
アカツキ<3932>は、2026年3月期第3四半期(累計)の決算説明資料を公表した。今期を「次なる成長への助走期間」と位置づけ、既存事業の選択と集中を進めるとともに、M&Aによる新規事業創出を加速。主力タイトルのヒットとグループ参画企業の寄与により、前年同期比で大幅な増収増益を達成した。

もっとも、今回の第3四半期は従来の四半期パターンから見るとやや異例の着地ともいえる。同社の業績は例年、タイトルの周年施策などが集中する第2四半期および第4四半期が強く、第1四半期および第3四半期は相対的に収益が落ち込みやすい傾向がある。今回は『怪獣8号 THE GAME』のリリース初期効果が第3四半期まで寄与したことで、四半期ごとの極端な振れ幅は緩和された。
ただし同タイトルは第2四半期リリースであり、中期的には周年・半周年イベントが行われる第2四半期および第4四半期に売上が集中する構造が想定される。現時点で季節性が構造的に変化したと評価するのは早計で、今回の平準化はリリースタイミングによる時間軸上の要因と見るのが妥当だろう。タイトル成熟後も四半期変動が抑制されるかどうかが、収益基盤の安定度を測るうえでの重要な観察点となりそうだ。



【連結業績】
・売上高:65億8100万円(前年同期比78.9%増)
・営業利益:13億3800万円(前年同期は15億7100万円の損失計上)
・最終利益:10億0300万円(同6億7300万円の損失計上)

第2四半期にリリースした「怪獣8号 THE GAME」の寄与に加え、2件計4社のM&Aによる連結効果が業績を押し上げた。あわせて事業ポートフォリオの見直しや既存タイトル運営の効率化を進めたことで、収益性も改善している。通期についても増収増益を見込む。
■ ゲーム・コミック事業
・売上高:52億2500万円(同62%増)
・営業利益:15億4500万円(同15億4100万円の損失計上)
主力の『怪獣8号 THE GAME』が3カ月分寄与し、増収増益をけん引し、黒字転換に成功した。あわせて既存タイトルの運営効率化やポートフォリオ見直しにより費用が大幅に減少した。
『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』(バンダイナムコエンターテインメントより配信)は国内版11周年記念イベントが盛況。世界連携施策により、日本・フランスを含む5つの国・地域でストアセールスランキング1位を獲得した。今後はアニメなどIPイベントとの連携をさらに強化する方針だ。
内訳は以下の通り。
・ゲーム事業:売上高50億1100万円、営業利益15億3100万円
・コミック事業:売上高2億1400万円、営業利益1300万円

■ エンタメ・ライフスタイル事業
・売上高:7億5000万円(同77%増)
・営業利益:4000万円(同79%減)
第2四半期にグループ参画したPAPABUBBLEおよびWOWsを第3四半期から損益計算書に反映となった。売上は大きく伸びたものの、利益面では減益となった。マーチャンダイジングソリューションは案件獲得が順調に推移し成長を継続。ファンエンゲージメントはファンクラブアプリに加え広告事業も堅調に推移している。
・マーチャンダイジングソリューション:売上高1億7700万円、営業利益9800万円
・ファンエンゲージメント:売上高7700万円、営業利益1700万円

■ AI・DXソリューション事業
・売上高:6億円
・営業損失:1億1200万円
第2四半期にグループ参画したNateeおよびアカツキAIテクノロジーズ(旧AIタレントフォース)を第3四半期より反映となった。SNSマーケティングは好調に推移し、さらなる成長に向けた投資を加速。一方、AIソリューションは事業確立に向けた投資フェーズにあり、費用が先行している。
・SNSマーケティング:売上高5億5000万円、営業利益9000万円
・AIソリューション:売上高5000万円、営業利益2200万円

■投資・インキュベーションも着実に回収
投資事業では、第3四半期に約2億円の売却益を計上。第1四半期~第3四半期累計では約22億円を回収した。26年3月期は1社のIPO、2社のM&Aを実現。12月までの累計イグジット実績は20社(IPO5社、M&A10社、IEO5件)に達している。


■資本業務提携でIP価値最大化へ
同社は、yutoriおよびGPS HOLDINGSとの資本業務提携を発表。日本発IPの価値最大化とグローバル展開を目指す。GPS HOLDINGSとは、人気IPの認知拡大に加え、休眠IPや他社IPも活用する「架け橋(ブリッジ)」となるプラットフォーム構築を推進。yutoriとはIPグッズをカルチャー・ファッションへ昇華し、高単価商品の開発やアイコニックな実店舗プロデュースを進める。

■株主還元:3年間で100~150億円規模を機動的に実施
26年3月期から28年3月期までの3カ年で、成長投資とのバランスを取りつつ、100~150億円規模の株主還元を機動的に実行する方針。あわせて350億円の成長投資を計画し、既存・新規事業への積極投資と非連続的成長機会の獲得を目指す。

また、配当はDOE4%方針に基づき、26年3月期中間配当として55円を実施。今後も利益の積み上げによる累進配当を継続する考えだ。

会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高236億5200万円、営業利益39億1500万円、経常利益42億3300万円、最終利益16億4600万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932