
ワンダープラネット<4199>は、生成AIを開発工程や全社業務に組み込む「AI駆動開発」への移行を進める。本日(10月13日)発表した2026年8月期通期決算説明資料で、全社生成AI利用率100%を土台に、独自開発基盤「SEED」と生成AIを組み合わせ、少数精鋭の体制で事業量を拡大する方針を明らかにした。
同社は、生成AIを個別の作業を補助するツールにとどめず、開発フロー全体をAI活用を前提とした形に再設計する考えだ。AI活用による生産性向上と開発基盤の継続的な改善を通じて、複数のゲーム開発・運営ラインを並行して推進できる体制の構築を目指す。
■生成AIを開発工程から全社業務まで活用
同社のAI活用方針は、大きく3つの要素で構成される。
1つ目は、全社的なAI活用である。ゲームの開発工程だけでなく、経営やマーケティング、バックオフィスを含む複数の業務工程で生成AIを活用する。全社生成AI利用率100%を土台として、特定の職種や業務に限定しない活用を進める方針だ。
2つ目は、開発・業務の生産性向上である。生成AIを個別の補助ツールとして利用する段階から、開発フロー全体をAI活用を前提とした形に再設計する段階へと移行する。
3つ目は、複数の開発・運営ラインの並行推進だ。生成AIと独自開発基盤「SEED」を組み合わせることで、限られた人員で複数タイトルの開発・運営を進められる体制を目指す。
同社は、IP協業タイトルとオリジナルタイトルの両輪で開発を推進する方針を掲げている。AI活用と開発基盤の整備を、こうした事業拡大を支える仕組みとして位置付けている。

■2023年から開発基盤「SEED」を整備
AI駆動開発の基盤となるのが、同社が2023年から開発に着手した独自開発基盤「SEED」である。同社はこれまで、SEEDを通じて工数削減や品質の底上げ、設計思想・技術スタックの統一などに取り組んできた。現在は、人材やIP協業・オリジナルといった開発案件の違いを問わず、新規開発を加速させる機能の洗練に注力している。
決算説明資料では、SEEDの設計思想・実装方針として、AIを前提とした開発の型や、開発した機能を別の環境でも活用しやすくするポータビリティ、難度の高い機能の内製実装、運営を効率化する基盤・ツールなどを挙げている。
また、共通フレームワークの継続的な改善や、技術スタックの鮮度・健全性の維持にも取り組む。こうした基盤の整備によって、高品質・短期間・低コストの開発を実現し、新規タイトルの高速開発や複数タイトルの同時開発につなげる考えだ。
生成AIの活用を個々の開発者の工夫に委ねるのではなく、共通の開発基盤と組み合わせて開発プロセス全体に組み込むことが、同社の取り組みの特徴といえる。

■少数精鋭の体制で開発力を強化
同社はAI・SEEDを前提とした体制への移行に合わせ、求められるスキルの変化にも対応しながら、総開発力の強化を目指す。フルリモートやフレックスタイム制を活用し、少数精鋭の人材が成果に集中できる環境の整備や、採用・育成も進める方針だ。
背景には、IP協業の拡大とオリジナルタイトルの新規開発再始動を掲げる事業戦略がある。同社は今後3年間の経営資源の集中先として、有力IPホルダーとの協業拡大、オリジナルタイトルの開発再始動、ハイブリッドカジュアルゲームの開発基盤「SEED」の洗練という3つの方針を示している。
このうちSEEDについては、開発スピードの向上と開発費効率の改善に寄与する基盤として、さらなる洗練を進める考えだ。AI活用は、単に業務を効率化するだけでなく、複数の新規タイトルを開発・運営する事業体制を支える施策として位置付けられている。
一方、同社はIPや創作領域の価値の源泉は引き続き人の創造性にあるとしている。生成AIの活用を進めながら、人の創造性を生かしたコンテンツ開発を目指す姿勢も示した。
■AI活用を開発費効率の改善につなげられるかに注目
ワンダープラネットは2027年8月期の業績予想として、売上高21億円、営業利益3000万円を見込む。2026年8月期の実績は売上高19億4400万円、営業損益1億6200万円の赤字であり、今期は営業黒字への転換を目指す。
同社は、前期に実施した費用構造の見直しによる効果や、協業タイトルの通期寄与などを増益要因に挙げる一方、新規タイトルへの開発投資を予定している。今後は、新規開発への投資を進めながら、既存の開発コスト削減と開発基盤の改善を両立することが重要になる。
全社的な生成AI活用とSEEDの連携が、開発スピードや品質を維持しながら開発費効率の改善につながるかは、今後の注目点となる。複数タイトルの並行開発を支える体制の構築と、その成果が業績にどのように表れるかを継続的に見ていきたいところだ。
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会社情報
- 会社名
- ワンダープラネット株式会社
- 設立
- 2012年9月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 佐藤 彰紀
- 決算期
- 8月
- 直近業績
- 売上高23億1600万円、営業損益1億2900万円の赤字、経常損益1億5300万円の赤字、最終損益1億3100万円の赤字(2025年8月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 4199
