トーセ、24年8月期決算は売上高20%減、5.2億円の営業赤字を計上 デジタルエンタテインメント事業の複数の不採算案件や案件の中止・失注が響く

  • トーセ<4728>は、10月10日、2024年8月期の連結決算を発表、デジタルエンタテインメント事業で不採算となった案件が2件あったことや複数の案件が中止や失注となった影響で大幅な減収・赤字計上となった。

    売上高46億1500万円(前々期比20.2%減)
    営業損益5億2200万円の赤字(前年同期4億8800万円の黒字)
    経常損益5億100万円の赤字(同5億3100万円の黒字)
    最終損益2億6000万円の赤字(同4億9900万円の黒字)

    各セグメントごとの状況は以下のとおり。

    ①デジタルエンタテインメント事業 売上高42億6200万円(前々期比21.3%減)、営業損益5億9400万円の赤字(前期4億2300万円の黒字)
    ゲームソフト関連については、前期の前半には、開発終盤に顧客とともにゲームの品質向上に取り組んでいた案件で、開発要件の大幅な増加によって作業が急増し、開発期間が延びる事案が発生した。この作業増加に係る対価は、今後レベニューシェア(ソフトの販売に応じて得られる成功報酬)により一部を回収していく見込みに留まっているのに対し、開発コストが大幅に増えたことで、大きな損失となった。

    また、第3四半期には、顧客におけるゲーム開発の方針や考え方の転換を受け、複数の開発案件が中止や失注となり、見込んでいた売上の逸失、開発人員の稼働低下が発生した。中止となった案件の一部では、顧客からの引き合いに基づき企画作業や試作などを進めていたが、そのような案件では作業した分の売上が計上できず開発コストのみが発生してしまうこととなった。

    一方で、進行しているその他複数の大型開発案件は、いずれも中間評価が良好であり、順調に推移した。これらの結果、売上高は27億7000万円(前々期比22.6%減)となりました。

    モバイルコンテンツ関連については、継続して運営中の大型案件にて大規模な処理負荷対策を実施するなど、レベニューシェアを含む運営業務全体としての売上は、前年を上回って推移した。一方で、スマートフォンゲームの開発途中にサーバーの大規模な増強が必要となり、それに付随して一部作業に手戻りが発生した。前期末時点で顧客への引き渡しはほぼ完了したが、当初想定より大幅に開発スケジュールが延びたことで他の案件への着手ができず、開発売上が減少した。

    これらの結果、売上高は14億9200万円(同18.9%減)となった。また同案件のコストが大きく膨らみ、損失となった。

    ②その他事業 売上高3億5200万円(同2.9%減)、営業利益7100万円(同10.5%増)
    家庭用カラオケ楽曲配信事業は、安定して高水準な収益を維持した。SI事業では前期前半に想定していた案件の失注や着手遅延が発生したが、第3四半期に新規の開発案件を獲得して後半に売上を伸ばしたことで、前々期比ほぼ横ばいで推移した。

  • ■今期は黒字回復の予想に

  • 2025年8月期通期の連結業績予想については、以下のとおり。

    売上高56億円(前期比21.3%増)
    営業利益2億8000万円
    経常利益2億6000万円
    最終利益1億6000万円

    デジタルエンタテインメント事業では、2024年8月期に複数の開発案件が中止や失注となったが、家庭用ゲーム機向けを中心に開発に関する相談や依頼は引き続き寄せられており、新規受注に向けての活動を精力的に推進している。また、2023年8月期以前から取り組んできた開発案件や2024年8月期に立ち上がった案件がそれぞれ複数件進行中としている。

    また、プロジェクト管理ルールの強化と徹底には引き続き取り組むほか、2024年9月にプロジェクトマネジメント支援室を立ち上げ、開発を進めているプロジェクトチームとは別の視点から進捗と品質をモニタリングすることなどで、適正な開発進行と、トラブルになりそうな場合の早期対策を徹底していくという。

※過去12四半期分の四半期業績推移のグラフを追加しました。

株式会社トーセ
http://www.tose.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社トーセ
設立
1979年11月
代表者
代表取締役会長 齋藤 茂/代表取締役社長 渡辺 康人
決算期
8月
直近業績
売上高46億1500万円、営業損益5億2200万円の赤字、経常損益5億100万円の赤字、最終損益2億6000万円の赤字(2024年8月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4728
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