カバー、9月中間期の営業益予想を81%上方修正 『ホロドリ』好調でライセンス領域が計画超過 「新たなファン接点」への取り組みはこれから

木村英彦 編集長
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カバー<5253>は、本日9月24日、2027年3月期第2四半期累計(4~9月)の業績予想を上方修正した。売上高は従来予想の222億7000万円から据え置く一方、営業利益を19億3000万円から35億円へ81.3%引き上げた。そして、経常利益は19億3000万円から34億円へ76.2%、最終利益は13億5000万円から23億円へ70.4%上方修正した。

【業績予想の修正】
・売上高:222億7000万円(変更なし)
・営業利益:19億3000万円→35億円
・経常利益:19億3000万円→34億円
・最終利益:13億5000万円→23億円
・EPS:20.56円→35.03円

【従来予想からの修正率】
・売上高:変わらず
・営業利益:81.3%増
・経常利益:76.2%増
・最終利益:70.4%増

【前年実績との比較】
・売上高:2.3%増
・営業利益:31.2%増
・経常利益:27.1%増
・最終利益:15.0%増

▲四半期売上高と営業利益の推移。営業利益については第2四半期は28億4900万円と過去最高となる見通しだ。

 

今回の修正で注目されるのが、7月にサービスを開始したスマートフォンゲーム『hololive Dreams(以下、「ホロドリ」)』が期初想定を上回る初速を記録し、これに伴ってライセンス・タイアップ領域が計画を上回って推移しているという。

第1四半期決算の段階でも、『ホロドリ』は事前登録者数160万人を突破。サービス開始初日に100万ダウンロード、足元では200万ダウンロードを超え、リリースしたすべてのストアでセールスランキング1位を獲得するなど、好調なスタートを切っていた。

カバーは当時から、『ホロドリ』について「期初想定を上振れて推移」と説明するとともに、ゲーム分野について「持続性の高い事業の柱としてゲーム分野の立上がりを確認」と評価していた。今回の上方修正は、そうした第1四半期時点での好調が、その後も続いていることを業績面から確認するものとなった。

 

■「ホロドリ」好調がIPライセンス収益に波及

今回の上方修正でポイントとなるのが、売上高ではなく利益が大きく上振れしていることだ。売上高予想は222億7000万円で据え置かれた一方、営業利益は19億3000万円から35億円へ81.3%引き上げられた。

背景には、売上構成の変化がある。カバーによると、マーチャンダイジング領域は在庫不足やTCGを含む商品投入時期などの影響で期初計画を下回った一方、『ホロドリ』の好調によってライセンス・タイアップ領域が計画を上回って推移した。

一定のコストが発生するマーチャンダイジングが計画を下回る一方、比較的収益性の高いライセンス・タイアップが伸びたことで、売上高はほぼ計画通りでも、利益は大きく上振れしたという構図だ。

『ホロドリ』は、カバーが保有するhololiveのIPをゲームという形で展開する取り組みであり、ゲームの好調はカバーにとってライセンス収益にもつながる。今回の上方修正は、ゲームそのものの好調がIPライセンスビジネスにも波及し、カバー全体の利益を押し上げたことを示すものといえそうだ。

 

■ゲームを「新たなファン接点」にする取り組み、その成果はこれから

第1四半期決算の発表時、カバーは『ホロドリ』を「ゲーム領域を通じた新たなファン接点の創出」と位置付けていた。ゲームというコンテンツを入口にすることで、これまでhololiveに接触していなかったユーザーがキャラクターやIPに触れる機会を増やす。そしてそこから配信、音楽、ライブ、グッズなど、hololiveを構成するさまざまなコンテンツへ接触が広がっていく――。ゲームを単なる収益源ではなく、IPへの新しい入口として捉える考え方だ。

ただし、この「新たなファン接点の創出」が具体的な成果として表れるのは、もう少し先になる可能性がある。今回確認できたのは、まず『ホロドリ』そのものが好調なスタートを切り、それがカバーのライセンス・タイアップ領域の計画超過につながっていることだ。

一方で、ゲームを始めたユーザーがその後、hololiveの配信を見るようになったのか、音楽やライブ、グッズなど別のコンテンツにも接触するようになったのかといった、IP全体への波及については今回の開示からは確認できず、中間期の決算発表で何らかの言及があると見られる。

 

■通期予想は据え置き、下半期の継続性を見極める

一方、通期業績予想については据え置いた。カバーは、上半期の上振れ要因が下半期の事業展開に与える影響について、現時点では合理的に算定することが困難であり、これらの継続性について引き続き精査中としている。

モバイルゲームは、サービス開始後のユーザー動向や課金状況などによって、業績が上振れ、下振れのいずれにも振れやすく、特に新作タイトルについては期初段階で通期の数字を精度高く見通すことが難しい面がある。今回も、上半期については実績を踏まえて大幅な上方修正を行う一方、下半期については今後の動向を見極める判断となった。

『ホロドリ』については、ゲームとしての好調が確認され、その結果がカバーのライセンス・タイアップ領域にも表れ始めた。次の焦点は、このゲームの好調が下半期以降も続くのか。そして、ゲームを入口とした「新たなファン接点」が時間をかけてhololiveというIP全体の成長につながっていくのか――。今回の上方修正は、その最初の段階を確認する材料になりそうだ。

 

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