エヌジェイHD、ゲーム受託事業の競争力を人材から強化 多様な案件に対応できる組織づくりとチーム開発力を重視

エヌジェイホールディングス<9421>は、ゲーム事業における人材を単なる開発リソースではなく、受託事業の競争力を左右する重要な経営資源と位置付けている。人材の質の維持・向上を、取引先の拡大や受注価格の維持・向上につなげる考えだ。

同社のゲーム事業は、ゲームの企画・開発受託に加え、派遣、監視、カスタマーサポートなどの運営支援、ローカライズ・翻訳などの海外支援を手掛ける。自社IPのヒットによって成長するビジネスとは異なり、顧客から求められる品質や案件への対応力が事業の競争力に直結する。

同社も「成果物・サービスの品質の高さ」と「クライアントの要求に柔軟かつ迅速に応える対応力」をゲーム事業の競争力の源泉として挙げており、それを担う人材の質が取引先の拡大や受注価格に直結するとしている。

 

■「優秀な人材を採る」だけでなく、長期的に育成

ゲーム事業の人材戦略では、まず「基礎能力とポテンシャルを重視した採用」を掲げる。短期間で習得できるスキルだけを見るのではなく、長期的な視点と「ものづくりへの情熱」を持つ人材を重視。さらに職種バランスを意識した採用によって、特定の案件規模やジャンルに偏らず、多様な案件に対応できる組織構成を維持する考えだ。

これは、開発人員を単純に増やすという発想とは異なる。市場の変化や案件構成の変化に対して、組織そのものが柔軟に対応できるようにすることを狙っている。

ゲーム開発費の高騰や市場の多様化が進むなか、同社は「多様な案件に対応できる組織の柔軟性」と「競争力のある開発コスト」の実現を重要な戦略課題としている。人材の採用・育成も、この課題への対応策として位置付けられている。

 

■職域を越えた育成で案件対応力を高める

2つ目の柱が「職域を越えた人材育成」だ。開発分野だけでなく、運営サポート分野でも相互異動などを通じて複数業務にまたがる対応力を育成し、「連携力と専門性を兼ね備えた人材」を増やすことで、案件への対応範囲を広げる。

ゲーム受託では、案件ごとに必要となる職種やスキル、規模が異なる。特定の領域にしか対応できない人材が増えるよりも、専門性を持ちながら複数の業務に対応できる人材を育てることが、組織の柔軟性や稼働率の向上につながる。

つまり同社にとって人材育成は、個人のキャリア形成だけではなく、受託事業の案件対応力を高めるための経営施策でもある。

 

■個人のスキルだけでなく「チームを作る力」を評価

3つ目の柱は「チームと個の能力育成の両立」だ。開発プロジェクトの大規模化やチーム開発の複雑化を背景に、個々のスキル向上だけでなく、「人を育て組織をまとめる力」も育成・評価の対象としている。

これはゲーム開発の競争力を、個々のクリエイターの能力だけでなく、チームとして成果を出す能力まで広げて捉えていることを意味する。

実際、ゲーム開発分野では、品質と生産性への貢献を重視して報酬に反映する方針を掲げている。ゲームスタジオやトライエースが主に担うゲーム開発では、「物を作る力」を事業の根幹と位置付け、クオリティと生産性に高いウエイトを置くほか、携わったプロジェクトの業績貢献も評価に反映する。

人材を採用して終わりではなく、「採用 → 育成 → チーム形成 → 評価 → 事業成果」というサイクルを構築しようとしていることがうかがえる。

 

■運営サポートでは有期雇用人材も重要な戦力に

ゲーム運営サポート分野では、別のアプローチも取っている。職務に必要なスキル基準を事業部門ごとに設定し、等級制度に基づいて給与を決定。キャリア形成段階にある従業員については成長に関する目標設定や達成度を重視し、上位等級では業績数値への貢献度を重視する。

特徴的なのは、有期雇用の従業員が半数近くを占める一方で、同社がこうした人材を「補助的な労働力」としてではなく、業務運営上重要な役割を担う人材として位置付けている点だ。

そのため、正社員と同じ枠組みでスキルや貢献に応じた処遇改定を行うほか、正社員への登用機会も設けている。人手を確保するだけではなく、現場で経験を積んだ人材のスキルを蓄積し、処遇やキャリアにつなげることで、ゲーム運営を支える人材基盤を構築しようとしている。

 

■「人材強化」が受託ゲーム事業の競争力につながる構造

エヌジェイHDの人材戦略で興味深いのは、「人材を大切にする」という一般的な人的資本の説明にとどまらず、ゲーム事業の収益構造とのつながりを明確にしている点だ。受託ゲーム事業では、優秀な人材を確保し、その能力を高めることが、成果物やサービスの品質、生産性、案件への対応力を高める。そして、それが顧客からの評価や案件獲得、受注価格の維持・向上につながる。

同社が目指しているのは、単に「優秀なクリエイターを増やす」ことではない。専門性を持ちながら複数の案件・業務に対応でき、さらにチームとして高い品質のゲームを作れる組織をつくる。ゲーム開発費の上昇や市場の多様化によって、受託会社にも柔軟性と生産性が求められるなか、エヌジェイHDは人材戦略を通じて、その両立を目指しているといえそうだ。

 

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株式会社エヌジェイホールディングス(NJHD)
https://www.njhd.jp/

会社情報

会社名
株式会社エヌジェイホールディングス(NJHD)
設立
1991年12月
代表者
代表取締役社長 福田 尚弘
決算期
6月
直近業績
売上高96億9800万円、営業利益1億200万円、経常利益9600万円、最終利益2億7400万円(2024年6月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
9421
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