【決算まとめ②】ゲーム関連企業36社の24年4~6月期は5社が営業黒字転換も新たに6社が赤字転落 ハイカジの広告市場に異変でカヤックは19四半期ぶりの営業赤字に

柴田正之 編集部記者
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主要モバイルゲーム企業の2024年4~6月期の決算を引き続き振り返ってみたい。今回は、この四半期の営業赤字計上企業についてを取り上げたい。

この四半期に営業赤字を計上した企業は、データ集計対象の36社中、13社となった。前四半期の12社から1社の増加となる。なお、この四半期は5社が営業黒字転換を果たした一方で、新たに6社が営業赤字に転落している。

この四半期に営業黒字転換を果たしたのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>とボルテージ<3639>、エイチーム<3662>、ブシロード<7803>、スクエニHD<9684>の5社だ。DeNAは、中国での事業リスク増大を受け開発体制の抜本的な見直しを行い、日本拠点を中心とした新たな開発体制の構築を進めている。2024年3月期の下期はその関連費用や一過性の損失が膨らんでいたが、そこからの収益性の改善に加え、プロ野球のシーズンインによるスポーツ事業の貢献も黒字化に寄与している。

一方、この四半期に赤字転落となったのは、コロプラ<3668>とドリコム<3793>、カヤック<3904>、アカツキ<3932>、coly<4175>、ワンダープラネット<4199>の6社だ。カヤックは、ハイパーカジュアルゲーム事業において市況の広告単価が4~5月に想定以上に下落した影響もあり、四半期ベースで19四半期ぶりの営業赤字転落となった。この広告単価の変化は、広告以外の収益ポイントを持つハイブリッドカジュアルゲームの普及が始まり、広告コストの設定ラインが変わってきていることが影響してきているとのことで、ハイパーカジュアルゲームを展開するほかの企業の収益性への影響も懸念されるところだ。

また、コロプラは既存タイトルが『ドラゴンクエストウォーク』を除いて大きく逓減しており、収益規模の縮小が進む形になっている。この四半期の営業赤字計上はそうした収益規模の縮小の影響に加え、新作ブロックチェーンゲーム『Brilliantcrypto』のリリースに伴う先行コストの計上も大きく影響している。『Brilliantcrypto』は、ゲーム内での取引件数などは順調に推移しているもようだが、同社の収益にどの段階からどのくらい貢献してくるのか、現時点では判断が難しく、次の四半期での早期の収益回復シナリオは想定しづらいと言わざるを得ないだろう。

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
企業データを見る
株式会社カヤック
http://www.kayac.com/

会社情報

会社名
株式会社カヤック
設立
2005年1月
代表者
代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
決算期
12月
直近業績
売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3904
企業データを見る
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
企業データを見る