【決算レポ】シリコンスタジオ、25年11月期は産業向けCG需要を追い風に黒字基調を維持 累積損失一掃し復配実施へ

シリコンスタジオ<3907>は、1月23日、2025年11月期の決算説明資料を公表した。物価高による個人消費の減速や国際情勢の不透明感が続く中、同社は強みであるリアルタイムCG技術を軸に、産業分野への展開を進め、収益体質の改善を図った1年となった。

 

■ 経営環境と取り組み:エンタメ停滞、産業需要は堅調

2025年11月期は増収増益を達成した。エンターテインメント業界からの引き合いが足踏みする一方、自動車・電機・官公庁など産業界からのCG関連需要が旺盛だった。こうした環境下で同社は、子会社イグニス・イメージワークスを吸収合併し、経営資源を集中。開発推進・支援事業の強化と、組織運営の効率化を進めた。また、人材事業では厳しい採用市場を背景にしつつも、新規市場の開拓を進め、収益改善に取り組んだ。

・売上高:43億0300万円(前の期比15.0%増)
・営業利益:1億4700万円(同10.7%増)
・経常利益:1億4800万円(同15.2%増)
・最終利益:2億0600万円(同185.4%増)

特に最終利益は大幅な増益となったが、これは主に受取和解金2500万円、抱合せ株式消滅差益2600万円といった、特別利益が発生したことなどが主な要因だった。

 

 

■セグメント別動向①:開発推進・支援事業は産業系が下支え

主力の開発推進・支援事業は、売上高26億6100万円(前年連結比3.8%減)、セグメント利益3億6900万円(同0.8%増)と減収となったものの、セグメント利益は微増益だった。

大型ゲーム向け開発プロジェクトの終了というマイナス要因はあったものの、デジタルツインを中心とした産業系案件が堅調に推移。リアルタイムCGによる可視化技術への需要は引き続き高く、受託開発は安定的な収益を確保した。ミドルウェア事業は、ライセンス収入・請負開発ともに前期並みを維持。オンライン分野では新規案件獲得やサーバー利用料の見直しを検討しているという。

 

■セグメント別動向②:人材事業は逆風下でも利益を確保

人材事業の売上高は16億4100万円(前年連結比0.3%減)、セグメント利益は3億0100万円(同4.1%増)と微減収・増益となった。

ゲーム企業の採用意欲減退や派遣希望者の減少など、市場環境は厳しかったが、有料職業紹介が健闘。成約数は前期比4.1%増の277名となり、利益面での下支えとなった。一方、人材派遣では高単価案件の減少などを背景に、派遣稼働者数は2261名と同2.8%減少した。

 

■財務状況:自己資本比率66%、キャッシュは積み上がる

2025年11月期末の資産合計は28億0200万円、純資産は18億5400万円。自己資本比率は66.2%と、安定した財務基盤を維持している。現金及び現金同等物の期末残高は15億8500万円と、前期末から3億4800万円増加した。

 

■成長戦略:非エンタメ×CGで高収益モデルへ

同社は今後の成長戦略として、非エンターテインメント領域の深耕を明確に打ち出している。

・自動車・電機・建設・官公庁向けに、ゲームエンジン受託を拡大
・AI・画像認識の「BENZaiTEN」、走行シミュレーションの「CARLAソリューション」、デジタルツインなどの展開
・YEBIS4/Enlighten、Bone Dynamicsなどミドルウェアのリブランディングと機能拡充
・ストック型ビジネスやクラウド活用による新たなオンラインサービス創出

リアルタイムCGを核に、コンサルから運用までを一気通貫で提供できるという同社の強みを活かした事業展開を行っていく。

 

人材事業では、ミドル・ハイクラス人材にフォーカスしつつ、VTuber・アニメなど新領域にも視野を広げる。約3万人の登録者を抱える「シリコンスタジオエージェント」を基盤に、業界特化型人材ビジネスを深化させる方針だ。

 

■2026年11月期見通し:投資優先で利益は一時減少へ

2026年11月期の業績予想は、売上高45億7100万円(同6.2%増)と増収を見込む一方、営業利益は1億2200万円(同16.7%減)と減益予想となっている。

・売上高:45億7100万円(前期比6.2%増)
・営業利益:1億2200万円(同16.7%減)
・経常利益:1億2100万円(同17.6%減)
・最終利益:8100万円(同60.2%減)
・EPS:29.85円

これは、中長期成長を見据えた投資を行うため、減益となる見通し。最終利益は大きく減るが、特別利益がなくなることや、累積損失の解消に伴い税負担が増える(その他資本剰余金を繰越利益剰余金に振り替えることで累積損失を解消した)。

 

開発推進・支援事業では、エンタメ業界で培ってきたリアルタイム3DCG技術を活かし、デジタルツインなどさまざまなゲームエンジンを活用した産業界向けソリューションの開発ニーズを着実に取り込むと同時に、防衛、宇宙に加えて医療といった新しいマーケットにも取り組み、売上拡大を見込む。

 

人材事業では、ゲーム業界における市況の変化があるものの、ゲーム業界を中心に配信及び3DCGアニメ制作等関連業界を含め、クライアント企業、求職者の双方の満足度を重視したサービス提供を行っていく考え。人材派遣、有料職業紹介ともに増収を想定しているという。