monoAI technology、フィジカルAI事業に参入 XR・デジタルツインと「モノビットエンジン」をロボット領域に展開

monoAI technology<5240>は、本日8月14日、フィジカルAI(ロボティクス)領域への本格参入を発表した。XRやメタバース、通信、AIなどの技術領域で培ってきた既存資産を活用し、ロボットの導入前シミュレーションから導入後の運用、モデル改善までを一気通貫で支援する「ロボットSIer」モデルの事業展開を目指す。

同社によると、AI技術はこれまでの生成AIやエージェントAIなどによるデジタル空間上の情報処理から、現実世界の物理空間と相互作用しながら自律的に行動する「フィジカルAI」へと進化しているという。日本政府もAIロボティクス戦略のもと、2040年までに製造、物流、建設、医療、介護など18分野へ1,000万台規模のAIロボットを導入し、官民で10兆5000億円を投資する国家目標を掲げている。

こうした市場環境を背景に、同社はこれまで構築してきた「XR・デジタルツインによるシミュレーション環境構築力」と、ゲーム開発で培った大規模低遅延通信技術「モノビットエンジン」を組み合わせる。特にモノビットエンジンについては、ロボットの遠隔操縦(テレオペレーション)基盤への応用を想定している。

 

■「ロボットを買う前」から「導入後」までを支援

今回の事業で同社が目指すのは、ロボットそのものを製造するビジネスではなく、ロボットを現場へ導入するための環境を構築し、導入後の運用まで支援するSIer型のモデルだ。

具体的には、大きく3つのサービスを想定している。

1つ目は、導入前シミュレーションサービスだ。

工場や店舗などの現場を空間キャプチャによって仮想空間に再現し、デジタルツインを構築。実際にロボットを購入する前に、対象となるタスクが成立するのか、既存の業務フローに問題なく組み込めるのかをシミュレーションによって検証する。

また、ロボット導入そのものを伴わない、シミュレーション単独のサービスとして提供することも想定している。

2つ目が、汎用テレオペレーション基盤だ。

ここでは「モノビットエンジン」の技術を応用し、回線品質が悪い環境でもスムーズな遠隔操縦を実現する。完全自律型ロボットが実用化するまでの過渡期には、人間が遠隔からロボットを操作する需要が見込まれることから、テレオペレーションを事業基盤の一つに位置付ける。

さらに重要なのが、遠隔操縦によって蓄積したデータをAIの学習データとして活用する点だ。操縦データを「AIのお手本データ」として蓄積し、VLA(Vision-Language-Action)モデルの開発へフィードバックする構想を描いている。

3つ目は、ロボット導入・運用サービス。

人手不足や業務自動化のニーズを持つ企業に対し、現場確認からシミュレーションによるROI検証、最適なロボットの選定、VLAモデルの開発、テレオペレーション環境の構築、現場導入、保守運用・遠隔管理までをワンストップで提供する。

つまり、単純に「AIロボットを導入してください」というビジネスではなく、どの業務にロボットを入れられるのかをシミュレーションし、実際に導入し、導入後には人間による遠隔操作とデータ収集を行い、そのデータを将来的な自律化につなげるというモデルだ。

 

■ゲーム開発で培った通信技術をロボットへ

今回の参入で興味深いのが、ゲーム開発で培ってきた技術がフィジカルAI事業の中核の一つとして位置付けられている点だ。

同社はこれまでXR、メタバース、通信、AIといった領域で事業を展開してきた。今回、その中でもゲーム開発を通じて培った大規模低遅延通信技術「モノビットエンジン」を、ロボットの遠隔操縦へ応用する。

ゲームでは、多数のプレイヤーやオブジェクトがリアルタイムで動く環境を成立させるため、通信の遅延や品質がゲーム体験に直結する。今回の事業では、そうしたリアルタイム通信の技術を、現実世界のロボットを遠隔から動かすための基盤へ転用する考えだ。

また、XR・デジタルツインについても、ロボット導入前のシミュレーションという形で活用する。現実の工場や店舗を仮想空間に再現し、実機を導入する前に「そのロボットが現場で本当に動くのか」を検証することで、導入コストや失敗リスクを抑える狙いがある。

この意味では、今回の事業は既存事業から大きく離れた新規事業というより、monoAI technologyがこれまで蓄積してきたXR、通信、AIなどの技術を、ロボットという現実世界のデバイスに接続する取り組みと見ることもできる。

 

■まずは2500万円を投じて検証環境を構築

新事業の立ち上げにあたっては、双腕アームを含む検証用ロボット実機の購入、デジタルツイン・シミュレーション環境向けのGPUサーバーなどの計算資源やソフトウェア整備、模倣学習や実現場でのデータ収集、データプラットフォーム構築に関する研究開発への投資を予定している。

当期に支出する金額は現時点で2500万円を見込む。

また、事業を専門的に推進する戦略子会社として、連結子会社「ロボアプリケーションズ」の商号を8月14日付で「monoAI Robotics」に変更する。

もっとも、今回の事業開始が2026年8月期の連結業績に与える影響は軽微としている。現段階では、まずロボットやシミュレーション環境などを整備し、事業モデルの検証を進めるフェーズとみられる。

 

■「AIがロボットを動かす」までの過程を事業化

フィジカルAIというと、完全自律型の人型ロボットなどが注目されやすい。しかし、今回のmonoAI technologyの事業構想は、そこに至るまでのプロセスそのものを事業領域として捉えている点が特徴的だ。

現場をデジタルツインで再現し、導入効果を検証する。実際の導入後は、完全自律化するまでの期間をテレオペレーションで補いながら、そこで得られた人間の操作データをAIの学習に利用する。そして、最終的にはVLAモデルなどを通じてロボットの自律化につなげる。

ゲームやメタバースで培ってきた技術を、現実世界で動くロボットへと接続する。monoAI technologyのフィジカルAI事業は、同社にとって新たな事業領域への進出であると同時に、これまで蓄積してきた技術資産の新たな活用先を探る取り組みともいえそうだ。

 

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monoAI technology株式会社
http://monobit.co.jp/

会社情報

会社名
monoAI technology株式会社
設立
2013年1月
代表者
代表取締役社長 本城 嘉太郎
決算期
12月
上場区分
東証グロース
証券コード
5240
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