GLOE、eスポーツ専業から「ゲーム・エンタメのマーケティング企業」へ 市場拡大の先に見据える新たな成長モデル

木村英彦 編集長
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GLOE<9565>は、本日9月24日、「事業計画及び成長可能性に関する事項」を開示した。今後の成長戦略として、eスポーツ・イベントやエージェンシーを基盤に、コンテンツクリエイションや広告プラットフォーム「SCOP」への投資を強化する。2027年6月期は先行投資によって収益性が一時的に低下するものの、2029年6月期には営業利益率10%を目指す。

今回の資料を読むうえで興味深いのは、単純に「eスポーツ市場の成長を取り込んでいく」という計画ではないことだ。むしろ、eスポーツを起点に蓄積してきたノウハウを、より大きなゲーム・IP・エンターテインメントのマーケティング領域へ広げていくという方向性が鮮明になっている。 

 

■「eスポーツ元年」から市場は成長したが……

GLOEは資料の中で、国内eスポーツ市場が2020年の84億円から2024年には161億円へ拡大したことを紹介している。市場自体は着実に成長している。一方で、「eスポーツ元年」と呼ばれた時期に期待されたような、eスポーツそのものが巨大な興行・産業へ成長する姿とは、まだ距離がある。

今回の資料でも、eスポーツ市場だけを示すのではなく、国内ゲームコンテンツ市場2.6兆円、ライブエンターテインメント市場8564億円、インフルエンサーマーケティング市場860億円、推し活市場4.1兆円など、ゲームやeスポーツの周辺にある市場を並べている。

ここに、GLOEが今後どこを見ているのかが表れているように見える。「eスポーツ市場そのものがどこまで大きくなるか」だけを追うのではなく、「ゲームやeスポーツに集まるユーザー、IP、配信者、コミュニティの熱量を、どのようなビジネスにつなげられるか」という発想への転換だ。 

 

■イベント受託で培った「熱狂を生み出す力」を横展開

GLOEの現在の事業基盤は、eスポーツ・イベントとエージェンシーだ。2026年6月期は決算期変更による8カ月の変則決算となり、売上高19億2300万円、営業利益2500万円。売上構成はeスポーツ・イベント54%、エージェンシー35%、その他11%となっている。

これまでのGLOEは、eスポーツ大会やイベントの企画・制作・運営を受託することで事業を拡大してきた。年間200件のイベント・マーケティング支援を10年間にわたって積み重ねてきたことを競争優位性の一つとして挙げている。

これは、eスポーツ市場がまだ巨大とはいえない段階においても、イベントを一つひとつ受託し、そこで収益を上げながらノウハウを蓄積していくことができるビジネスモデルだったといえる。

そして現在、その蓄積をイベントの外へ広げようとしている。資料では、エージェンシーについて、重点顧客の年間計画や全体戦略から支援する案件を増やし、そこからSCOPやインフルエンサーマーケティングなどへのクロスセルを強化する方針を示している。

イベントを受託して終わりではなく、顧客のマーケティング全体に入り込むということだ。

 

■「イベント会社」から「ゲームを使ったマーケティング会社」へ

その変化を象徴するのが「鳴潮」とピザーラのコラボレーションだろう。GLOEは、ゲームIPと国内大手ピザチェーンのコラボについて、オリジナル商品の企画、キャラクターを使用したグッズ制作、ゲーム内アイテムとの連動、SNSキャンペーンの設計・運営まで一貫して担当した。

ここでは「eスポーツ大会を開催する」という従来型の仕事とは異なり、ゲームIPそのものをマーケティング資産として活用している。GLOEはこうしたゲーム・エンタメ領域のマーケティングについて、「ゲームリテラシー」と「マーケティングリテラシー」の双方を持つことを競争優位性として説明している。

ゲームを知っているだけでも、広告を知っているだけでもない。その両方を組み合わせられることが、今後の事業拡大の前提になっている。

  

■さらに先にあるのが「受託しないビジネス」

今回の成長戦略で、より大きな変化となりそうなのが「コンテンツクリエイション」だ。GLOEは、これまでイベントやマーケティング支援を通じて培った「熱狂を生み出す力」を活用し、ゲームやVTuberなどのクリエイターと協働して新たなIP・イベントを創出する方針を掲げている。

そこには「ヒットIP創出」「資産の収益化/価値最大化」「レベニューシェア」「非受託型/toC収益創出」というキーワードが並ぶ。さらに、イベント共催や製作委員会への出資、ゲームパブリッシングなど新しい共創にも投資していくとしている。

ここまで来ると、ビジネスモデルはかなり違ってくる。

「顧客から依頼を受けてイベントやマーケティングを実施し売上を得る」という受託型から、「IP・イベントを共創し、自らもコンテンツや権利を持ち、その成功に応じて収益を得る」というモデルへの拡張である。もちろん後者にはリスクもある。だからこそ、GLOEは2027年6月期を先行投資の期間と位置付けている。

 

■SCOPも「ゲーム配信を見る人」を広告市場につなげる

もう一つの成長領域がSCOPだ。SCOPは約400人のゲーム配信者を通じて、10~20代を中心とした若年層に広告を届けるプラットフォーム。資料によると、月間総視聴時間は2.15億分、月間総配信時間は2万9163時間となっている。

GLOEが描く将来像は、これを単なるインフルエンサーマーケティングの一手法ではなく、若年層に届けるなら「まず出す」広告枠へ育てることだ。

広告主にとっては年間広告予算の定番枠、広告代理店にとっては提案書に標準的に載せられる広告媒体、配信者にとっては収益基盤――という三者の関係を構築することを目指している。こちらも、イベント受託とは異なる「積み上がる事業」を目指していると見ることができる。

 

■最大のテーマは「売上」より「利益率」

こうして見ると、今回のGLOEの成長戦略は、売上規模を単純に拡大することだけが目的ではない。2026年6月期の営業利益率は約1.3%。資料では2027年6月期に先行投資によって一時的に収益性が低下するものの、2029年6月期に営業利益率10%を目指すとしている。29年6月期、30年6月期の売上高については具体的な数値目標ではなく「成長イメージ」として示されている。

これからのGLOEを見る際には、「eスポーツ市場がどれだけ成長するか」だけではなく、「これまでのイベント受託で築いた顧客・ノウハウを、どれだけ高付加価値なマーケティングや非受託型事業へ転換できるか」が重要になる。

eスポーツ市場そのものが期待されたほど巨大化していないからこそ、GLOEはゲーム・IP・配信者・コミュニティという、より広い「ゲームを取り巻く市場」に目を向け始めたともいえる。

eスポーツ市場の成長を待つ会社から、ゲームを活用したマーケティング市場そのものを取りにいく会社へ―――今回の成長可能性資料から見えてくるのは、そんなGLOEの事業モデルの転換である。その成否を測るうえで最も注目したいのが、先行投資を行う27年6月期を経て、SCOPやコンテンツクリエイションがどこまで収益事業として立ち上がり、29年6月期の営業利益率10%という目標につながっていくのか、という点になりそうだ。

 

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GLOE株式会社
https://gloe.jp

会社情報

会社名
GLOE株式会社
設立
2015年11月
代表者
代表取締役 谷田 優也/代表取締役 古澤 明仁
決算期
6月
直近業績
売上高28億4300万円、営業利益1800万円、経常利益2400万円、最終利益300万円(2025年10月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
9565
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