【インタビュー】「リアルな歴史ドラマ」というノベルゲーム体験を── “明治×現代×京都”が交錯する『DUSK INDEX: GION』の制作陣に聞く世界観と見どころとは

インディーシーンにおける“物語重視型ゲーム”の評価を大きく押し上げた『TOKYO DARK』を手がけた海外クリエイター集団・Cherrymochi.。

そのCherrymochi.が新たに原作を手がけ、新たに描く舞台として選んだのが「京都・祇園」、そして「明治」と「現代」という二つの時間軸だ。

『DUSK INDEX: GION』は、AIによって再構築された過去の京都と現代を往還しながら、100年の時を超えた事件と人間関係を紐解いていくノベルゲームである。

昨年の東京ゲームショウにてプレイした際の本作は、『TOKYO DARK』でも評価された “プレイヤー自身が物語を読み解く感覚”を継承しつつ、日本固有の歴史と美意識を大胆に取り込んだものだった。

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なぜ京都なのか。なぜ明治という時代を現代の感性で描くのか。

そして、この物語はなぜアニメや小説ではなく、「インタラクティブなノベルゲーム」という形を選んだのか。

本記事では、プロデューサーの亀山武史氏とイラストレーターの呉々氏に、世界観設計の出発点からキャラクター造形、時代を跨ぐビジュアル表現の裏側までを詳しく聞いた。

二つの時代に在る「変化」と「伝統」
──『DUSK INDEX: GION』が描くもの

―――:よろしくお願いします。本作は京都が舞台ですが、「京都」という舞台に「明治」と「現代」という二つの時代を重ねる構想は、どのような出発点から生まれたのでしょうか?

 亀山京都は、伝統的でありながら新しさが生まれる場所でもあると考えています。

現代を生きる我々からすれば、明治の京都はまさにトラディショナルですが、明治に生きていた方の視点からすれば、明治の京都は変化の時代だったと思うんです。

現代はAIという強烈なツールの登場によって、常識が変わり、生活が変わり、文化が変わり始めています。一方で明治という時代も、江戸時代までの鎖国が解かれ文明開化し、文化が大きく変容した激動の時代です。

新古が共存し、海外の方から知名度の高い京都は、「変化」と「伝統」によって揺れ動く時代や人間ドラマを表現するのにベストな場所だと考えました。

 

―――:明治という時代を「今の感性で描く」ために意識したポイントは何でしょうか?色彩・構図・人物像のデザインなど、現代のプレイヤーに響くための工夫があれば教えてください。

 呉々明治は今生きている私達からすると写真や資料などでしか知りえない時代です。身近でない明治と現代を繋ぐためのフックとしてキャラクターデザインをする際は漫画的なエッセンスを加えて少し記号的にわかりやすく、それでいてお洒落に、というポイントを意識しました。

幸いゲーム内で描かれるのは私達が生きている現実の世界とは世界線が違う明治時代ですから、実際の明治ではやらないだろうファッション等もゲームのオリジナリティとして世界観を壊さない程度に意識的にいれています。オリジナリティを出しながら明治という世界観を壊さないデザインをする事は特に意識し、気を遣ったポイントかもしれません。

―――:同じ京都でありながら「100年前」と「現代」は大きく異なります。この“時間差”をキャラクターや背景にどう落とし込んだのか、制作で苦労した点や面白さを教えてください。

 亀山プレイするのは現代の皆さんになるので、大事にしたのは「現代に生きる我々から見た明治」の視点です。

そのため、明治時代のシーンでは、まるで古いフィルム映画を見ているような演出をつけているのがこだわりポイントです。

ストーリーも、日本人の多くが日本史の授業で学んだ明治時代が、リアルに描写されています。スーツを着てカタカナ語を使いこなす刑事、グリニッジ標準時に基づき時計を作る職人、「新しい」価値観を手に入れた「古い」日本が描かれています。

歴史に関心のある方にはぜひ遊んでいただきたく、日本史で学んだあの明治時代が目の前にリアルに現れる興奮を体験していただけると思います。

また、ビジュアル面では現代はデジタルをイメージした「ブルー」、明治は京都の紅葉をイメージした「オレンジレッド」で明確にイメージを分けました。

本作のキービジュアルはそれを象徴した一枚絵になっております。

西洋の文化を取り入れ始めた明治時代の正義と、そういった文化が浸透しきっている現代の刑事である勝木は同じ京都という場所の同じ刑事という役職の人間ですが、服装や髪型など印象は大きく異なります。

この二人が特に100年という時間の差を象徴しているのではないかと思います。

正義のモノクルはまさに時代を感じるアイテムとして、咲の髪飾りとして使っている升や定規、ペンなども明治時代に使われていた物をイメージしてデザインに取り入れました。

メインキャラクター以外の登場人物が身に着けている服や小物といったアイテムなどにも時代を感じられる要素を取り入れていますので、そのあたりも楽しんでいただけたらと思っています。

 

 ―――:本作でプレイヤーは、二つの時代を行き来しながら物語を追体験する形です。こうした“バディ構造”の物語設計にはどんな狙いがあったのでしょうか?

 亀山時代とは「変わっていくもの」ですが、「変わらないもの」をその中に描きたいという狙いでした。どんな時代のどんな環境下であっても人は何かに悩み、考え、行動し、誰かと出会う。

この「誰かと出会うという変数」によって、さらにその先の考えや行動が変わっていく。

それこそが「変わらないもの」で、面白いんだと思っています。

 

 

世界観を彩り物語を描いていくキャラクター

 ―――:キャラクターデザインを進める中で、明治組と現代組で意図的に差別化したポイントはありますか?

 呉々正義や咲は明治時代という現代の私達が持つ古き良きイメージと西洋文化が流入し急速に近代化していった変化のイメージから地に足がついたような落ち着いた、それでいて華やかな雰囲気に。

勝木やクインはAIなどの発展した技術を象徴するように全体的にコントラストを強めに、差し色としてのオレンジや明るい青などを使いサイバーチックな色合い(特にクイン)にすることで視覚的な差別化を狙いました。

違いを出しつつ離れすぎないように、双方のバランスを見ながらデザインするのは苦労しながらも楽しい作業でした。

 ―――:メインキャラ4名のデザインで、それぞれに込めたテーマや“時代性”があれば教えてください。特に、姿勢・衣装・表情など、個性を象徴するこだわりがあれば詳しく伺いたいです。

 呉々最初に勝木やクインは海外の映画やドラマに、正義や咲は日本の映画ドラマに出てきそうなデザインにしようと考えていたと思います。

その後、4人其々のその時代に生きているからこその悩みや苦しみから彼ら彼女らを自分なりに解釈し、デザインに落とし込みながら表情やポーズを決めていきました。

例えばクインはきっと恥ずかしいとき人の目を見られない、勝木は大げさに笑顔を作る、正義は表情をあまり大げさに変えないけれど佇まいだけで他の刑事と違う気品や存在感を醸し出すだろうし、咲は枠にとらわれない考えを持っているから型破りで個性的なファッションをしているだろう、など…。

まず自分なりにキャラクターを掘り下げ、その人がするだろう仕草や服装、表情をイメージして作り上げていきました。

また、ファッションに関してはクインには拘りがあり鎧のようにいつもお気に入りのブランドの服を着ている、正義は良い仕立てのコート、服装に見えるように。

勝木はジャケットに付けたワッペン一つ一つにも意味を込めてデザインしています。

作中で語られることはない裏設定のようなものですがほんの小さな拘りがキャラクターを立体的にしていくのではないかと信じて制作しました。

 ―――:物語の中で、この4名の関係性やドラマをどのように位置づけていますか?

亀山勝木、クイン、正義、咲の4人はまったく正反対です。まず現代と明治という異なる時代を生きている点。

勝木はアナログ人間で人たらし、クインはデジタル人間で人嫌い。正義は厳格な刑事で、咲は知的な芸妓。

異なる4人、2組が磁石のN極とS極のように強力に引かれあっていき、事件捜査だけでなくやがてお互いの人生にまで影響を与える点を注目していただきたいです。

特に勝木とクインは価値観のまったく異なる2人が築き上げていく友情。正義と咲は立場の異なる2人が紡いでいく愛情。

冒頭で語った現代のブルーと明治のレッドというモチーフカラーは、友情の青と愛情の赤でもあるんです。

 

ノベルゲームならではの
自ら読み進め「物語と歩いている」体験

―――:世界観の中核である「Echoes of Kyoto」はどのように生まれましたか?物語・ゲームデザインにおける役割、込めたテーマがありましたら教えてください。

 亀山『DUSK INDEX: GION』のテーマは、「リアルな歴史ドラマ」です。

本作の魅力のひとつとして、2つの時代を行き来するというゲームシステムを挙げたいのですが、明治時代のストーリーがただの過去回想ではつまらないですし、かと言って主人公たちが過去にタイムスリップするようではファンタジーすぎてリアルな歴史ドラマとは言えません。当分そんな技術はでてこないでしょうから。

しかし、あらゆる文献・時代考証をAIに学習させて、100年前の明治時代を再現する。これは現代の延長線上にあるのではないかと考えます。

「Echoes of Kyoto」によって明治時代が今ここに現れた、非現実だけれどもリアリティーが感じられる設計にしてあります。

 ―――:本作はノベルゲームですが、アニメや漫画ではなく、ノベルゲームというジャンルを採用した理由を教えてください。

亀山まず、今の市況として作家性のある尖った作品でなければ支持されないと感じています。

その中で本作はイギリス出身でありながら日本文化への深い造詣を持つクリエイターのJ.ウィリアムズ氏に原作を作っていただきました。

そして全体のゲーム設計を考えていく中で、尖った面白いこの物語に合う仕様としてノベルゲームを選択しました。

ノベルゲームは視点の切り替えや時代間の行き来といった物語構造を表現するのに相性がよく、自ら読み進めるというのが物語体験に“深度”を持たせてくれます。

 ―――:ノベルゲームでは、“自分の手で読み進める”体験があると。ゲーム体験や物語への没入感をどのように変えると思いますか?

亀山“自分の手で読み進める”という体験は、物語に「参加している」という感覚を生み出します。

プレイヤー自身の意思でページをめくるという仕様により、「物語を見ている」のではなく、「物語と歩いている」感覚に近くなります。

特に本作のように、複数の時代や視点を交錯させる構造においては、読み進めるたびに謎が深まり、真相に近づいていく手応えを自分の手で掴んでほしいと思いました。

そういった「自分で引き寄せた物語」こそが、記憶に強く刻まれ、人生を彩ってくれるのではと思います。

 呉々映像作品と違い、自分の手で読み進めるという事は時に立ち止まったり振り返ったり出来るという事だと思っています。

「これはどういうことなのか?」「何故このキャラクターはあの時こんなことを言ったのか?」ふと立ち止まって考える。

そういった時間がうまれる事で、より物語に、キャラクターに、謎に自ら没入していけるのではないかと思います。

考える時間が増えるほど、きっとこの物語はプレイヤーにとって特別なものになっていくと思いますし、制作にかかわった一人として今作が多くの人にとってのそんな特別なゲームになってほしいと願っています。

 

何年経っても面白いと思える「リアルな歴史ドラマ」を

―――:本作の中で「ここはぜひ見てほしい」というポイントを、それぞれの立場から教えてください。

亀山リアルな歴史ドラマを作るために、リアルなキャラクターの生きざまを徹底して描きました。

特に明治時代の正義と咲の2人に注目してください。通常のドラマではエンディング後に登場人物がどうなるのかわかりません。

しかし明治時代を生きた正義と咲の人生は、100年後の現代に「答え」があります。生涯何を想い、誰を愛し、どう生きたのか。

大河ドラマを見終えたような読後感を目指しました。

呉々物語を彩るスチルの数々に是非注目してほしいです。

シナリオの印象的な場面の想像を更にかき立てるように、その場の温度や音や匂いまで伝わるようにキャラクターの表情だけでなく細部まで全てを拘って描きました。

また、それぞれのキャラクターらしい表情、物語のとある場面で一度しか見られない表情や衣装などもありますのでキャラクターの変化も物語と一緒に楽しんで頂けたらとても嬉しいです。

―――:発売を待つファンへメッセージをお願いします。

亀山ストーリー・キャラクター・デザイン、総合して満足度の高い物語体験をお届けできる準備をしてきました。

流行に左右されない、何年経っても面白いと思える「リアルな歴史ドラマ」をお楽しみください。

呉々物語にスムーズに入り込み没入していただけるように、ビジュアル面の細部まで拘りました。

立体感を持ったキャラクターや息づかいまで伝わるように描いたスチルで彩られた重厚な人間ドラマ、ストーリーに是非どっぷりと浸って楽しんでください!

 

▼トレーラーリンク

▼無料体験版ゲームプレイ動画URL

 

■関連サイト

▼公式サイト
https://duskindexgion.bushiroadgames.com

▼Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/3907190/

▼My Nintendo Storeページ
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000099237

▼PlayStation Storeページ
https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10016382 

(C)DUSK INDEX: GION

株式会社ブシロード
http://bushiroad.com/
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会社情報

会社名
株式会社ブシロード
設立
2007年5月
代表者
代表取締役社長 木谷 高明
決算期
6月
直近業績
売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
7803
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