東宝、第1四半期決算は営業益21%減の193億円…前年「劇場版ハイキュー!!」「変な家」高稼働と「ゴジラ-1.0」配信権収入の反動減で

東宝<9602>は、7月15日、2026年2月期 第1四半期の連結決算を発表し、営業収入848億7800万円(前年同期比1.3%減)、営業利益193億3900万円(同21.3%減)、経常利益189億2900万円(同18.9%減)、最終利益115億6500万円(同28.4%減)だった。

・営業収入:848億7800万円(同1.3%減)
・営業利益:193億3900万円(同21.3%減)
・経常利益:189億2900万円(同18.9%減)
・最終利益:115億6500万円(同28.4%減)

同社では、TOHO animation作品の国内外の配信権利用等が好調に推移したものの、前年同期は「劇場版ハイキュー‼ゴミ捨て場の決戦」「変な家」の高稼働に加え、「ゴジラ-1.0」の配信権収入を計上した反動で減収減益となった。

 

■映画事業:営業収入402億7400万円、営業利益90億4600万円

映画事業全体では、営業収入が402億7400万円(同6.2%減)、営業利益が90億4600万円(同29.5%減)となった。

【映画営業事業:ヒット作品貢献も減収減益】
営業収入は129億9200万円(同26.5%減)、営業利益は41億8500万円(同50.3%減)となった。営業収入の主な内訳は、映画館への国内配給が106億3800万円(同23.7%減)、映像の利用・許諾が20億6300万円(同40.0%減)だった。

共同製作・配給作品のうち、「名探偵コナン 隻眼の残像」がシリーズ3作品連続で興行収入100億円を突破する大ヒットを記録。「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」や「#真相をお話しします」もヒットした。また、東宝東和などが配給した「ウィキッド ふたりの魔女」「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」も高稼働となった。

【映画興行事業:入場者数は減少も増収増益】
営業収入は221億4300万円(同3.6%増)、営業利益は39億7200万円(同4.4%増)となった。TOHOシネマズなどで、上記配給作品のほか、「マインクラフト/ザ・ムービー」などの洋画の話題作やライブビューイング作品が好調に稼働した。第1四半期累計における映画館入場者数は1096万9千人と前年同期比2.2%の減少となった。なお、劇場の異動はなく、全国で717スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)を経営している。

【映像関連事業:制作・スタジオ事業が堅調】
営業収入は51億3800万円(同32.0%増)、営業利益は8億8800万円(同43.9%増)となった。営業収入の主な内訳は、映像作品等に係る美術製作が27億9900万円(同31.2%増)だった。

TOHOスタジオにおいて、制作及びスタジオ事業の一体運営が堅調に稼働した。東宝映像美術や東宝舞台では、原価管理に努めながら、映画・TV・ライブイベントでの舞台・美術製作、テーマパークにおける展示物製作・メンテナンス業務などを受注した。

 

■IP・アニメ事業:営業収入189億9900万円、営業利益63億3,500万円

営業収入は189億9900万円(同11.3%増)、営業利益は63億3500万円(同13.1%減)となった。営業収入の主な内訳は、映像の利用・許諾が90億6500万円(同25.3%増)、商品化権等の利用・許諾が42億8600万円(同46.1%増)、商品の販売が39億7300万円(同33.1%減)。

IP・アニメ事業では、TOHO animation作品の国内外の配信利用、各種配分金収入が大きく貢献した。「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」「薬屋のひとりごと」「呪術廻戦」などの製作出資作品が好調だった。また、「ゴジラ」をはじめとする東宝怪獣キャラクターや「呪術廻戦」「ハイキュー!!」などの国内外における商品化権収入が伸長した。劇場用パンフレットやキャラクターグッズは、「名探偵コナン 隻眼の残像」「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」などの同社配給作品の販売が好調に推移した。TOHO animation作品のキャラクターグッズ販売やパッケージ販売も営業収入に寄与した。

 

■演劇事業:営業収入51億1700万円、営業利益7000万円

演劇事業の営業収入は51億1700万円(同2.5%減)、営業利益は7000万円(同93.0%減)となった。

演劇事業では、2025年2月28日をもって東宝の帝国劇場が休館となった。「ヒーロー」「ボニー&クライド」「陽気な幽霊」をシアタークリエで上演。また、「ウェイトレス(日生劇場)」「二都物語(明治座)」「ダンス オブ ヴァンパイア」などを外部の劇場で上演し、帝国劇場休館中も主催公演の回数確保に努めたが、借館料などの公演に係る費用が増加した。その他、「レ・ミゼラブル」などの社外公演を展開。東宝芸能では、所属俳優がCM出演などで堅調に稼働した。

 

■不動産事業:営業収入201億4900万円、営業利益59億6000万円

不動産事業全体では、営業収入が201億4900万円(同1.2%減)、営業利益が59億6000万円(同25.8%増)となった。

【不動産賃貸事業:堅調に稼働、空室率0.2%】
営業収入は94億7400万円(同0.6%増)、営業利益は37億6700万円(同32.9%増)となった。
全国に所有する不動産が堅調に稼働。保有物件の有効活用に努めつつ、テナントに対するきめ細やかな対応により、賃貸用不動産の空室率は、第1四半期末において0.2%となった。

【道路事業:増益を確保】
営業収入は78億3000万円(同2.9%減)、営業利益は18億100万円(同16.1%増)となった。営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等72億8300万円(同2.0%減)、その他収益2億4600万円(同7.6%増)が含まれる。
公共投資は底堅く推移したが、建設技能者の不足や労務費・資機材価格の上昇が継続する厳しい状況だった。スバル興業と同社の連結子会社は、一般競争入札における総合評価落札方式への対応強化を図り、各種工事の受注に努めた。大型工事案件の減少はあったものの、原材料等上昇分の価格スライドが認められた。

【不動産保守・管理事業:増益を達成】
営業収入は28億4300万円(同2.2%減)、営業利益は3億9100万円(同11.1%増)となった。東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、原材料価格の高騰や人手不足が継続する中、新規業務の受注や既存取引先の仕様拡大及び請負金額の改定等に努めた。

 

■2026年2月期の見通し

2026年2月期の業績は、営業収入3000億円(前期比4.2%減)、営業利益570億円(同11.9%減)、経常利益550億円(同14.7%減)、最終利益435億円(同0.3%増)、EPS256.55円を見込む。

・営業収入:3000億円(同4.2%減)
・営業利益:570億円(同11.9%減)
・経常利益:550億円(同14.7%減)
・最終利益:435億円(同0.3%増)
・EPS:256.55円

【通期計画に対する進捗率】
・営業収入:28.3%
・営業利益:33.9%
・経常利益:34.4%
・最終利益:26.6%

東宝株式会社
https://www.toho.co.jp/

会社情報

会社名
東宝株式会社
設立
1932年8月
代表者
取締役会長 島谷 能成 / 取締役社長 松岡 宏泰
決算期
2月
直近業績
営業収入3131億7100万円、営業利益646億8400万円、経常利益644億5500万円、最終利益433億5700万円(2025年2月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9602
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