
カプコン<9697>は、主要販売先の状況を開示し、Steamを運営するValve Corporation経由の販売高が2026年3月期に403億8300万円となり、前期比23.4%減少したことを明らかにした。前期は527億2300万円だった。全体の販売高に占める割合も31.1%から20.7%へ低下した。
一方で、ゲームソフト販売本数に占めるPC向け比率は引き続き上昇している。2026年3月期のゲームソフト販売本数は5907万本となり、このうちPC向けが3217万本と全体の54.5%を占めた。販売本数ベースでは過半数を超え、同社が掲げるPC重視戦略が着実に成果を上げていることがうかがえる。

■販売高の減少は『モンスターハンターワイルズ』の反動減か
Steam経由の販売高減少だけを見ると勢いに陰りが見えるかもしれないが、長期的な推移を見ると見方は変わってくる。Steam販売高は2020年3月期の126億円から、2024年3月期には327億円、2025年3月期には527億円へと急拡大してきた。2026年3月期の403億円は前の期比では減少したものの、2024年3月期を大きく上回る水準にある。
このため、今回の減少はSteam市場の失速というよりも、前期に発売された『モンスターハンターワイルズ』の大ヒットによる反動減と見るのが自然だろう。
『モンスターハンター』シリーズはカプコンの主力IPのなかでも特にPC市場との親和性が高く、前期はSteam販売高を大きく押し上げたとみられる。その特需が一巡した結果、販売高が平常水準へ戻った側面がありそうだ。

■本数増加から見えるリピート販売の拡大
また、PC販売本数が過去最高水準まで伸びていることを考えると、販売高減少の背景には平均販売単価の低下もあると考えられる。
カプコンは近年、『バイオハザード』シリーズや『モンスターハンター』シリーズ、『デビル メイ クライ』シリーズなどの旧作を長期間販売し続ける戦略を推進している。Steamの大型セールを活用したリピート販売も積極的に行っており、販売本数の拡大につながっている。
その結果、販売本数は増加した一方で、低価格帯での販売比率が高まり、平均販売単価が下がった可能性が高い。
■PlayStation Storeの存在感も拡大
興味深いのは、Steamの販売高が減少する一方で、PlayStation Storeの存在感が高まっていることだ。
有価証券報告書によると、PlayStation Store経由の販売高は207億4100万円となり、全体に占める割合は10.6%に上昇した。前期も主要販売先に含まれていたものの、構成比は10%未満だった。
この動きは、SteamとPlayStation Storeで異なる役割が形成されつつあることを示している可能性がある。
Steamではリピート販売による本数拡大が進む一方、PlayStation Storeでは新作タイトルを中心とした高単価販売が収益を支えたとみられる。
■『バイオハザード レクイエム』がPlayStationを押し上げた可能性
その要因のひとつとして考えられるのが、『バイオハザード レクイエム』だ。PCでも大きな伸びが見られたものの、PlayStation市場でも強い支持を集めてきた。
タイトル別・プラットフォーム別の販売内訳は開示されていないものの、『バイオハザード レクイエム』がPlayStation Store経由の売上増加に一定の役割を果たした可能性はありそうだ。
■PC市場での拡大傾向は不変
Steam販売高の減少は、『モンスターハンターワイルズ』の反動減とリピート販売比率の上昇による単価低下が主因とみられるが、PC販売本数は過去最高を更新している。
カプコンのPC戦略は依然として拡大基調にあり、その上でPlayStation Storeの存在感も増していることから、同社のマルチプラットフォーム戦略は新たな段階に入りつつあるようだ。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1953億6500万円、営業利益752億9500万円、経常利益741億3400万円、最終利益545億8700万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
