【インタビュー】『アナザーエデン ビギンズ』発売後の手応えは? 「ニューゲーム+」に込めた狙いとシリーズの未来を平澤Pに訊く

山岡広樹 gamebiz編集者
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ライトフライヤースタジオが9月17日に発売したタイムトラベルRPG『アナザーエデン ビギンズ』。スマートフォン向けRPG『アナザーエデン 時空を超える猫』のメインストーリー第1部をベースに、グラフィックやバトル、フィールド探索などを一新し、コンシューマ向けの作品として生まれ変わったタイトルだ。

本作の大きな特徴のひとつが、クリア後に新たな物語が展開する「ニューゲーム+」だ。単に同じ冒険を繰り返すのではなく、新キャラクター「ラミュ」との出会いやマルチエンディングを通して、既存のプレイヤーにも新たな発見をもたらす仕組みとなっている。

発売から約2週間が経過(※取材時点)した今回、本作のプロデューサーであり、開発を手掛けるスタジオプリズマの代表でもある平澤信之介氏にインタビュー。発売後のプレイヤーの反応や、バトル・探索を作り直した手応え、「ニューゲーム+」に込めた狙い、そして今後の『アナザーエデン』シリーズの可能性について話を聞いた。


▲『アナザーエデン ビギンズ』プロデューサー兼スタジオプリズマ代表の平澤信之介氏。

■発売後に見えてきた手応え――バトルや探索を作り直した意味

──:9月17日に『アナザーエデン ビギンズ』が発売されました。まずは、発売を迎えた現在の率直な手応えをお聞かせください。

平澤信之介氏(以下、平澤):発売のタイミングでは大きなタイトルとぶつかったこともあり、現段階では「ここがスタート。ここから頑張らないといけない」という感覚です。

一方で、もっと話題にならずに終わってしまうのではないかという心配もあったのですが、多くの方に楽しんでいただけているようで、そこはすごく安心しました。

──:本作は、これまでスマートフォン版を遊んでいた方だけでなく、コンシューマ版から初めて『アナザーエデン』に触れる方にも楽しんでもらいたいという狙いがあったと思います。実際に発売されてから、両者の反応に違いは見られましたか?

平澤:すでにスマートフォン版を遊んでいる方は、少なくとも1周目は知っている物語なので、どちらかというと違いを見つけるような遊び方をしている方が多いですね。フルボイスになったことで、改めて物語を楽しんでくださっている方もいます。


▲フルボイスが実装されたことで、キャラクターたちの会話を、より臨場感豊かに楽しめる。

平澤:一方、初めて遊んでくださった方からは、「こんなRPGがあったんだ」「手軽に遊べて良い」といった声がありました。10年前に我々が実現したかったことを改めて感じていただけている部分もあって、すごく新鮮に感じました。

──:本作では、スマートフォン版の第1部をベースにしながら、グラフィックやバトル、フィールド探索などを大きく作り直しています。発売を迎え、実際にユーザーの反応に触れた今だからこそ、「ここは作り直してよかった」と改めて実感している部分はありますか?

平澤:バトル周りやフィールド探索など、ゲームデザインの部分は大きく変更したので、きちんと作り直してよかったと感じています。

見た目には当時から引き継いでいる部分もありますが、10年前のバトルシステムをそのままにするのではなく、今のプレイヤーが遊びやすいようにチューニングできました。そうした部分を好意的に受け止める方が多かったと感じますので、取り組んでよかったと思っています。


▲グラフィックにも改良が加えられ、キャラクターやフィールドの表現が進化。繊細な部分ではあるが、コンシューマ向けに作られた新たなビジュアルで物語を楽しめる。

──:遊びやすさという点では、どのような工夫が大きかったのでしょうか?

平澤:特にバトルが大きいと思います。従来型のコマンドバトルをそのまま採用すると、どうしても動きが鈍くなったり、今のスピーディーなゲーム展開に合わなかったりする部分があります。

スマートフォン版『アナザーエデン』には、技を連続して繰り出せる「アナザーフォース」がありますが、そこからさらにテンポを良くするために導入したのが「チェインスキル」です。

ある程度相性の良い組み合わせを作っておくと、技が次々につながって気持ちよく戦える。そうした、今の時代に合った爽快感を盛り込めたことが、テンポ良く遊んでいただける要因になっているのではないかと思います。


▲バトルでは敵の時間を止めて一方的にスキルを発動できる「アナザーフォース」なども含め、演出や操作にも工夫を凝らし、テンポ良く戦闘を楽しめるようにしている。

──:一方で、コンシューマ向けの開発ならではの難しさもあったのでしょうか。特にUIや操作性についてはいかがですか?

平澤:スマートフォン版と比べて、UIなどはかなりブラッシュアップできたと思います。ただ、我々にとって、この規模のコンソールタイトルを作るのは初めてだったので、まだまだ詰め切れていないところがあったというのが正直なところです。

コンソールゲームにもUIを含めたトレンドがあり、プレイヤーはほかのゲームと比較しながら遊びやすさを感じます。そうした知見を取り入れようと試行錯誤しましたが、発売時点では一部を反映しきれなかったという悔しさもあります。

また、スマートフォンとコンソールでは、プレイヤーがどのような環境やスタイルで遊ぶのかが異なります。画面に直接触れて操作するのと、コントローラーで操作するのとでは、UIに求められるものも違いますから、同じような快適さを実現するには相当な追求が必要でした。

現在も細かなアップデートを続けており、今後も反省点を踏まえながら、少しずつ遊びやすく改善していきたいと考えています。


▲スマートフォン版からUIデザインをブラッシュアップし、コンシューマ向けの操作性や視認性を追求。リリース後も、さらなる遊びやすさの向上に向けて改善を続けている。

■「チェインスキル」で広がる戦い方――プレイヤーごとに異なるパーティ編成

──:チェインスキルについて、実際にユーザーが遊んでいる様子を見て、想定していたものとは違う遊び方や組み合わせなどは見つかっていますか?

平澤:もともと、さまざまな組み合わせが成立するように設計していました。自由に編成を変更できるからこそ、「こんなパーティで遊んでいるんだ」と、見ていて面白いところがあります。

好きなキャラクターを中心に組む方もいれば、効率を重視する方もいる。皆さんが多種多様なパーティを組んでいるのが興味深いですね。

本作ではチェインスキルに加えて、複数のパーティを作り、切り替えながら戦える仕組みも取り入れています。登場するプレイアブルキャラクターは全19人で、最大16人を4つのパーティに編成できます。どう組み合わせるかという部分も、楽しんでいただける要素になっていると思います。


▲キャラクター同士の連携がカギとなる「チェインスキル」。パーティ編成やスキルの組み合わせによって、多彩な戦い方が生まれる。

■「ニューゲーム+」はなぜ必要だったのか――もう一度遊ぶ価値を生み出す仕組み

──:本作の大きな特徴のひとつが「ニューゲーム+」です。クリア後にもう一度遊ぶ仕組みを取り入れようと考えたきっかけを教えてください。

平澤:プロジェクトが始まったとき、第1部にあたる全26章の物語は、すでに遊んでくださっている方々から高く評価されており、我々も自信を持っていました。

新しく遊ぶ方はもちろん、フルボイスになることで既存のプレイヤーにも改めて楽しんでいただけるだろうと考え、まずはその物語を大きく変えずに収録したいと思っていました。

ただ、それだけでは、すでに遊んだ物語を音声付きでもう一度楽しむだけになってしまいます。そこで、「もう一度遊ぶ価値をどう作るか」というところから、ニューゲーム+のアイデアが生まれました。

そこに何を盛り込めば、『アナザーエデン』という大きな世界観の中で新たな意味を持ち、すでに第1部を遊んだ方にもワクワクしていただけるのか。それを考えながら内容を詰めていきました。


▲クリア後は「ニューゲーム+」で再び物語へ。1周目とは異なる展開や新たな発見が待ち受ける。

──:プレイヤーの選択や行動によってエンディングが分岐する構造にするうえで、『アナザーエデン』らしさとはどのように両立させたのでしょうか?

平澤:そもそもタイムトラベルものは、主人公が何かをしたことで未来が変わる、という物語だと思います。そう考えると、マルチエンディングの構造は、むしろ『アナザーエデン』らしいのではないかと感じていました。

もちろん、エンディングを複数用意するぶん、シナリオのボリューム面では苦労しました。ただ、『アナザーエデン』らしさとマルチエンディングを両立すること自体に、大きく悩んだわけではありません。

また、コンシューマゲームでは、分岐した物語を回収し、すべてのエンディングを見てコンプリートを目指すことも、ひとつの遊びになります。図鑑を埋めるような感覚でエンディングを集めていただける仕組みは、本作にうまく噛み合っていると思います。

実際、発売から2週間も経たないうちに、図鑑などの収集要素を100%にして、その画面を公開している方もいました(笑)。「もう少しゆっくり遊んでください!」と思いつつ、それだけ楽しんでいただけているのはうれしいですね。

■2周目から登場するラミュ――「知っている物語が変わる」驚きを届ける

──:「ニューゲーム+」から登場する新キャラクター「ラミュ」についてもお聞きします。なぜ彼女を2周目から登場させるキャラクターとして設定したのでしょうか?

平澤:ニューゲーム+が始まったときに、単なる2周目ではなく、「何か様子が違うぞ」と最初に感じてほしかったんです。

そのため、2周目では、遊んでいただいたプレイヤーが体験するオープニングとはまったく異なる物語が始まるようにしようと考えました。そして、その違いを2周目の冒険の中でも維持していくためには、ナビゲーターのようなキャラクターがいた方が、ゲームデザインとしても構造を作りやすいと考えました。


▲「ニューゲーム+」から登場する新キャラクター・ラミュ。彼女の存在によって、知っているはずの物語にも新たな変化が生まれる。

平澤:そこにシナリオ上の要素もかみ合い、ラミュがいることでさまざまな変化が起こり、それを起点にマルチエンディングや真のエンディングへとつながっていく構造を作ることができました。そうした立ち位置のキャラクターとして、ラミュにパーティに加わってもらう形にしています。

実際に遊んでみると、ラミュがいることで物語が変化していきます。1周目で体験した物語を知っているからこそ、「彼女がいたことで、こんなふうに変わったんだ」と気づける。そうした発見を楽しみながら、物語の節目ごとに「次は何が起こるんだろう」とワクワクしていただけたら嬉しいですね。

──:実際に発売されてから、プレイヤーの反応はいかがですか?

平澤:特に、もともとスマートフォン版を遊んでくださっている方が2周目に入ると、かなり驚いているようです。まだネタバレを控えていただく期間としているので、SNSなどで広く出回っているわけではありませんが、実際に遊んでいる方からは「マジか……!」といった反応がありました。

ファンの方から「このゲームは2周目まで遊んでこそだ」という声もいただいていて、作ってよかったと感じています。

もちろん、初めて遊ぶ方にも、2周目で新たな物語を楽しんでいただけると思います。一方、すでに物語を詳しく知っている方にとっては、特にたまらない内容になっているのではないでしょうか。

■本編とDLCの違いは? キャラクターの追加で広がる遊び

──:発売後のDLCでは、新たなキャラクターやシナリオが追加されています。本編では描き切れなかった物語やキャラクターの魅力を、DLCを通してどのように見せていきたいと考えていますか?

平澤:DLCは、キャラクターと、そのキャラクターに紐づくキャラクタークエストなどを組み合わせたものです。物語体験そのものを大きく変えるというよりは、新しい能力を持ったキャラクターが加わることで、バトルの編成の幅が広がることが大きなポイントです。

また、キャラクターの親密度クエストなども追加していますので、気に入ったキャラクターや好きなキャラクターがいれば、ぜひ手に取っていただきたいと思っています。


▲DLCでは、新たなプレイアブルキャラクターを仲間にでき、出逢いクエストのほか、仲間クエストや親密度クエストなどの物語も楽しめる。

──:本編に登場するキャラクターと、DLCで追加するキャラクターは、どのような考え方で分けているのでしょうか?

平澤:本編に登場するキャラクターは、まず本編だけで作品がきちんと成立するように考えています。例えば、古代の街で出会うキャラクターであれば、物語の進行に合わせて仲間になることに違和感がないよう、配置を選んでいます。

一方、DLCは、いつ購入して遊んでいただいてもよいものです。そのため、本編の物語の流れに沿って登場する必要がなく、途中から加わっても成立するキャラクターを選べるという違いがあります。

■TGS2026でファンと触れ合い、改めて感じた作品の魅力

──:東京ゲームショウ2026(TGS2026)にも出展されていましたが、現地には足を運ばれましたか?

平澤:ビジネスデイ初日と一般日の両方に足を運びましたが、シンプルに嬉しかったですね。スマートフォン版を遊んでくださっている方はもちろん、これまでリアルイベントにも来てくださっていたファンの方々もブースに足を運んでくれました。

大きなイベントの会場に多くの人が集まり、実際にゲームを遊んでもらえるのはコンシューマゲームならではの良さだと感じています。『アナザーエデン』でそうした体験を実現できたことは、我々にとってもファンの皆さんにとっても良かったのではないかと思います。


▲TGS2026のブースでは、多くの来場者が『アナザーエデン ビギンズ』の試遊を楽しんでいた。

──:来場者の反応から、どのような手応えを得られましたか?

平澤:最近はハイエンドなゲームが増えていますが、本作については、見た目が可愛らしく、手軽に遊べそうな印象がありながら、実際に触るとテンポ良く遊べる点をポジティブに捉えてくださる方が多かった印象です。そうした反応を見て、我々が得意とする領域で勝負していけば良いのだと、改めて実感しました。


▲TGS2026の会場を訪れた平澤プロデューサー。

■『アナザーエデン』の可能性を広げるコンシューマ展開

──:『アナザーエデン ビギンズ』を発売したことで、今後の『アナザーエデン』シリーズの展開について、新たに見えてきた可能性や、挑戦してみたいことはありますか?

平澤:今回取り組んでみて、10年前に作った第1部の物語も、まだまだ掘り下げられると感じました。こういう広げ方もあるのか、というのは我々にとっても新しい発見でしたね。

そして、コンシューマ向けに作品を作り、皆さんに受け入れていただき、発売までたどり着けたことも大きな経験になりました。スタジオとしては、コンシューマでも新しい挑戦をしたいという気持ちがあります。

スマートフォン向けの運営タイトルとコンシューマ作品の両軸で、さまざまなことに取り組むのも面白いと思っています。これまでの物語を『ビギンズ』のような形で描いていく方法もありますし、新しい物語を届けることもできるかもしれません。

チームとしてはRPGの開発に強みがあるので、RPG体験を届けることには自信があります。具体的に何をするかはまだ言えませんが、皆さんにワクワクしていただけるようなものをお届けできればと思います。

▲第1部の物語をさらに掘り下げ、新たな視点から楽しめるストーリー展開も本作の魅力のひとつ。

──:今後、スマートフォン版とコンシューマ版は、それぞれどのような役割を担っていくのでしょうか?

平澤:コンシューマゲームには、IPを広げ、ブランドを大きくしていく力があると思っています。今回はまず1本目を世に出すことを優先しましたが、今後さらに挑戦するのであれば、スマートフォン版で取り組んできたこと以上に、皆さんに驚いていただけるような大きな仕掛けを実現したいですね。

一方、スマートフォン版は来年4月に10周年を迎えます。長く遊んでくださっている方々にこれからも楽しんでいただけるよう、日々の生活の中で手元に寄り添うようなクオリティを大切にしながら、運営を続けていきたいと考えています。10周年に向けては、大きなイベントも準備しています。

──:両方を遊ぶことで楽しめるような仕掛けや、今後の連動については考えていますか?

平澤:両方を遊ぶと「少し得をする」くらいの、プレイしていて楽しい要素は出していきたいですね。いわゆるPay to Winのような形にはしたくないので、あくまでちょっとしたお楽しみの範囲で、両方をつないでいければと思っています。


▲仲間たちの内面をより深く知ることができる「親密度クエスト」も用意されている。

■平澤氏からファンへ――『アナザーエデン』のさらなる盛り上がりを目指して

──:最後に、実際に『アナザーエデン ビギンズ』を世に送り出した今だからこそ、ユーザーの皆さんに伝えたいことをお願いします。

平澤:皆さんの応援のおかげで、本作を世に出すことができました。実際に遊んでくださっているお客様の声や姿から、我々も本当に勇気をもらっています。

ここからさらに盛り上げていきたいですし、スマートフォン版も10周年を迎えます。『アナザーエデン』全体でこれからも大きく盛り上げていきたいと思いますので、引き続き応援をよろしくお願いいたします。

――:本日はありがとうございました。

(取材・文 編集部:山岡広樹)


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会社名
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設立
2004年12月
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