【決算レポート】ドリコム、第1四半期は『ウィズダフネ』の成長と外部決済による収益改善で黒字転換 インディーゲームへの注力でIP創出も次のステージへ

木村英彦 取締役 編集長
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ドリコム<3793>の2027年3月期 第1四半期は、売上高43億5500万円(前年同期比2.5%減)、営業利益5億2200万円(前年同期は8100万円の営業損失)と黒字転換に成功した。ゲーム事業子会社2社の売却で減収となったものの、『Wizardry Variants Daphne(ウィズダフネ)』を中心とした既存タイトルの好調や収益性改善が寄与し、大幅な利益改善を実現した。

 

■『ウィズダフネ』は配信1年後でも成長 「Wizardry」ブランドが追い風

ゲーム事業では、『Wizardry Variants Daphne』が前年同期比14%増と好調を維持した。内藤裕紀社長は「通常のモバイルゲームは1年ほど経過すると減収トレンドに入るが、『ダフネ』は前年を上回りながら成長している」と説明した。その背景として、イベント運営やプロモーションの精度向上を挙げ、「地道な積み重ねが数字として表れてきた」と語った。

第2四半期には『ファイナルファンタジーXI』とのコラボを実施。初の他社IPとの大型コラボに加え、OOH広告など認知施策にも本格投資し、新規ユーザー獲得効果を検証する。

会社側は『ダフネ』単体ではなく、「Wizardry」IP全体の価値向上を重視する姿勢を改めて示した。現在100億円規模とするIP経済圏を200億円規模へ拡大することを目標に、売り切りゲームやアニメ、グッズなどメディアミックスを積極展開する考えだ。

 

■利益改善を支える外部決済

利益率改善を支えた要因として、外部決済の普及も挙げた。AppleやGoogleを経由しない決済利用が増えたことで決済手数料率が低下し、利益率改善に寄与したという。

具体的な利用率は明らかにしなかったものの、「他社で50%程度という数字があるが、そこには届いていない。まだ伸びる余地がある」と説明。外部決済の拡大による利益改善余地は大きいとの認識を示した。

 

■インディーゲームをIP創出の新たな柱に

今回の説明会で最も力を入れて説明されたテーマの一つが、インディーゲーム事業だった。同社は5月、「ドリコムクリエイターズスタジオ」を設立。これまでノベル・コミックを中心としてきた自社IP創出をゲームにも広げていく。

内藤社長は来期(2028年3月期)に「5本から10本いかない程度」のタイトル投入を目指す考えを明らかにした。単発タイトルではなくシリーズ化を前提とし、第2作ではコミカライズ、第3作ではアニメ化といった形でIPを育成していく構想だ。

現在は『Demon's School』『TOKYO STORIES』などを開発中で、『TOKYO STORIES』はSteamなどで多くのウィッシュリスト登録を獲得するなど手応えを得ているという。

 

■AIを前提とした組織改革

AI活用についても、決算説明会では大きく時間を割いた。内藤社長は「現在、一番時間を使っているテーマ」と位置付け、Claude Codeなど生成AIの進化を踏まえ、会社全体をAI前提の組織へ転換していると説明した。

意思決定の高速化や開発工程の効率化によって、同じ人数でもより多くのコンテンツを生み出せる体制を目指す。AIによる効率化を背景に、外注費を抑えながら社内人材へ投資する考えも示した。

また、2028年には本社を大崎から渋谷へ移転する計画も明らかにした。リモートワークを継続しながらオフィス面積を半減し、コミュニケーション密度を高める狙いだ。

 

■「ゲーム会社」から「IPプロデュース企業」へ

今回の決算説明会で印象的だったのは、四半期業績以上に「IPを創出し、育成し、収益化する」という中長期戦略が具体化してきた点だ。

『Wizardry』では100億円規模のIP経済圏を200億円へ拡大し、新たなIPはインディーゲームや出版から生み出す。そしてAIによる生産性向上でコンテンツ創出のスピードを高める。

ゲーム会社として利益体質を強化しながら、IPプロデュース企業への転換を進める――。今回の説明会は、その方向性を市場に改めて示す内容となった。

 

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