KADOKAWA、第1四半期決算はサイバー攻撃受けるも営業益85%増の60億円…電子書籍・海外成長、『ELDEN RING』DLC好調、『ダン飯』『このすば』貢献
KADOKAWA<9468>は、8月14日、2025年3月期 第1四半期の連結決算を発表し、売上高658億6000万円(前年同期比11.9%増)、営業利益60億2900万円(同84.5%増)、経常利益76億9900万円(同26.2%増)、最終利益34億5400万円(同10.1%減)だった。
・売上高:658億6000万円(同11.9%増)
・営業利益:60億2900万円(同84.5%増)
・経常利益:76億9900万円(同26.2%増)
・最終利益:34億5400万円(同10.1%減)
第1四半期累計における業績は、売上高658億6000万円(同11.9%増)、営業利益60億2900万円(同84.5%増)、経常利益76億9900万円(同26.2%増)となった。なお、同社グループデータセンター内サーバへのサイバー攻撃に係るニコニコサービスのクリエイター補償及び調査・復旧作業等を特別損失として20億円計上したことにより、最終利益は34億5400万円(同10.1%減)となった。
【主な内容】
■出版・IP創出事業
■アニメ・実写映像事業
■ゲーム事業
■Webサービス事業
■教育・EdTech事業
■その他事業
■サイバー攻撃への対応状況
■2025年3月期の業績見通し
■出版・IP創出事業
売上高は358億1800万円(同10.6%増)、セグメント利益(営業利益)は30億2800万円(同194.4%増)となった。
電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心として国内自社ストア・他社ストア向け販売ともに好調に推移し大幅な売上伸長を実現した。
書籍・雑誌は、アジアで好調が継続したことに加え、米国でも業績が改善し、海外事業が増収となった。国内では新規IP数が増加し『山田くんとLv999の恋をする(9)』、『陰の実力者になりたくて!(13)』、『異世界居酒屋「のぶ」(18)』(コミック)等の新刊販売が売上高に貢献したものの、サイバー攻撃の影響を中心とした既刊の出荷減少を主因として、減収となった。
利益面では、サイバー攻撃による減益影響や、当事業の中長期的な成長を見据えた継続的な投資の中、電子書籍・電子雑誌と海外事業の成長がセグメント全体の増益をけん引した。
■アニメ・実写映像事業
売上高は120億2400万円(同12.8%増)、セグメント利益(営業利益)は19億4300万円(同29.8%増)となった。
アニメでは、『ダンジョン飯』や『この素晴らしい世界に祝福を!』等の人気タイトルの海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入を中心として、好調だった前年同期をさらに上回る成長を実現した。実写映像では、前期の劇場ヒット作『首』、『カラオケ行こ!』、『マッチング』等が配信向けライセンス収入として貢献したことに加え、スタジオ事業も増収をけん引した。
■ゲーム事業
売上高は77億6400万円(同80.2%増)、セグメント利益(営業利益)は24億600万円(同108.1%増)となった。
フロム・ソフトウェアが発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の国内販売が好調に推移したことに加え、同作本編のリピート販売も増加に転じ、セグメント全体の業績を力強くけん引した。
■Webサービス事業
売上高は47億2600万円(同12.9%減)、セグメント損失(営業損失)は3億9700万円(前年同期 営業利益1億600万円)となった。
動画コミュニティサービスでは、サイバー攻撃を受けてニコニコ関連サービス全般が停止した影響が大きく、セグメント全体として減収となった。
利益面では、イベントの企画・運営でコスト適正化の取り組みが奏功し収益性が改善した一方、動画コミュニティサービスでの減収影響が大きく、減益となった。
■教育・EdTech事業
売上高は39億7400万円(同12.6%増)、セグメント利益(営業利益)は8億3200万円(同8.3%増)となった。
クリエイティブ分野の専門校を運営するバンタンでは、4月に開校した新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となった。また、ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移している。
利益面では、堅調な上記増収影響により、セグメント全体で増益となった。
■その他事業
売上高は39億3600万円(同20.3%減)、セグメント損失(営業損失)は9億7900万円(前年同期 営業損失8億6400万円)となった。
その他事業では、ところざわサクラタウン等の施設運営及びキャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っている。
施設運営事業は増収となった。MD事業は、フィギュアの今期商品ラインナップが下期に偏重していることにより、減収となった。その他の事業では、収益性に鑑みた一部商材の仕入販売撤退等により減収となった。
施設運営事業では前期に実施した減損による償却費の減少や継続的なコストコントロールにより増益となったが、その他の事業における一部資産の前倒し償却により費用が増加し、セグメント全体として減益となった。
■サイバー攻撃への対応状況
同社はサイバー攻撃に係る事案発生以降、影響を受けた事業活動の復旧に取り組んできた。この結果、事業活動の根幹である経理機能についてはアナログ対応も含め既に平常状態に復旧している。
出版・IP創出事業では、事案発生以降影響を受けていた既刊について、8月から段階的に出荷ボリュームが回復し、8月中旬以降は1日当たりの出荷部数が概ね平常時の水準に回復する見込み。
また、Webサービス事業では8月より複数の主要サービスの復旧、9月以降は全面的なサービス復旧を見通しており、MD事業でも8月以降は事業全体における本事案による影響はほぼなくなると想定しているという。
■2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は、売上高2713億円(前期比5.1%増)、営業利益156億円(同15.5%減)、経常利益179億円(同11.5%減)、最終利益97億円(同14.8%減)、EPS72.14円を見込む。
・売上高:2713億円(同5.1%増)
・営業利益:156億円(同15.5%減)
・経常利益:179億円(同11.5%減)
・最終利益:97億円(同14.8%減)
・EPS:72.14円
計画に対する進捗率は、売上高24.3%、営業利益38.6%、経常利益43.0%、最終利益35.6%となっている。
・売上高:24.3%
・営業利益:38.6%
・経常利益:43.0%
・最終利益:35.6%
会社情報
- 会社名
- 株式会社KADOKAWA
- 設立
- 1954年4月
- 代表者
- 代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2581億900万円、営業利益184億5400万円、経常利益202億3600万円、最終利益113億8400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9468