
ケイブ<3760>は、2027年5月期の連結業績について、売上高105億円(前期比12.5%減)、営業利益14億5000万円(前期は6億800万円の営業赤字)、経常利益15億5000万円(同5億3600万円の経常赤字)、最終利益12億円(同27億9900万円の純損失)と、大幅な黒字転換を見込んでいる。大型タイトルへの依存を見直し、不採算事業の整理を終えたことで、安定収益を積み上げる事業構造への転換を進める。
今回の業績予想で特徴的なのは、売上高は減少する一方で利益を大きく回復させる点だ。不採算タイトルの整理による減収を織り込むものの、「利益重視」の方針へ転換し、主力タイトルの安定収益を軸に収益性を改善する計画となっている。
営業利益は前期比20億5800万円増加し、営業利益率は15.2%まで回復する見通しで、会社は「好調期の水準への回帰」を掲げる。また、新規事業の種まきとして約3億円の研究開発費を計画しており、それを加えた「コア営業利益」は約17億5000万円を想定している。
さらに中期的には、2028年5月期までの2年間で営業利益20億円超の達成を短期財務目標として掲げた。主力タイトルの安定収益に加え、新規タイトルの計画的投入やガバナンス強化によって、大型減損の再発防止を図る考えだ。


■「大型ヒット依存」から「安定収益型」へ構造転換
今回の業績見通しの背景には、この1年間で進めてきた事業ポートフォリオの見直しがある。
同社は株価が低迷している要因について、「大型タイトルの成否によって業績が大きく変動し、将来予測が難しいこと」が市場からディスカウントされていると分析。その解消に向けて、不確定要素の大きいタイトルから撤退し、「OUTRANKERS」などに関連する減損・特別損失28億5000万円を2026年5月期に一括計上した。
その上で、収益が安定して見込める既存タイトルへ経営資源を集中し、業績の予見性を高める体制へ切り替えた。会社はこれを「大型タイトルの成否に左右される構造から、安定収益を積み上げる構造への転換」と位置付けている。
あわせてAI活用プロジェクトを立ち上げ、生産性向上にも着手したほか、事業管理チームを新設し、投資判断やリスク管理を厳格化するなど、経営管理体制の強化も進めている。
■26年5月期は構造改革で赤字も、4Qは営業黒字へ回復
2026年5月期の連結業績は、売上高120億200万円(前期比14.1%減)、営業損失6億800万円(前期は11億3300万円の営業利益)、親会社株主に帰属する当期純損失27億9900万円となった。不採算タイトル整理に伴う減損・特別損失を計上したことが響いたものの、会社計画に対しては赤字幅を圧縮して着地した。
一方で、収益改善の兆しも見えている。
第4四半期単独では売上高32億5200万円、営業利益4億100万円となり、前年同期比62.3%の営業増益を達成。営業利益は前四半期の8600万円の赤字から黒字へ転換し、来期の利益回復を裏付ける内容となった。
販管費についても、不採算タイトル整理による広告費の減少に加え、Webショップ利用拡大によってプラットフォーム手数料などの代金回収手数料が減少したことで、第4四半期は8億5700万円まで縮小し、収益構造の改善が進んでいる。
■AI活用とIP戦略で次の成長を狙う
黒字回復後の成長戦略として同社は、「打率を上げる」と「打席を増やす」の両輪を掲げる。
既存IPのリファインや他社IPへの早期投資によって成功確率を高める一方、AIを活用した低コスト・高速開発で新規IPの試作数を増やし、有望タイトルへ集中的に投資する方針だ。また、すべてのタイトルをグローバル展開を前提に企画し、Steamなどを活用した海外販売も強化す
る。
AIについては、企画書作成やコード生成などゲーム開発そのものに活用するほか、翻訳や品質保証、KPI分析、プロモーション最適化といった開発業務の効率化にも導入する。ただし、世界観の設計やキャラクター原案、品質の最終判断、権利侵害リスクへの対応など、作品の根幹部分については人間が担う方針を明確にしている。
■記者のメモ
今回の決算資料で最も印象的なのは、「成長戦略」よりも「業績の予見性」を前面に打ち出した点だろう。ゲーム会社では通常、新作ラインアップや大型IPの投入が注目されるが、ケイブはまず「業績が読める会社になる」ことを最優先課題として掲げた。
売上高を追うより利益率を重視し、不採算案件を早期に整理して安定収益型へ転換するという方針は、ゲーム業界では比較的珍しいメッセージでもある。2027年5月期の黒字転換を実現できれば、次の焦点は2028年5月期に掲げる営業利益20億円超の達成と、新たな成長ドライバーをどこまで育成できるかになりそうだ。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ケイブ
- 設立
- 1994年6月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 高橋 祐希
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高139億6900万円、営業利益11億3300万円、経常利益11億3100万円、最終利益2億4600万円(2025年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3760
