KLab、『スマグロ』ヒットでゲーム事業が急回復、黒字転換 真田社長「長い長いトンネルを抜けた」 『キャプ翼』黒字化など既存にも好影響

木村英彦 取締役 編集長
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KLab<3656>のゲーム事業が今年4月にリリースした『ドラゴンクエスト スマッシュグロウ』(スマグロ)のヒットを契機に回復局面へと入っている。2026年度第2四半期は、『スマグロ』が順調な立ち上がりを見せたことで、売上高が前四半期比で倍増。営業利益は4億9300万円となり、第1四半期の赤字を吸収して上期累計で黒字転換を果たした。

『スマグロ』はリリースから2カ月強という期間ながら十分な収益を確保しており、同タイトルが第2四半期の業績を大きく押し上げた形だ。

決算説明会で注目したいのは、同タイトルそのものの業績だけではない。代表取締役会長兼社長の真田哲弥氏は、現在のゲーム事業について「暗い長いトンネルを抜けて、ゲーム事業がようやく回復してきた」と説明。そのうえで、『スマグロ』を契機に「色々なものが改善されてきている」と他のタイトルへの波及効果がみられたと述べた。

 

■『スマグロ』契機にゲーム作りやプロモーションにも変化

KLabはこの数年間、なかなかヒットタイトルの出ない状況が続いていた。そうした中で『スマグロ』がヒットしたわけだが、真田氏によるとその開発・運営を通じて「ゲームの作り方、プロモーションの仕方、色々な点で改善を重ねてきた」という。KLabにとって『スマグロ』は、単に新たな収益源となったタイトルというだけではなく、ゲーム事業を立て直すきっかけにもなったようだ。

その効果は、新作だけにとどまっていない。真田氏が、10年以上運営を続けている『キャプテン翼』を事例にあげた。『キャプテン翼』は周年キャンペーンやワールドカップ開催の影響もあり、国内版・海外版ともに前四半期比で増収。真田氏はさらに、同タイトルについて「10年以上経過して『キャプテン翼』は黒字でしっかり収益を上げている」と述べた。

「もうとうの昔に減価償却が終わったタイトルが収益貢献するように戻ってきている」。真田氏が長期運営タイトルが再び利益を生み出す状態に戻ってきたことを、KLabでは「明るい兆し」と捉えている。

 

■「ドーンと上がってパーンとはじける」ゲームからの脱却へ

真田氏は今後のゲーム事業について、もう一つ興味深い方向性を示した。それは、新作タイトルの初動だけに依存するのではなく、リリース後も売上を維持できるタイトルを増やしていくことだ。「出だしボーンと言ってそのままドカンと落ちる」のではなく、「緩やかに減衰はすれど維持できるもの」を目指すという。

スマートフォンゲームでは、リリース直後に売上が大きく伸び、その後急速に落ち込むケースも少なくない。KLabは『スマグロ』で得た経験も活用しながら、こうした「初動型」からの脱却を目指しているとみられる。さらにAIを活用して新作ゲームを従来より短期間でリリースすることや、ヒット確率を高めるための工夫にも取り組んでいる。

 

■『スマグロ』の成功を次のタイトルにつなげられるか

今回の決算説明会では、『スマグロ』に続く新作として『僕のヒーローアカデミアUNITED SURVIVAL』(ヒロサバ)の配信開始も報告された。『ヒロサバ』は事前登録100万人を突破し、複数国のApp Store無料ランキングでも1位を獲得するなど、好調なスタートを切った。

『スマグロ』とは異なり、『ヒロサバ』ではKLab自身がパブリッシャーとなる。この違いは業績を見るうえでも重要で、KLabによれば『スマグロ』はスクウェア・エニックスがパブリッシャーを務めるため、KLabはレベニューシェアをネット計上する。一方、『ヒロサバ』はKLabがパブリッシャーであるため、グロスで売上を計上する。

高田取締役は、『ヒロサバ』が想定以上に好調だった場合には「利益率は大きく改善する」と説明している。今後のKLabの業績を見るうえでは、『スマグロ』が一時的に業績を押し上げたかどうかだけではなく、『スマグロ』で得たゲーム開発・運営の改善を、『ヒロサバ』を含む次のタイトルで再現できるかが重要になりそうだ。

今回の決算説明会で真田氏が「暗い長いトンネルを抜けた」と表現したのは、単に一つのヒット作が生まれたからではない。『スマグロ』をきっかけに、ゲームの作り方やプロモーション、既存タイトルの運営、新作の開発方法まで含めて、ゲーム事業そのものを改善する動きが進んでいる。

10年以上運営する『キャプテン翼』が再び黒字で収益貢献し、続く『ヒロサバ』も好スタートを切った。KLabにとって『スマグロ』は、業績を回復させたヒット作であると同時に、ゲーム事業を立て直すための転換点になったタイトルといえそうだ。

 

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KLab株式会社
https://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 真田 哲弥
決算期
12月
直近業績
売上高68億5600万円、営業損益13億400万円の赤字、経常損益14億2100万円の赤字、最終損益41億7600万円の赤字(2025年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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