家庭用ゲーム大手、第1四半期の営業増益は6社中3社も全体的に良好 コナミGとバンナムHDが力強い伸び カプコンとセガサミーは反動減
家庭用ゲーム大手6社の決算が出揃い、本業の儲けを示す営業利益が増益となったのは6社中3社だった(コナミグループの場合は事業利益とする)。増益となったのは、バンダイナムコホールディングス<7832>、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>、コナミグループ<9766>の3社だった一方、コーエーテクモホールディングス<3635>やセガサミーホールディングス<6460>、カプコン<9697>は減益だった。
増益組で特に目立ったのは、コナミグループ<9766>だった。売上高が前年同期比24%増の900億3900万円、事業利益が46.6%増の251億4900万円となり、売上と利益は第1四半期として過去最高を更新した。「eFootball2024」など主力コンテンツが好調に推移したほか、「桃太郎電鉄 ~メダルゲームも定番!~」のリピート出荷が収益に寄与したという。主力シリースタイトルである「パワフルプロ野球2024-2025」と「プロ野球スピリッツ2024-2025」を第2四半期中に発売、収益貢献が期待される。
同様に力強い伸びを見せたのがバンダイナムコHD<7832>だった。「ELDEN RING」の大型ダウンロードコンテンツ「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」が大ヒットし、業績に大きく貢献したほか、トイホビー事業でもハイターゲット(大人)層向け商品やトレーディングカードゲーム等のカード商材、カプセルトイ等の人気が継続したという。売上高は過去最高、営業利益と経常利益は四半期ベースでは過去2番目の規模だったようだ。
スクエニHDも2ケタ減収だったものの、250%増の108億円と大幅増益を達成。MMORPGやスマホゲームが増益となり、HDゲームの新作が減ったことで開発費の償却負担や広告宣伝費が減って黒字転換したとのこと。コスト削減による増益といった趣が強いものの、コンテンツ制作勘定が84億円増えており、新作開発を鋭意進めていることが伺える。過去の業績推移で見ると、ほぼ平均的な利益水準に戻った印象で、今後は用意している新作次第となりそうだ。
第2四半期以降は、『聖剣伝説 VISIONS of MANA』や『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』『Life is Strange: Double Exposure』『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』『FANTASIAN Neo Dimension』など主力IPを含む複数のタイトルを発売する予定。さらに7月にはMMO『ファイナルファンタジーXVI』の大型拡張パッケージ『黄金のレガシー』を発売した。
続いて減益組をみていくと、セガサミーHDは営業利益が15%減の193億4100万円だった。パチンコ・パチスロを展開する遊技機事業の営業利益が半減となったことが主な要因で、ゲーム事業を中心とするエンタテインメントコンテンツ事業は同74.4%増の118億円と大きく伸びた。遊技機については前年同期にヒットした「スマスロ北斗の拳」の反動減があったとのことだった。
コーエーテクモHDは、同23.8%減の57億2300万円だった。家庭用ゲームは『Rise of the Ronin』等のリピート販売で収益を伸ばしたが、前年同期にあったモバイルゲームの新作がなかったことが響いたという。コンソールゲームの新作は、『三國志8 REMAKE』、今冬に発売予定の『FAIRY TAIL 2』、2025年に発売予定の大型タイトル『真・三國無双 ORIGINS』と下半期以降にリリースする予定。ちなみに、受取利息、有価証券償還益を計上したことで経常利益と最終利益は第1四半期として過去最高を達成したとのこと。
最後に、カプコンは同46.4%減の128億8900万円にとどまった。『ストリートファイター6』を発売した前年同期から反動減があったとのこと。見た目こそ大幅な減益だったが、直近の四半期と比較しても決して劣る水準ではない。今期は、新作リリースについては下半期に重点を置いていく考えで、この四半期はリピート販売が中心に収益を獲得した。『モンスターハンターワイルズ』は2025年に発売する予定だが、今期中に発売されるかは不明だ。またアミューズメント施設やアミューズメント機器は増益を達成するなど好調だった。
ゲーム大手6社の決算については、一見すると明暗が分かれたものの、総じて悪くない内容だったという印象だ。減益になった会社も前年が良すぎた反動や、第2四半期以降に発売する新作の準備期間といった側面があった。ゲーム業界は、かつてコンソールゲームの主力ハードが世代交代の時期に入ると業績を大きく落とすことが多かったが、ハードウェアの長寿命化、そしてEpic Games StoreやSteamなどPCゲームプラットフォームの台頭でハードウェアサイクルの影響が少なくなっているのかもしれない。
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460