
ドリコム<3793>は、2026年3月期通期の決算説明会で、新たな中期ビジョンをアップデートし、2031年3月期までの5年間で、自社IPの経済規模拡大と継続的なIP創出・育成の仕組み構築を進めることを明らかにした。モバイルゲーム会社からIPプロデュース企業への転換を目指してきたが、さらに一歩進めてIPを中心とした経済圏構築というフェーズに入ってきたようだ。

同時に、2031年3月期に向けた成長イメージとして、売上高の年平均成長率(CAGR)20%以上、営業利益率15%以上を目指す目標も掲げた。主力IPへの継続投資と新規IP創出を両立させながら、持続的な成長を実現したい考えだ。

同社はこれまでモバイルゲーム事業を中心に成長してきたが、新規タイトルのヒットに依存する収益構造から脱却し、出版やMD(マーチャンダイジング)への進出など自社IPを軸とした事業モデルへの転換を進めてきた。
その結果、2021年頃までの「モバイルゲームに強みを持つ企業」から、現在は「IPプロデュースに必要な機能を備え、年間100億円規模の自社IPを保有する企業」へと進化したと説明。そのうえで、今後は各機能と連携を強化しつつ、IPの経済規模を拡大しながら、継続的にIPを生み出す仕組みづくりに取り組む方針を示した。
同社はIPバリューチェーンを「産む」「育てる」「収益化する」の3段階に整理している。

IP創出の領域では、従来のライトノベルに加え、オリジナルコミックや売り切り型PC・コンソールゲームを新たなIP創出の起点として活用する。小説コンテストやオリジナルコミックレーベルの展開に加え、インディーゲームや中小規模のPC・コンソールタイトルを通じて、社外クリエイターとの協業による新規IP創出を進める。

育成フェーズでは、自社で創出したIPをアニメ、コミック、ゲーム、グッズなどへ横展開するメディアミックス戦略を推進する。出版発IPではアニメ化を軸にシリーズ展開を進め、ゲーム発IPについてはコミックやアニメ、グッズ展開へと広げることでファン層の拡大を図る。

その代表例として位置付けられるのが「Wizardry」ブランドだ。
ドリコムは2020年に「Wizardry」の商標権と一部著作権を取得した。その後、『Wizardry Variants Daphne』や『ブレイド&バスタード』、過去作品の移植展開、マーチャンダイジングなどを組み合わせることでIP価値を拡大してきた。 Wizardry関連売上は2023年3月期の2000万円から2026年3月期には100億円規模へと急拡大した。
説明会では、この成功体験を今後のIP戦略の雛形とする考えを示した。『Wizardry Variants Daphne』だけでなく、新たなWizardry関連作品や過去作品の活用も進めながら、今後5年間で総額100億円規模の広告宣伝投資を実施し、ブランド全体の経済規模拡大を図るという。

また、収益化フェーズではゲーム運営に加え、マーチャンダイジング事業も強化する。オンラインショップやイベント、ポップアップストアなどリアル接点を拡充し、IP収益の多様化を進める方針だ。

近年のゲーム業界では、モバイル、コンソールを問わず、大型タイトルの開発費高騰が続いており、新作ヒットへの依存度が高い事業モデルはリスクも大きい。ドリコムは、『Wizardry』のIP展開で培ったメディアミックスの成功体験を横展開し、IP創出を再現可能な仕組みにできるかどうかが今後5年間の目標達成のカギになりそうだ。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高175億4700万円、営業利益4億800万円、経常利益3億1800万円、最終利益2億1300万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793





