日本と海外のコンテンツをつなぐような架け橋となって、どんどん日本発世界企業を輩出できるようになればいいなと考えています。 ―――なるほど、では親会社のイーファクターさん自身のメインの事業は? 事業はいくつかありまして、ソーシャルメディアを使ったマーケティングもやっていますし、今はアプリのプロモーションをmetapsの子会社とはまた別にやっているのもありますね。ソーシャルとスマートフォンに注力しています。 ―――現在の収益は何が一番ですか? ソーシャルメディアを使った20万人以上の会員がいるTOKUPOというサイトからの収入が売上の半分以上を占めます。まだまだスマートフォンの事業に関しては投資段階ですね。 現在はスマートフォンとfacebook等のソーシャルメディアのプロモーション事業に力を入れています。特にmetapsで展開しているスマホ向けリワード広告はスマートフォン以外の分野でも応用がきくモデルなので、ソーシャルメディアの収益化にもリワード広告を取り入れていこうと思っています。 ―――基本的なビジネスとしては仕組みを作っていこうみたいな感じですか? はい、私たちはマーケティングが主軸にあってシステム開発とか広告の営業よりはマーケティングが自社の得意なポイントなので。マーケティングを中心として誰のマネタイズを支援するかというところで、スマートフォンを対象に攻めていくというセグメントを切っているだけですね。 時代が変わっても、何かを広めたいというマーケティングプロモーションのニーズは永遠もあり続けるだろうし、検索からソーシャルのようにプラットフォームが変わってもやることは実際にはあまり変わりはありません。 誰よりも速く儲かる仕組み、ノウハウを獲得して、それを皆に提供していく上で、自分たちも拡大していく繰り返しです。なのでテーマとしては全て同じで、マーケティングを中心にしていますし、今後もしていくと考えています。 ―――今更ですけど、非常に年齢お若いですよね。ユーザー目線でみると何者なのかこの若い経営者っていう。4年前に起業されたということは21歳ですもんね。 はい、もともと中学生くらいから商売をしていたので、二十歳を超えたから「法人」として事業ができるとい感覚ではありました。当時は田舎から上京して、とりあえずパソコンを触って、アパレルやデザインが得意だったので、アパレルをやろうと思ったんですけど。アパレルはハードルが高いので、若者が何のバックグラウンドなく事業を作るには、初期導入コストが低いIT以外はありえないと思ったのでこの業界に飛び込みました。 そこからビジネスモデルを作って、エンジニアを集めて、会社を21歳で開始して、大学をその段階で一旦終了させて、授業料はそこにぶっこんで始めたという感じですね。 今では簡単なものであればプログラミングからデザイン、クリエイティブまで薄く広く自分でできますが、当時は事業をやりながら、身につけるような感じで働いていました。 実際に法人として事業を開始すると、色々レバレッジを効かせられますし、逆に組織マネジメントをどうしようかといった個人では考えられない課題も出てきますね。 ―――大学の授業料はもったいなくありませんでしたか? いや、まったくもったいないとは思いませんでした。昔から自分で稼いで自分で生きるのが基本でしたので、そういう意味で独立していてお金と時間をどこに投資するかはすべて私個人の自己責任でした。 なので何にお金を投資した方がいいのかというのには非常にセンシティブになり、来年の授業料に使うよりは、当時の全財産150万円を150億円、200億円にしたほうがいいなと思い、用意していた授業料のための資金を全部事業に投資しましたね。 ―――授業より事業と? はい、そうですね(笑) ―――起業してからの収益のモデルというのは? 全てマーケティングですね。検索エンジン上のSEOやtwitter、facebook上での集客事業など、基礎はマーケティングプロモーション事業です。システム開発とかデザイン、広告代事業には手を付けなかったですね。 ―――自分たちで数字が出せる方が簡潔していてビジネスとしていてやりやすいという感じですか? そうですね、システム開発や広告業界はプレーヤーがそろってるから、私が入り込む余地が無いので・・・・。 マーケティングであれば、時代が変わるごとにいろんなプラットフォームが現れるのでFacebookのマーケティングはどうやるんだっけ?だったり、アンドロイドのマーケティングはどうやるの?というニーズが各時代ごとに存在する、それごとに差し込めればなと思っていますね。 この領域でずっと勝負するっていうのはなくて、マーケティングという自分の得意な領域を各セグメントに当てはめていく。一見するとビジネスが換わっているように見えるが、やっていることは全然変わっていないですね。     ■著者紹介 株式会社HatchUp 八反田智和 1980年鹿児島県生まれ。慶応義塾大学卒。楽天リサーチ、外資広告代理店でのインタラクティブプロデューサーを経験した後、2009年より、ソーシャルゲーム業界に入る。2010年より「ソーシャル業界盛り上げ企業HatchUp」を設立、現在に至る。ソーシャル系イベント【STR】およびブログ(http://socialtoprunners.jp/)を運営している。取材企業への就業ご相談はお気軽に!