セガサミーHD、中間決算説明会での質疑応答要旨…期待下回るゲーム販売、AAAとインディーに2極化するゲーム市場、ライセンス事業への注力など議論

セガサミーホールディングス<6460>は、2026年3月期 第2四半期の決算説明会で、ゲーム事業を中心とするエンタテインメントコンテンツ事業をめぐる現状と今後の方向性に関する質疑応答の要旨を公開した。収益の変動要因となりやすいフルゲーム新作やF2Pタイトルの課題、リピート販売の動向、ライセンスビジネスの展開、さらには開発規模の拡大への対応など、多岐にわたるテーマが議論された。

まず、フルゲームおよびF2Pタイトルの収益の波が大きい点について同社は、利益率の高いライセンス収入やフルゲームのリピート販売、そして継続的な収益が期待できるF2Pタイトルを“安定基盤”として育て、その上でボラティリティの高い新作フルゲームに挑戦できる状態を整えていく方針を示した。トランスメディア展開を進め、収益源を多層化することで、新作の有無による業績の振れ幅を抑制したい考えだ。

 

一方、近年のフルゲーム新作については、ゲームクオリティが高く評価されながらも販売実績が期待を下回る傾向が続いている。同社は、この要因として、発売時点のジャンル競合や価格設定に加え、時間を置けば“完全版”が出るのではないかというユーザーの懸念が買い控えにつながっている可能性があるとの見方を示した。

また、明確な原因を特定できていないものの、ゲームの魅力が十分に伝えられていないというマーケティング上の課題も認識しており、現在、要因分析を進めているという。『ソニックレーシング クロスワールド』など高品質なタイトルが多いだけに、マーケティング施策の改善によって販売実績の積み上げを図りたい考えだ。

また、2025年3月期のリピート販売が前年同期比18.5%減の180億円と前年の好調から一転して苦戦している点については、ラインナップの違いを要因として挙げた。前期には『ペルソナ3 リロード』『龍が如く8』『ユニコーンオーバーロード』などが下期後半に集中して発売され、翌期も高い価格帯を維持しながら売れ続けた。一方、今期はこのポジティブな流れを引き継ぐ大型タイトルが少なかったことから、リピート販売全体が弱含んでいるという。

 

2027年3月期に向けては、フルゲームラインナップの充実が予想される一方で、コンテンツ制作費の増加や現期タイトルの伸び悩みを考慮するとリスクも高まるとの指摘があった。これに対し同社は、ゲーム市場ではインディータイトルかAAAタイトルに人気が集中し、ダブルAやシングルAといった中間層が厳しい状況にあるとの見方を示した。自社タイトルは品質面ではAAA相当の評価を得ているが、「必ず買うべき」というユーザーの強い認知には至っていないため、開発投資と市場動向のバランスを見極めつつ、ヒットタイトル創出に向けたパイプライン強化を進め、利益の安定化を図るとした。

開発規模の大規模化への対応については、全面的に追随するのではなく、AIの活用など効率化の取り組みも並行して進める考えを示した。ただし、キャラクター制作などクリエイティブ領域ではAI活用に対する反発も強いため、用途を慎重に見極めながら開発工程の効率化を中心に活用していくとしている。

ライセンスビジネスについては、利益率が高く成長も見込める領域と位置付け、日本や欧米で人員増強を進めている。特に「ソニック」IPの展開はすでに商品化が広く進んでいるが、アパレルや玩具といった既存領域に加え、食品などリピート購入が期待できるカテゴリーにも広げていく方針だ。また、「ソニック」の認知度と人気を生かし、他社製品やサービスのプロモーションとしてIPを活用する事例も増えており、クオリティを維持しながらこうした活用の拡大にも取り組んでいくという。加えて、ソニック以外のIP育成にも注力する考えを示した。

 

Rovioの減損可能性については、投下資本に対するキャッシュフローの回収可能性を基準に判断していると説明し、第2四半期時点では減損の兆候はなくテストも実施していないとした。ただし、業績が減衰傾向にあることは事実であり、主力タイトルのパフォーマンス改善や新作投入、構造改革など収益性強化の施策を進めている。こうした取り組みにより、キャッシュ創出力を安定化させたい構えだ。

 

下期の見通しとしては、『ソニックレーシング クロスワールド』が高評価を受けており、インフルエンサー施策も含めクリスマス商戦に向けて販売強化を進める。また、『Football Manager 26』は新エンジンやUI刷新に伴う厳しい評価があるものの、売上はシリーズ史上最速のペースで推移しており、引き続きアップデートで改善を重ねていくという。リピート販売についても、価格戦略やプロモーション手法の見直しを進め、最適な形で展開していくとしている。

 

セガサミーホールディングス株式会社
http://www.segasammy.co.jp

会社情報

会社名
セガサミーホールディングス株式会社
設立
2004年10月
代表者
代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
決算期
3月
直近業績
売上高4289億4800万円、営業利益481億2400万円、経常利益531億1400万円、最終利益450億5100万円(2025年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6460
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