
Oasis Management(オアシス・マネジメント)は、5月20日、約13.76%の株式を保有するKADOKAWA<9468>に対し、夏野剛CEOの再任に反対票を投じるよう株主へ呼びかける声明を発表した。6月24日に開催予定の定時株主総会に向け、同社は夏野氏の解任を求める株主提案への賛成も要請している。
オアシスはあわせて「A Better KADOKAWA」と題した特設サイトとプレゼンテーション資料を公開。現経営陣について、「業績悪化」「中期経営計画の未達」「説明責任の先送り」「ガバナンス上の問題」などを挙げ、経営刷新の必要性を強く訴えた。
同社は、夏野氏がCEOに就任した2021年以降、日本発IP市場全体には世界的な追い風が吹いていたにも関わらず、KADOKAWAの収益性が大きく悪化したと指摘。2021年3月期から2026年3月期までの5年間で、営業利益は136億円から81億円へ縮小し、営業利益率は6.5%から2.9%へ低下したほか、1株当たり純利益(EPS)は77.42円から8.71円、ROEは8.2%から0.5%へ落ち込んだとしている。
さらにオアシスは、KADOKAWAが2025年11月に業績予想を大幅下方修正した後、2026年3月期決算ではその修正後予想すら下回った点を問題視。従来の中期経営計画を撤回し、目標達成時期を2032年3月期へ先送りした新計画についても、「現経営陣に対する評価を6年間先送りするものだ」と批判した。
プレゼン資料では、夏野CEO再任に反対すべき理由として6項目を列挙している。
1つ目は、業績悪化と説明責任の欠如。中核事業の収益性悪化や中計未達に対する説明が不十分であると主張した。
2つ目は、ゲーム子会社のフロム・ソフトウェアの価値最大化ができていない点だ。『ELDEN RING』の世界的ヒットを生み出した同社について、オアシスは「自社パブリッシングを進めず、利益の多くを外部パートナーに渡している」と指摘した。
3つ目として、年間7000件規模の新規IP創出を掲げた“量重視"戦略が、IP創出力や収益性を弱体化させたと批判。新中計で刊行数抑制へ舵を切ったことは、従来方針の問題を暗に認めたものだとしている。
また、モバイルゲーム展開やニコニコ事業などの成長戦略についても「実行力不足」と指摘。不採算事業で年間40~50億円規模の損失が続いているにもかかわらず、再建策が示されていないとした。
このほか、販管費増加や減損処理の多発など「資本配分の規律欠如」、2024年のサイバー攻撃や下請法違反勧告を踏まえた「ガバナンス不全」も問題視している。特にアニメ制作会社の動画工房については、買収から約1年で買収価格の約90%に相当する減損を計上した点を例示した。
オアシス創業者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は、「KADOKAWAにはフロム・ソフトウェアをはじめ、グローバル展開可能なIP資産が数多く存在する」としたうえで、「株主は夏野氏率いる経営陣による5年間の業績不振と説明責任の先送りを強いられてきた」とコメント。「今こそ経営陣の刷新が必要だ」と主張した。
KADOKAWAは近年、出版・アニメ・ゲーム・Webサービスを横断するIPメディア戦略を推進してきた。一方で、2024年には大規模サイバー攻撃によるサービス停止や情報漏洩問題も発生しており、経営体制やガバナンスを巡る議論が強まっていた。
今回、筆頭級株主であるオアシスが経営トップの退任要求を公然と打ち出したことで、6月の株主総会に向けた攻防は一段と注目を集めそうだ。
会社情報
- 会社名
- 株式会社KADOKAWA
- 設立
- 1954年4月
- 代表者
- 代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2779億1500万円、営業利益166億5100万円、経常利益177億4200万円、最終利益73億9200万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9468




