
かつて人気スマートフォンゲーム『Fate/Grand Order』の開発・運営元として知られたディライトワークスが、新たな挑戦の場として選んだモータースポーツで存在感を示している。同社のレーシングチーム「DELiGHTWORKS RACING」が、国内最高峰フォーミュラレースであるスーパーフォーミュラ選手権参戦初年度ながら、5月23日に鈴鹿サーキットで行われた第4戦で2位表彰台を獲得した。
ドライバーを務めるのは、GP2やFIA F2、SUPER GTで実績を持ち、F1 マクラーレン・ホンダで開発ドライバーにも起用された松下信治選手。1台体制での新規参戦チームが、名門チームを相手に上位争いへ割って入った。
今回の快進撃を支えたのは、2度のセーフティカーと僅かな雨に翻弄されて混乱するレース展開の中で決断した“ステイアウト戦略”だった。タイヤ交換を遅らせてスリックタイヤで走り続ける判断が奏功し、終盤まで上位争いを維持。経験豊富な松下選手の手腕もあって、強豪勢の間を縫って2位チェッカーを受けた。
ただ、レース後の松下選手のコメントは、むしろ“新興チームらしさ”を感じさせる内容だった。
「ストラテジーに関しては、(1位と3位の)トムスさんなんかと違って僕らのチームにはロジックなんて存在しなくて……もう勘です」と苦笑しつつ、「エンジニアも『こうなったらこうする』というシミュレーションもできてないですからね。雨が降ってきた時も、『どうする!? どうする!?』と言いながら、ピット直前で『ボックス、ボックス』と言われたが、もうピットに入れなかった」と舞台裏を明かした。
一方で、「15番手でも何か得るものがあるだろうと切り替えたことが運を引き寄せた」とも振り返っており、発展途上の限られた戦力の中でも柔軟に戦うチームの姿勢が結果につながった形だ。「本当に自信に繋がったレース」と好結果を喜びつつも、本日開催の第5戦では予選Q1通過を目標にするという。
DELiGHTWORKS RACINGは、2024年に発足した新しいレーシングチームだ。ディライトワークスは2022年にゲーム事業を売却して以降、投資事業やスポーツ事業、リゾート事業など多角化を進めており、モータースポーツもその一環としてスタートした。
同社は単なるレース参戦ではなく、「日本から世界へ挑戦するドライバーの育成」を掲げ、人材育成型モータースポーツチームとして活動している点を特徴としている。
まずは若手育成カテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦し、荒尾創大選手や三井優介選手ら若手ドライバーを起用。その後、2026年シーズンから満を持してスーパーフォーミュラへステップアップした。
チームは初年度は1台体制を採用。庄司 顕仁社長が自らチーム代表 兼 監督として采配を振るいつつ、チーム運営基盤の構築を進めながら競技力向上を図っており、将来的には2台体制への移行も視野に入れている。技術面ではスーパーフォーミュラ経験者をテクニカルディレクターとして招聘し、若手エンジニアやメカニック育成にも力を入れる。
ゲーム会社として知られた企業が、事業転換後に国内トップフォーミュラへ本格参戦し、1年目で表彰台を獲得――。エンターテインメント企業発の異色チームとしてスタートしたDELiGHTWORKS RACINGだが、その挑戦は単なる話題性に留まらず、競技面でも結果を残し始めている。
近年の国内モータースポーツ界では、自動車メーカー系だけでなく異業種企業による参入も増えつつある。そうした中で、ディライトワークスの取り組みは、“人材育成”を軸に据えた新しいレーシングチーム像として、今後さらに注目を集めそうだ。
会社情報
- 会社名
- ディライトワークス株式会社
- 設立
- 2014年1月
- 代表者
- 代表取締役 庄司 顕仁





