
CRI・ミドルウェア<3698>は、2025年11月6日に、2030年度(2030年9月期)に売上高100億円(25年9月期の実績は34億円)、営業利益率20%(同16%)、ROE15%以上(同11%)をめざす「CRIグループ中期経営計画(2026-2030)」(中計2030)を策定した。許諾売上高比率は60〜70%を目標とし、2025年度予想の66%から伸長する。

中計2030は、ゲーム依存の事業構造を、2030年度までにモビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションの3本柱(コア事業)の事業構造に変革することをめざす。

事業別売上高目標(2030年度)は、モビリティ事業が40億円(CAGR 44.3%)、ゲーム事業が30億円(CAGR 10.9%)、オンラインコミュニケーション事業が20億円(CAGR 46.0%)、組込み事業が10億円(CAGR 7.1%)、合計100億円である。

■各事業の成長戦略
①モビリティ事業
音声製品『CRI ADX Automotive』(ADXAT)/『CRI SOLIDAS』とグラフィック製品『CRI Glassco』を中心に拡大を図るが、M&Aや受託業務による拡大も想定する。ADXAT/SOLIDASは、2030年までに四輪車の世界生産台数の20%強(2000万台)への採用をめざし、車両1台あたりから得られる収入増(1.5倍増目標)を目論む。Glasscoは、2030年までに二輪・四輪車の世界生産台数の10%(1500万台)への採用をめざす。特に、世界最大の二輪市場であるインド二輪市場で1000万台(市場シェア約50%)の採用を目論む。
②ゲーム事業
国内ミドルウェア事業は、新製品/新機能や他社製品との連携による機能強化や製品ラインナップ拡充によりシェア拡大を図る。
海外ミドルウェア事業は、日本の10倍近くある中国・欧米市場に注力し、2030年度までに売上高10億円をめざす(2025年度予想2億円)。中国市場では第3のOSへの対応により許諾ビジネスの拡大を図り(売上1.5倍効果)、欧米ではGDCなど世界的なゲームイベントへの出展や現地販売代理店の増加、米国子会社の立上げ(2028年まで)を視野に入れ、映像関連ミドルウェア『CRI Sofdec』や『CRI Clovis』などをドアノックに拡販を進める。
音響制作事業は、既存顧客からのリピートオーダーを確実に取り込むとともに、中国現地企業の「日本人声優によるボイス収録需要」の取り込みを強化する。
③オンラインコミュニケーション事業(OLC事業)
『TeleXus』(ゲーム/非ゲーム向け)とクラウドソリューション事業で構成される。2030年度までに売上高20億円をめざす(2025年度予想3億円)。
ゲーム向け『TeleXus』は、ボイスチャットの採用実績を積み上げ、新機能リリースにより差別化を図ることで、ユーザーの利用量を増加させ収入増を目論む。
非ゲーム向け『TeleXus』は、特に「モビリティ」「イベント」「教育」の3市場向けに注力し、M&Aやアライアンスも活用し新市場開拓を推し進める。
クラウドソリューション事業は、オンライン上でのリアルタイム処理技術と、動画や画像の軽量化技術などを中核に、お客様に最適なソリューションを提供し、2026年3月までは研究開発期間と定め、今後の新たな収益源として期待する。
■M&A/アライアンス方針
中計の達成状況に応じて、2030年度までに15億円程度のM&A投資を行う。特にモビリティ事業については、音声/映像周りの技術や専門技術者の取り込みに注力する。
■株主還元方針
連結配当性向30%を目安に決定し、剰余金の配当は期末配当の年1回を基本的な方針とする。2026年9月期(予想)の1株あたり年間配当金は27円(配当性向30.5%)である。
■キャッシュアロケーション及び財務方針
成長のための投資(研究開発投資、海外投資等およびM&A投資)と安定経営に資金を配分し、余剰資金は継続的に株主へ還元する。成長投資の内訳として、研究開発投資に約10億円、海外展開推進への投資や事業設備、事務所拡張への投資に約6億円、M&A投資に約15億円を計画する。
また、財務方針として、手元資金は売上高の4ヶ月分を目安に保有し、自己資本比率は65%以上を維持する。
会社情報
- 会社名
- 株式会社CRI・ミドルウェア
- 設立
- 2001年8月
- 代表者
- 代表取締役会長 鈴木 正彦/代表取締役社長 押見 正雄
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高34億4800万円、営業利益5億5400万円、経常利益5億6600万円、最終利益4億2000万円(2025年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3698