gumi<3903>は、2025年4月期 第3四半期(24年11月~25年1月)の決算説明動画を公開した。川本 寛之社長は、注力しているブロックチェーン事業における金融領域の新たな取り組みと決算概要を中心に説明していった。
第3四半期の業績については、売上高19億1100万円、営業利益1億1900万円、経常利益7600万円、最終利益9億500万円と営業利益と経常利益は3四半期連続で黒字を達成したことを強調した。
新規事業展開として、川本社長は10億円相当のビットコイン購入とBabylonへのステーキングを説明した。さらに、TISとの合弁会社設立を通じて、ノード運営事業の強化を図る。
ブロックチェーンゲームでは、『TOKYO BEAST』の事前登録を開始したことにも言及した。プレイヤーとベッターの2つの楽しみ方を提供する新しいブロックチェーンゲームになるという。
このほか、AI領域への取り組みについても言及し、gumi AI Labsの設立や米国カリフォルニア大学バークレー校のインキュベーションプログラムへの参画とAI企業への投資も報告した。
<以下、説明会より(※読みやすくするため一部表現を変更しております)>
株式会社gumi代表取締役社長の川本です。それでは、当社第3四半期決算のご説明をさせていただきます。本日の主なテーマは、ブロックチェーン事業における金融領域の新たな取り組み、そして決算概要の2点です。
それでは具体的な内容に入っていきます。まず、2025年4月期における第3四半期の業績およびトピックスについてご説明いたします。第3四半期においては、売上高は19億1100万円、営業利益は1億1900万円、経常利益は7600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億500万円となりました。
第3四半期累計では、売上高は74億500万円、営業利益は2億9900万円、経常利益は10億6600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は15億500万円となりました。
【第3四半期累計業績】
・売上高:74億0500万円(前年同期比14.6%減)
・営業利益:2億9900万円(前年同期30億2900万円の損失計上)
・経常利益:10億6600万円(同27億1600万円の損失計上)
・最終利益:15億0500万円(同11億0300万円の損失計上)
3四半期連続で営業利益および経常利益は黒字となり、親会社株主に帰属する四半期純利益についても、QonQ、YonYともに大幅な増益となりました。
さらに、開示済みではございますが、2月18日に非上場の投資有価証券を売却し、第4四半期に特別利益として11億9500万円を計上する予定です。
次にトピックスとなりますが、当社は現在、事業方針に則り、ブロックチェーン等事業における金融領域の強化に取り組んでおります。今回新たに10億円相当のビットコインを購入することを決定した上、ビットコインのステーキングプロトコルであるBabylonノードにステーキングを開始しております。なお、ビットコインの価格が乱高下しているため、5月末までの完了に向けて、できる限り低い価格での取得をする方針でおります。
加えて、ノード運営を主軸としたさらなる事業展開を図るべく、国内大手のシステムインテグレーターであるTISと、新たに合弁会社を設立することとなりました。
また、ブロックチェーンと事業のゲーム領域においては、サイバーエージェントの子会社であるTOKYO GameFiの知見等を活用し、鋭意開発を行っておりますブロックチェーンゲーム『TOKYO BEAST』の事前登録受付を3月3日に開始しました。これまでにない新しい体験ができるゲームとなっておりますが、詳細については後ほどご説明いたします。
続きまして、第3四半期末時点で、当社および当社が運営するファンドにて保有する暗号資産額についてまとめております。当社は、2018年の暗号資産黎明期より積極的に暗号資産への投資を行っており、第3四半期末時点において、当社グループが保有している暗号資産は、ビットコインやSuiなど有力な暗号資産を含め、52億5800万円となります。
なお、この保有額には、新たに購入する10億円相当のビットコインは含まれておらず、別枠で記載しております。加えて、TISとの合弁会社設立により資本を受け入れを行いますが、当該資本につきましても、金額非公開とはなりますが、ノードの運営事業に投下していく予定です。
引き続き当社グループは保有する暗号資産額の増加をさせていくことで、暗号資産の値上がり益のみならず、バリデータ報酬やステーキング報酬を獲得することで、ノード運営事業を強化してまいります。
また、当社が運営しておりますファンドは、200億円規模のファンドになります。ファンドからは上場・非上場の暗号資産出資やエクイティ出資等、様々な手法にて投資を実行しておりますが、2024年12月末時点の時価ベースにて、約110億円規模の暗号資産を保有しており、こちらも引き続き順調に増加傾向にあります。引き続き暗号資産のキャピタルゲインを狙うべく投資を継続してまいります。
続きまして、グラフをご覧ください。こちらは当社グループの保有暗号資産の残高推移となります。順調に増加傾向にあるのがご覧いただけると思います。今回決議しました10億円相当のビットコインの購入、そしてTISとの合弁会社を設立し、資本の組み入れを行っていくことで、暗号資産の保有残高をさらに高めてまいります。
続きまして、新たに購入を決議した10億円のビットコインの具体的な活用についてご説明いたします。Babylonとは、ビットコイン保有者がBabylonに預けたビットコインを他のブロックチェーンのセキュリティ担保に活用するセキュリティプロトコルとなります。当社はこれまでの様々な有力チェーンのノード運営を行ってきたこと、そしてサーバー運用等の安定稼働を実現していることが高く評価され、今回、日本国内の上場企業として初めてBabylonのノード運営に参画することとなりました。
当社がBabylonを通じてどのような価値を創出するのか、相関関係図を記載しておりますが、当社が10億円相当のビットコインをBabylonに預け入れることにより得られるステーキング報酬を、右側の赤枠で記載しており、まだ左側には、ノード運営事業の報酬について表現しております。当社は、ビットコインの値上がり益のみならず、ビットコインを預けることにより得られるステーキング報酬に加え、ノード運営者としての報酬も獲得することで、複合的に収益を獲得して参ります。
続きまして、TISとの連携についてご説明いたします。冒頭にもご説明しました通り、当社は国内大手のシステムインテグレーターであるTISと合弁会社HiNODE Technologiesを設立する運びとなりました。こちらの背景に関し、簡単にご説明いたしますが、現在、ブロックチェーン市場が急成長している中、ブロックチェーン上におけるトランザクション承認やネットワーク維持を行うバリデーターの役割が最重要視されている状況です。
その中において、DSが有するシステム分野での豊富な知見および1万5000社を超える顧客ネットワークと、当社グループが有するノード運営および暗号資産管理ノウハウ等、両社の知見を融合させることで、ノード運営事業を主軸とした更なる事業展開を図ることができると考え、本合弁会社の設立を決定いたしました。
本合弁会社においては、ノード運営の実施のみならず、ノード運営を通じて得た暗号資産の会計管理ノウハウを活用した新たなサービスも提供していく予定であり、国内大手上場企業が課題とする暗号資産に関する複雑な会計処理にも貢献してまいります。
なお、TISとは、2025年2月14日よりWeb3コンサルティングサービスNUE3の共同提供も開始しており、これらの複合的な取り組みを通じ、Web3システムインフラ事業を展開する会社として、ノード運営と暗号資産会計管理システムの提供という両面において、国内トップシェアを目指してまいります。
先ほども申し上げましたが、東京ビーストの事前登録受付が3月3日に開始されました。本作の楽しみ方は、プレイヤーとしての楽しみ方とベッターとしての楽しみ方の2種類があります。
プレイヤーはアンドロイドのビーストを4体編成し、「XENO-karate(ゼノカラテ)」という大会に出場することで頂点を目指します。また、ベッターは観客として週末に行われる「XENO-karate(ゼノカラテ)」大会のチャンピオンシップの試合結果を予想して、ベッティングすることができます。
見事予想を当てると、ゲーム内のジュエルや仮想通貨に交換できるアイテムを獲得することができます。プレイヤーはWeb2の楽しみ方を追求し、ベッターはWeb3の楽しみ方を追求できる、今までにないエンターテイメントを提供するブロックチェーンゲームとなります。こちらは2025年春の配信を予定しておりますので、ご期待いただければと思います。
続きまして、その他のトピックスについて順次ご説明いたします。まずは業績についてですが、エグゼクティブサマリーにて数値をご報告いたしましたので、一部割愛の上、簡単にご説明いたします。
売上に関しては、一部不採算タイトルのサービス終了および『乃木坂的フラクタル』のアピリッツとの共同運営移管の影響を受け、QonQでは7億3400万円の減収となりましたが、第1四半期で実施した収益構造の改善施策が奏功したことに加えて、OSHIトークンおよびFCTトークンの継続事業が収益を下支えした結果、営業利益は3四半期連続で黒字を達成しております。
経常利益に関しては、持分法による投資損失を大きく計上いたしましたが、保有暗号資産のリバランスを実施したことによる暗号資産売却益を計上したことに伴い、3四半期連続で黒字を達成しております。また、親会社株主に帰属する四半期純利益についても、昨年12月に開示しましたエイリムの株式譲渡による特別利益を計上したことなどにより、大幅増益となっております。
続きまして、セグメント別業績についてご説明いたします。まず、モバイルオンラインゲーム事業につきましては、新規タイトルの開発費増加により、今期初の営業赤字となりましたが、既存タイトルにつきましては黒字運営を継続しております。
ブロックチェーン等事業につきましては、QonQで減収したものの、エンターテイメント領域においては引き続きOSHIトークンとFCTトークンの受領が収益に大きく貢献しました。ノード運営・アセットマネジメント領域では、これまで様々な運用方法について検証を行っておりましたが、リスクのある資産も含めた高分散運用の手法の確立により、安定した利益を確保しております。
投資その他の分野では、ファンド運営費用などの定常的なコストが発生しており、赤字となっておりますが、ブロックチェーン等を事業全体としては3四半期連続で営業黒字を達成いたしました。
続きまして、ブロックチェーンと事業の利益に関する補足説明をさせていただきます。初めに、ブロックチェーン等事業全体における会計処理について簡単にご説明いたします。役務の対価として新たにトークンを受け取った場合には、原則、売上として計上しております。こちらについては、OSHIトークンやノード運営事業におけるバリデーター報酬の受領時に計上しているものとなります。
一方、既に保有しているトークンや、投資の対価として受領したトークンの時価の変動については、原則として、営業外損益として計上しています。これらの違いを踏まえた上で、各領域の状況をご説明いたします。
エンターテイメント領域につきまして、FCTトークンの価格上昇により、評価益が計上されたものの、既に受領済みのOSHIトークンの価格がQonQで下落し、評価損を計上したことから、経常損失となりました。
ノード運営アセットマネジメント領域につきましては、ノード運営事業においてステーキングしている暗号資産の価格が上昇したこと、および運用資産の入れ替えであるリバランスにより、暗号資産売却益を大きく計上したことにより、経常増益となりました。
投資その他につきましては、GC2号が保有するトークンの価格下落を主因として、持分法による投資損失を計上いたしましたが、AI領域への投資に加え、GCC1号ファンドの投資倍率は7.7倍と、いまだ順調に推移しております。GC2号およびDecima Fundの優良案件への投資実行により、投資リターンの最大化を目指しつつ、状況に応じて適切な投資回収を実行してまいります。
続きまして、事業構造改革の実施について説明いたします。既に開示をいたしましたが、昨年12月に組織再編の一環としてエイリムの全株式をガンホー・オンライン・エンターテイメントに譲渡したことに加え、2025年2月には、非上場の投資有価証券1銘柄についても売却いたしました。この資産の流動化によって得られた約15億円の資金につきましては、既に公表いたしましたビットコインの購入等、ブロックチェーン等事業における金融領域を初めとする重点領域への投資資金に充当することで、事業拡大をさらに加速させていく方針です。
続きまして、GC1号およびGC2号ファンドが投資する銘柄であるsolvとRedStoneが、世界最大の暗号資産取引所であるBinanceに上場いたしました。
solvは、ビットコインのステーキングを容易にする革新的なデファイプラットフォームとなります。
RedStoneは、用途に応じた複数のデータ提供モデルを提供することを可能としたWeb3とDeFi(デファイ)向けの分散型オラクルとなります。スマートコントラクトはブロックチェーン上に記録されていないデータにはアクセスできませんが、外部の情報が必要になることが多々あるため、外部との橋渡しをする役割が必要となり、それがオラクルとなります。
今回の上場は、両社の技術力と将来性が世界に認められた証であり、今後の成長を大きく後押しし、企業価値向上に大きく貢献するものと期待しております。引き続き、優良な投資案件への実行を進め、安定したリターンの最大化を目指してまいります。
続きまして、AI領域における当社の取り組みについてご説明いたします。当社グループは、モバイルオンラインゲーム事業、そしてブロックチェーン等事業を主軸として展開しております。しかしながら、近年、AI領域は目覚ましい成長を遂げており、この分野においても新たな事業を創出することが今後の当社の成長に不可欠であると認識しております。
そこで同社は、gumi AI Labsを設立し、AI領域への取り組みを本格化いたしました。そして2024年6月には、米国カリフォルニア大学バークレー校のAIインキュベーションプログラムAIEBとのパートナーシップを締結いたしました。
本プログラムには、マイクロソフトやオープンAIなど世界の名だたる企業が投資パートナーとして参画しております。このパートナーシップを通じ、直近では新たにAIスタートアップ企業2社に出資を行い、計6社への出資を実行しております。
当社はこれらの取り組みを通じて、AI領域における新たな成長機会を積極的に模索し、グローバルでの競争力をさらに強化してまいります。
続きまして、各事業の進捗になりますが、今回は当社のブロックチェーン事業の金融領域におけるビジネスモデルについて詳しく説明をしたいと思いますので、17ページから24ページの事業の進捗およびOSHI3につきましては、資料をご覧いただければと思います。
当社はブロックチェーンの可能性を最大限に生かし、ノード運営とアセットマネジメントを融合させた独自の金融ビジネスモデルを展開しております。当社の強みとして、第1に、有力なブロックチェーンネットワークにバリデータとして参画しており、ネットワークの維持承認に貢献することで、貴重な情報を取得しつつ、安定的な報酬を得ることができる点です。
第2に、2018年から開始した暗号資産ファンドの運用を通じて培った高度な資産運用のノウハウです。これにより、市場の変動に柔軟に対応しながら、最適な投資判断を行うことが可能となっております。
ビジネスモデルについては、シンプルなサイクルで構成されています。まず買うというフェーズでは、暗号資産を戦略的に取得し、ポートフォリオを構築します。次に増やすというフェーズへ移行し、二つの主要な運用戦略を採用しております。
一つ目は、当社がバリデータとしてノード運営を行うことで、ネットワークの安定性を支えながら継続的な報酬を得る仕組みとなります。また、暗号資産をステーキングという手法で預け入れることで、長期的なリターン確保を目指します。二つ目は、市場の状況を的確に分析し、資産の最適な配分を行います。これにより、リスクを抑えつつ、運用収益の最大化を実現します。
このサイクルを継続的に回していくことで、当社の保有暗号資産の最大化を図っております。当社は単に暗号資産を保有するだけでなく、高度な運用戦略を駆使し、持続的な価値創出を行うことを強みとしております。本事業については、当社の注力事業として、ブロックチェーン技術の発展と市場の動向を見極めながら、より一層の成長を目指してまいります。
なお、決算説明資料において、本件ご説明以外にも、業績の推移・Appendixを記載しておりますが、こちらに関しては説明を割愛させていただきますので、別途ご確認をいただけますと幸いです。
以上、駆け足ではございましたが、2025年4月期第3四半期決算についてご説明をいたしました。こちらで説明を終わらせていただきます。ご視聴いただき誠にありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- 株式会社gumi
- 設立
- 2007年6月
- 代表者
- 川本 寛之
- 決算期
- 4月
- 直近業績
- 売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3903