スクエニHD、26年3月期は減収・営業増益を計画 「量から質」に転換、「確かな面白さ」提供する開発体制も 中計期間は成長に向けた再起動の3年に

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は、2026年3月期の連結決算について、売上高2800億円(前期比13.7%減)、営業利益410億円(同1.0%増)、経常利益410億円(同0.1%増)、最終利益287億円(同17.6%増)と減収・増益を計画している。
・売上高:2800億円(同13.7%減)
・営業利益:410億円(同1.0%増)
・経常利益:410億円(同0.1%増)
・最終利益:287億円(同17.6%増)
・EPS:79.7円


同社は、2024年5月に新中期経営計画(25年3月期~27年3月期)として、「Square Enix Reboots and Awakens~さらなる成長に向けた再起動の3年間~」を発表した。確かな面白さをもつバラエティ豊かなコンテンツを世界中に届ける存在に進化するため、新中期経営計画の3か年を「さらなる成長に向けた再起動の3年間」と位置づけて、以下の4つの戦略を実行する、としている。
① デジタルエンタテインメント(DE)事業の開発体制最適化による生産性向上
② コンタクトポイント(顧客接点)強化による収益獲得機会の多様化
③ 経営基盤の更なる安定化に向けた各種施策の導入
④ 成長投資と株主還元のバランスを勘案したキャピタル・アロケーション

デジタルエンタテインメント事業は以下の取組を行う。
・「確かな面白さ」を提供する「量から質」への転換
DE事業における中長期ポートフォリオの考え方として、「量から質への転換」を推し進めていく。そのために、第一に、同社グループ社員の想像力から生まれる独創性のコンテンツへの反映(プロダクト・アウト)と、ユーザーの声やマーケットトレンドへのキャッチアップ(マーケット・イン)をバランスよく開発プロセスに組み込んでいく。
また、ユーザーに長く愛されるポテンシャルの高いタイトルに人材と開発投資を重点的に配分し、各IPを支えるタイトル開発を担うコアチームの練度向上を図る。さらに、全体ポートフォリオおよび個別IP双方の観点から最適な頻度とタイミングを考慮したローンチスケジュールを可能とする重層的なタイトルラインナップ構築を目指していく。

・スクウェア・エニックスならではの「面白さ」を届けるタイトル開発に注力
タイトル開発においては、以下の点を重視していく。まず、大・中規模のHDタイトルにおいては、安定した「面白さ」をベースにファン層の維持・拡大に努めるとともに、SD(スマホ・PCブラウザ)タイトルについては、安心して長く遊べる「面白さ」をベースに、ヒットレシオ向上を目指す。
新規IPにおいては、新たなファン層開拓に向けて、新規性・独創性のある「面白さ」を重要視し、タイトル開発を行っていく。また、同社グループが保有する豊富なライブラリーIPの活用によるカタログラインナップの強化にも挑戦していく。


・スクウェア・エニックスならではの「面白さ」を生み出す開発体制の整備
社内開発体制を刷新し、内製開発力を強化するため、事業部制組織モデルであるBU制を廃止し、開発機能に重心を置いた一体運営型の組織体制を導入した。
また、社内開発体制の刷新に加えて、「個」のクリエイティブと「組織」のマネジメントが調和した開発推進体制への転換をするため、プロデューサーおよびそれに付随する職種のミッション再定義と社内支援体制整備、タイトル開発進捗管理プロセス全体の見直しによる開発投資効率向上を行っていく。

前回の中期経営計画(2022年3月期~24年3月期)では、海外3スタジオ及び一部IP売却によるポートフォリオ整理、収益基盤としてのMMO事業拡大、出版事業における安定的成長フェーズへの移行、アミューズメント事業のV字回復実現、ライツ・プロパティ等事業の継続的成長といった成果があった。
その一方で、HDゲーム事業の低収益性、スマートデバイス・PCブラウザ等事業の成長減速、会社全体としてのポートフォリオ管理が不十分であること、一部の経営管理基盤が未整備である、といった大きな課題も浮き彫りになったという。
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス
- 設立
- 2008年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3245億0600万円、営業利益405億8000万円、経常利益409億3900万円、最終利益244億1400万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684