
KLab<3656>が以前から取り組んできた「支援モデル」が、ここにきて大きな可能性を見せ始めている。その象徴となりそうなのが、人気作品『ジョジョの奇妙な冒険』を題材とした新作ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 黄金讃歌』だ。
KLabの真田哲弥代表取締役会長兼社長は、決算説明会で同タイトルについて、事前登録者数がすでに150万人を突破したことを明らかにした。しかも配信地域は全世界でありながら、日本、中国大陸、香港、台湾、マカオは対象外。それでも150万人という数字に達している。
真田氏はこの数字について、『僕のヒーローアカデミアUNITED SURVIVAL』(ヒロサバ)の100万人を引き合いに出しながら、「これは『ヒロサバ』が少ないわけではなく、『ジョジョ』がとんでもない数字」「さすがのこのIPの人気の貫禄勝ち」と、その期待の強さを表現した。
■以前から取り組んできた「支援モデル」
KLabの支援モデル自体は、今回突然登場した取り組みではない。同社はこれまでも、KLab自身がすべての開発を抱えるのではなく、IPを獲得したうえで外部の開発会社と組み、ゲームを展開する事業を推進してきた。今回の『ジョジョの奇妙な冒険 黄金讃歌』では、KLabはIP獲得と開発支援を担当し、Wonder Cinema Gamesが開発・パブリッシングを担う。
KLabにとっては、自社で開発を行う場合と比べてリスクやリソース負担を抑えられる一方、収益の取り分は少なくなる。真田氏も、「弊社のリソースを使わずに、そしてリスクを負わずにリリースすることができる。その代わり弊社のシェア、取り分は自社で作ったりリスクを負うものより少なくなる」と説明している。
これまで、このモデルがKLabの業績にどの程度のインパクトを与えているのかは、外部からは必ずしも分かりやすいものではなかったが、今回、その状況が変わる可能性が出てきた。
■「ジョジョ」が示す可能性
KLabは現在、開発リソースを抑えた経営体制に移行している。そのため、すべてのタイトルを自社で開発するのではなく、タイトルごとに最適な座組みを組むことが重要になっている。
真田氏によれば、自社の開発チームが作るタイトル、他社との共同開発、そして支援モデルによって外部企業に開発を任せるタイトルを組み合わせ、「コストを抑えつつ収益を最大化する」考え方だという。その意味で『ジョジョ』は、支援モデルの存在意義を分かりやすく示すタイトルになりそうだ。
KLab自身が大規模な開発リソースを投入することなく、世界的な人気IPを使ったゲームを展開。そして、そのゲームが配信前から150万人の事前登録を集めている。
もちろん、事前登録者数がそのまま売上になるわけではないが、これだけの規模のユーザーを獲得できる可能性が見えてきたことは、KLabにとって大きな意味を持つ。真田氏も「自社開発よりも少ないが、しっかりわれわれの売上に貢献してくれる予定」と述べた。
■「1本のヒット」ではなく、IPを扱う機会を増やす
支援モデルのポイントは、1タイトルあたりの利益を最大化することではない。むしろ、KLab自身がすべての開発を抱えないことで、より多くのIPを扱える可能性にある。真田氏は、支援モデルも含めて多くのIPを扱うことで版元との関係性を深め、良いIPを獲得していく考えを示している。
そのうえで、タイトルによって自社開発、共同開発、外部企業による開発を使い分ける。KLabが目指しているのは、単純に「自社開発タイトルを増やす」ことではなく、IPごとに最適な開発体制を組み、リスクと収益機会のバランスを取ることだ。
■『ジョジョ』が「支援モデル」の実力を測る試金石に
KLabにとって、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金讃歌』は単なる新作ゲームではない。長らく取り組んできた支援モデルが、実際にどれだけの収益を生み出せるのか。その可能性を測るうえでも重要なタイトルになる。
事前登録150万人という数字は、そのスタート地点としては十分にインパクトがある。しかも日本市場ではなく、海外市場が中心となる。今後も『ハイキュー!!』などの人気IPを支援モデルで展開していく考えを示している。
『ジョジョ』が実際のダウンロード数や売上、継続率などでも結果を残せば、これまで「やっていることは分かるが、どれほど業績に効いているのか見えにくい」存在だった支援モデルが、KLabのゲーム事業における新たな収益源として評価されるきっかけになるかもしれない。
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会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 真田 哲弥
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高68億5600万円、営業損益13億400万円の赤字、経常損益14億2100万円の赤字、最終損益41億7600万円の赤字(2025年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656
