【ANYCOLOR決算レポ】過去イベントのグッズ評価損を計上し利益見通しを下方修正 グッズ販売とイベント需要旺盛で売上は想定上回る

VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR<5032>は、2026年4月期第3四半期の決算説明資料を公開した。コマース(グッズ)およびイベント領域の需要が想定を上回り、売上高は四半期見通しを上振れて着地した。一方で、過去イベント向けグッズの在庫整理に伴う棚卸資産評価損を計上したことなどから、通期の利益見通しは下方修正した。

 

■コマースとイベントが牽引し大幅増収

2026年4月期第3四半期累計の業績は、売上高156億9300万円(前年同期比35.7%増)、営業利益58億3700万円(同38.8%増)、最終利益40億7100万円(同40.4%増)となった。営業利益率は37.2%と前年同期から0.8ポイント改善した。

 

事業領域別では、グッズ販売などのコマースが107億4300万円と最大で、全体の成長を牽引した。年末年始の大型施策が想定以上の反響を呼び、第2四半期からの繰越施策の計上もあり、売上は計画を上回った。

ライブストリーミングは14億5400万円。メンバーシップを中心とした収益構造により安定的に推移し、年末年始の特番や3Dライブの配信などによりYouTube再生数も堅調だった。

イベントは13億9000万円。年末年始のカウントダウンライブや「にじさんじ WORLD TOUR 2025」東京公演などを開催し、ネットチケット販売が好調だった。

プロモーション(企業案件など)は20億9800万円で、案件数・単価ともに堅調に推移した。

 

 

■過去イベント向けグッズの在庫整理で評価損

一方、第3四半期には棚卸資産評価損9億7000万円を計上した。これは主に、過去に開催したイベント向けに製造されたグッズの在庫を中心とした評価損とみられる。

VTuberイベントでは、開催ごとに限定グッズが制作されるケースが多く、イベント終了後は販売機会が限られる場合もある。そのため一定期間が経過した在庫については、会計上の整理として評価損を計上する必要が生じる。

同社は第4四半期にも約15億円の棚卸資産評価損を見込んでいるほか、決算賞与として約6億5000万円の計上も予定している。このため、通期業績予想は売上高を上方修正する一方、利益面は下方修正した。

 

修正後の2026年4月期通期予想は、売上高547億3000万~556億3000万円(従来予想520億~540億円)、営業利益198億2400万~203億5900万円(同210億~220億円)、最終利益140億1500万~143億8700万円(同145億7000万~152億6000万円)としている。

 

■VTuber拡充とリアル展開で成長を加速

同社は中期目標として、2027年4月期に売上高を2024年4月期比で88%増、営業利益を同94%増まで拡大する計画を掲げている。

 

そのための施策として、VTuberのデビューを年10~15%程度のペースで進めるほか、ユニット展開を強化。さらに、従来の約3倍の面積となる新スタジオを活用し、高品質な3D配信や番組収録を拡充していく。

 

また2026年4月25日には、初のリアル常設店舗「にじさんじ ぬいストア」を横浜ビブレにオープンする予定だ。

2026年4月期第3四半期末時点のVTuber数は170名(にじさんじ144名、NIJISANJI EN26名)。従業員数は621名と前年同期の506名から拡大しており、将来の成長に向けた採用を継続している。

 

■グッズ依存のビジネスモデルも浮き彫りに

今回の決算では、グッズ販売を中心とするコマースが売上の約7割を占めるなど、同社の収益構造が改めて浮き彫りとなった。

VTuberビジネスでは配信収益に加え、イベントやグッズ販売が重要な収益源となるが、特に限定性の高いイベントグッズは販売期間が限られるため、在庫管理の難しさも伴う。

今回計上された棚卸資産評価損は、こうした事業特性の一端を示すものとも言えそうだ。一方で、グッズやイベントの需要自体は引き続き強く、同社はリアル店舗の展開などを通じてコマース領域のさらなる拡大を目指している。

ANYCOLOR株式会社
https://www.anycolor.co.jp/

会社情報

会社名
ANYCOLOR株式会社
設立
2017年5月
代表者
田角陸
決算期
4月
直近業績
売上高428億7600万円、営業利益162億7900万円、経常利益162億1400万円、最終利益115億1000万円(2025年4月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
5032
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