福島県南相馬市を拠点とする任意団体「wind&soil」は、地域での映画上映を支援するサービス「シネポッケ」を立ち上げ、2025年4月23日より初開催する。地域で楽しい場を作りたい人に対して、簡単に映画上映ができる仕組みを提供している。映画館がないような小さな街でも、主催者の負担を最小限に抑えた上映会が実施できる。
「シネポッケ」は、小さなまちでも、手軽に・気軽に映画上映ができる新しい仕組み。通常、映画を上映しようとすると、作品使用料として数万円が必要になるが、地方ではチケット収入だけでこの費用をまかなうのは簡単ではない。
そこで、シネポッケは作品使用料を“チケット販売数に応じて"設定。観客数が限られる地域でも、無理なく上映会を開くことができる。
また、上映までの手順をまとめたマニュアル、各種ツールや告知素材、機材リストも用意しており、初めての主催者でも、安心して一歩を踏み出せる環境を整えている。
地域ごとの空きスペースや風景、その土地ならではの空気感を生かしながら、「その場所にしかない映画館」を一緒に育てていきたい、としている。
■4月/5月の上映作品は『カモン カモン』
初回の上映作品は、マイク・ミルズ監督によるモノクロ映画『カモン カモン』(2021年)。ジャーナリストの叔父と、突然一緒に暮らすことになった9歳の少年との旅を通して、世代を超えた対話と再生を描く作品。全編モノクロの美しくも繊細な映像も見所。決して派手な映画ではないが、見終わったあとにじわっと余韻が残るような、優しさに満ちた物語。
■初回スケジュール
・4月23日:東京都新島村 Hostel NABLA
・4月29日:福島県飯舘村 図図倉庫
・5月10日/11日:岩手県宮古市 シネマ・デ・アエル
■wind&soil 代表メッセージ
私が暮らす地域では、最寄りの映画館まで車で片道1時間半かかります。非日常の刺激や楽しみに浸りたくて、わざわざ車を走らせて観に行くこともあります。そんな体験を通して思うのは、「もっと気軽に、身近な場所で映画が観られたらいいのに」ということ。その想いから、この事業を始めました。「どうせ自分のまちは」という前提を手放して、「こんなものがあったらいいな」と思い描いたことを、自分たちで形にしていく、そんなチャレンジを応援したいと思っています。そして、全国各地に、その土地ならではのユニークな場が増えていくことを願っています。