
河出書房新社は、「ビジュアル図鑑 オカルト大全」(税込定価6930円)を9月29日に発売した。
ヘルメス主義、薔薇十字団、神智学、フリーメイソン、そして悪魔崇拝の要素など、広範かつ神秘的な組織や活動を包括する用語として、一般的に使用されている言葉「オカルト」。本書は、古代エジプトから現代まで、その歴史や内容を200点超の貴重な図版とともに詳細に解説するビジュアル図鑑となっている。
本書では「西洋オカルティズムの起源」「占い」「儀礼と典礼」「チャームとタリスマン」「呪いと呪術」「パワースポットと聖地」の7章65項目にわたって、オカルトの根底にある信念や実践について深く掘り下げる。そして、魔術、魔導書、占星術、秘儀、悪魔学、護符、錬金術、呪い、秘密結社、パワースポットなど、人類が生んだ神秘の全貌を明らかにする。
■本書の特長
①研究者による本格的な内容で、資料性の高さも圧倒的。初心者から専門家まで
②シンボル、地図、写真、古代文書など、歴史的にも貴重な資料が満載
③難解な定義や思想もわかりやすく解説
④黒ミサや悪魔崇拝、呪いなど、人気の高い黒魔術に関する記述も多数
⑤動画、漫画、イラストなどの作画、創作資料としてもおすすめ
■本書について
本書は、チグリス川とユーフラテス川の間の地、メソポタミアから始まり、古代世界との関連でシュメール、アッシリア、アッカド、バビロニアの各帝国として定義される順番で、西洋オカルティズムの探求を開始する。ここから古代エジプト、そして古典時代のギリシャ、ローマに移る。これらの地中海文化と中東文化は、互いの魔術的信仰と実践、さらには宗教において大きな影響を与え合った。本書では、これらがどのように影響を与え合ったのかについて言及している。
その後、ケルト、アングロサクソン、北欧の魔術的な実践に進む。本書では錬金術のほか、現代オカルティズムの主要な原動力の2本柱である占星術とヘルメス主義など、中世ヨーロッパのその他のオカルト信仰体系や実践についても考察する。ここから占い、儀式と典礼、チャームとタリスマン(talisman:護符)、呪い、秘密結社と聖地に関する章が続く。
これらの章では、歴史的なオカルト実践の基礎の一つを形成する呪文と精霊召喚の書である、魔導書について見ていく。テンプル騎士団(12世紀)、地獄の火クラブ(18世紀)、黄金の夜明け団(19世紀)などの神秘主義的な結社も探索する。そして、現代ドルイド教の本拠地となっているストーンヘンジや、現代のウィッカの本拠地の一つ、米マサチューセッツ州セイラムなどの場所を訪れる。ここではさまざまな地理的場所における個々の実践、またはグループの例を見たうえで、相互参照することができる。本書は、歴史的および現代的なオカルト実践の概要を提供し、より詳細な研究を開始するための出発点を形成することを目的としている。




▼ギャラリー
本書には、文中で取り上げた慣習や信仰の一部を視覚的に参照できる写真やイラストが含まれている。画像には有益かつ説得力があり、オカルト界の著名な人物の肖像画、美術品や遺物、シンボル、エンブレム、書籍のギャラリーなどが含まれている。
▼遺物
本書には、古代エジプトやギリシャのアミュレット、ブードゥー人形、呪いの板、魔術関連品など、関連性のある魅力的な遺物の画像が掲載されている。引用儀式のテキスト、歴史的布告の一節、古代の呪い、詩などからの引用は、議論されている時代、場所、人々、習慣に同時代的な文脈を与える。
▼タイムライン
各記事にはタイムライン(年表)が付いており、本文で説明した出来事を示し、年代的な目安を提供する。ページ右のタイムラインで示した全体のタイムスケールは、前5000年から後2000年(現代)までだ。0年をタイムライン上に濃い色の点で示すが、これはタイムスケールが変更される時期も示す。紀元前の各点は250年間隔、紀元後の各点は50年間隔である。金色の点は、記事に取り上げている期間を強調表示している。円〔サークル〕のアイコンは、本文中で論じた出来事を示す遺物または絵画に直接接続されている。
■著者紹介
・リズ・ウィリアムズ(Liz Williams)
ケンブリッジ大学で歴史と科学哲学の博士号を取得。現在、英グラストンベリーを拠点とし、魔術関連ビジネスの共同経営を行うとともに、英「ガーディアン」紙に異教と科学哲学についての記事を寄稿、米の異教ニュースサイト「The Wild Hunt」の在英特派員も務める。著書に、英国のペイガニズム(異教主義)の歴史を書いたMiracles of Our Own Making、異教の結婚式に関する著作Modern Handfastingがある。
■訳者紹介
・辻元よしふみ(つじもと・よしふみ)
翻訳家、服飾史・軍事史研究家。陸上自衛隊需品学校部外講師。早稲田大学卒。訳書「第三帝国全史」(全2巻)、「バルバロッサ:最前線のドイツ兵が見た独ソ戦」など。辻元玲子との共著に「軍装・服飾史カラー図鑑」など、監修・共訳書に「ビジュアル図鑑 魔導書の歴史」「写真でたどる 麗しの紳士服図鑑」「古代ローマ帝国大図鑑」などがある。テレビ出演も多数。
・辻元玲子(つじもと・れいこ)
歴史考証復元画家(ヒストリカル・イラストレーター)、陸上自衛隊需品学校部外講師。桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。ドイツ国立ミュンヘン音楽・演劇大学特別課程修了。日本で数少ないユニフォーモロジー(制服学)と歴史復元画の専門画家。辻元よしふみとの共著、共訳書は上記。
<書誌情報>
書名:ビジュアル図鑑 オカルト大全
著者:リズ・ウィリアムズ
訳者:辻元よしふみ、辻元玲子
仕様:A4変型判(246×190ミリ)/上製・角背/本文256ページ/オールカラー
初版発売日:2025年9月29日
定価:5390円(本体4900円)
ISBN:978-4-309-22959-1
出版社:河出書房新社