デジタル・フロンティア、国内初となる30人同時モーションキャプチャー撮影に成功 円谷フィールズ傘下

円谷フィールズホールディングス<2767>傘下のデジタル・フロンティアは、東京・お台場にある日本最大級のモーションキャプチャースタジオ「オパキス」で、国内初となる30人同時モーションキャプチャー撮影に挑戦し、成功したことを明らかにした。スタジオでは、これに先立つ1月に新たに世界最高水準の高精度カメラ100台を導入していた。

「オパキス」は現実の人物や物体の動きをデジタルデータとして記録するための設備を備えたモーションキャプチャー撮影に特化したスタジオ。これまでの国内のモーションキャプチャー業界では最大撮影人数が16人だったのに対して、「オパキス」では、およそ2倍となる30人での迫力ある撮影が可能となった。

時代劇における合戦のシーンや大人数でのダンスシーン等、それぞれの動きをデジタルデータで取り込むことで、さらに迫力のあるリアルな映像制作が可能となる。そのほか様々な場面での活用が期待されている。

 

▼実際の撮影風景:業界初の30人同時モーションキャプチャー撮影に成功したデモ映像

 

■30人同時モーションキャプチャー撮影挑戦の背景

映画やドラマ、ゲームにおけるグラフィックスはよりリアルで没入感のある表現が求められており、それに伴って3DCGの撮影・編集といった制作作業量も増加傾向にある。こうした中、モーションキャプチャーの高精度化・同時撮影人数の拡大は、撮影回数と撮影時間を削減できるだけでなく、撮影時のシステム修正作業が減り、3DCGアーティストが対応する制作業務の効率化が図れるため、よりクオリティの高い映像を制作することができる。

 

■最先端カメラにリニューアルしたオパキスがさらに進化

①最大30人分の5本指データの同時取得が可能に
従来は撮影時に3本指のデータをとり、その後データを5本指に修正して納品することが多かっただが、システムのアップデートにより、最大30人分の5本指データを同時にキャプチャーできるようになった。これにより、より複雑かつ大規模なシーンの収録にも対応可能となった。

②フルエリア対応:15m×10mの全範囲で5本指のデータ取得が可能
これまで5本指のデータ取得はスタジオ中央(約8m×4m)の範囲に限られていたが、今回のリニューアルにより、15m×10mの収録可能エリア全体での5本指キャプチャーが可能になった。広範囲での演技やアクションにも対応でき、演出の自由度が飛躍的に向上した。

③システム修正・データ修正作業の大幅削減を実現
最新のシステムでは、指の自動識別精度が向上し、撮影時の設定調整や手作業でのデータ修正が大幅に軽減した。これにより、収録からポストプロダクションまでの作業効率が飛躍的に向上した。

 

■実験を行ったモーションキャプチャーチームからのコメント

今回の30人同時キャプチャーの成功は、長年取り組んできた多人数撮影における限界への挑戦の集大成です。リニューアル以前のオパキスでは、最大16人までの同時撮影の実績がありましたが、それ以上の人数での高精度なキャプチャーは困難でした。今年1月の最新鋭カメラ100台の導入により、20人を超える大人数での同時撮影が可能であるという確信を得ることができました。

この進化した技術を通じて、これまで表現しきれなかった大規模な群衆シーンや複雑なインタラクションを、よりリアルに映像化できると期待しています。

業界初の30人同時キャプチャーの成功は、オパキスが新たなステージへと進むための重要なマイルストーンです。このリニューアルによって、より効率的かつ高品質なモーションキャプチャーを提供できる体制が整いました。今後の展開として、この進化した技術を積極的にアピールし、様々な映像制作現場での活用を促進することで、業界全体の発展に貢献していきたいと考えています。

—— CG制作部 モーションキャプチャーディビジョンマネージャー 越田 弘毅氏

円谷フィールズホールディングス株式会社
https://www.tsuburaya-fields.co.jp/

会社情報

会社名
円谷フィールズホールディングス株式会社
設立
1988年6月
代表者
代表取締役社長 グループ最高経営責任者 山本 英俊
決算期
3月
直近業績
売上高1405億8100万円、営業利益152億9500万円、経常利益164億6200万円、最終利益111億5800万円(2025年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2767
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