
『バイオハザード』シリーズの30周年を記念した展覧会「THE WORLD OF BIOHAZARD 30周年展」が、10月30日より東京・渋谷のBEAM Galleryで開催されている。
今回の展覧会では、シリーズの歴史を振り返る展示に加え、レオン・S・ケネディやアルバート・ウェスカー、オルチーナ・ドミトレスクといった人気キャラクターの造形物、映像演出など、ゲームとは異なるリアルの場ならではの体験を提供している。
gamebizでは、カプコン<9697>で『バイオハザード』シリーズのプロデューサーを務める川田将央氏にインタビューを実施。30周年という節目に展覧会を開催した経緯や、展示全体の構成に込めた意図、キャラクターの造形におけるこだわりなどを聞いた。さらに、長年にわたってシリーズが愛され続けてきた理由や、新たなファンに届けたい魅力についても語ってもらった。
なお、プレス発表会の模様や、登壇した狩野英孝さんへのインタビューについては、それぞれ別記事で紹介している。
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■30周年の節目に「形に残る展示」を――展覧会を開催した経緯と狙い
――:今回、『バイオハザード』シリーズ30周年の企画として展覧会を開催することになった経緯を教えてください。
川田将央氏(以下、川田):これまで周年に合わせてさまざまな企画を実施してきましたが、展覧会という形式で形にしたことはありませんでした。30周年はやはり大きな節目だと思っていますので、とにかく形に残る何かを展示したいと考えたことが、今回の企画のきっかけです。
――:本展覧会では、ゲームとは異なるリアルな空間での演出や体験が用意されています。来場者にどのようなことを感じてもらいたいと考えていましたか?
川田:一番感じてほしいと思ったのは、過去の自分の記憶との対峙です。
ゲームの中で遊んでいたキャラクターたちが、今回は実物として目の前に存在している。その状況そのものを、まずは楽しんでいただきたいと思っています。
▲カプコン『バイオハザード』シリーズプロデューサーの川田将央氏。
■『バイオハザード』とは何だったのか――シリーズを分解・再構成した展示のこだわり
――:映像や造形物、シリーズの歴史を振り返るパネルなど、さまざまな展示があります。全体の構成を考えるうえで、こだわったポイントを教えてください。
川田:単にタイトルを順番に並べることはしていません。もう一度「『バイオハザード』とは何だったのか」を咀嚼し、分解して、再構成したうえで、皆さんに見てもらいやすい形に展示できたことが、今回の展覧会の意義だと思っています。
――:普段はデジタルのゲームを制作されていますが、今回のようにリアルの場で演出を考え、形にすることには、ゲーム制作とは異なる難しさや面白さがあったのでしょうか?
川田:もちろん、ゲームのデータを引っ張ってくる部分もあります。ゲーム制作の場合は、何もないところから一つひとつ作り込んでいく苦労があると思います。
一方で、今回のような展示では、それを物理的に目の前に存在させることが重要になります。例えば、ドミトレスクの巨大さをどのように表現するのかという部分は、今回の展覧会ならではの醍醐味ではないでしょうか。
まずは実際に自分の目でさまざまな展示を見ていただき、「本当に存在したらこういうふうに見えるんだ」ということを実感してもらえたら嬉しいですね。
▲これまでシリーズに登場した「ウイルス」「寄生生物」「特異菌」など、“生物災害とは何なのか”という視点から展示が考えられている。
■ウェスカーの冷静さ、ドミトレスクの優雅さ、そして人間らしいレオン――造形に込めたキャラクター表現
――:今回、レオンやウェスカーなど、シリーズの人気キャラクターの造形物も展示されています。それぞれの「キャラクターらしさ」は、どのように表現されたのでしょうか?
川田:ウェスカーであれば、冷静沈着でクールな雰囲気を大切にしました。
ドミトレスクは、巨大さはもちろんですが、同時に優雅さも表現できているのではないかと思います。
▲かつてプレイヤーの前に立ちはだかった強大な敵たち。彼らが持つ威圧感や凄みがリアルに再現されており、作中で受けたプレッシャーをそのまま感じることができる。
川田:レオンについては、『バイオハザード RE:2』などに登場する若い頃の姿ではなく、人生を重ねて現在に至ったキャラクターとして作り上げています。少し疲れた感じも含めて、より人間らしいレオンを表現できたのではないでしょうか。
▲新米刑事の頃のレオンではなく、ラクーン事件を経て成長したレオンの姿が描かれている。
■ホラーだけではないサバイバルホラーの魅力――シリーズが長く愛され続ける理由
――:これまで『バイオハザード』では、舞台や登場人物はもちろん、恐怖の感じさせ方についてもさまざまな試みが行われてきました。川田さんご自身は、シリーズの魅力をどのように捉えていますか?
川田:サバイバルホラーという形式は、ほかのゲームにはない大きな特色だと思います。ホラーでありながら、怖いだけではなく、敵に対して自分から攻撃を仕掛けることもできる。そういった部分が、実は『バイオハザード』らしさにつながっているのではないでしょうか。
そうした基本コンセプトを踏襲しながらも、タイトルごとに独自の面白さを常に提案できてきたことが、シリーズが長く続いている要因であり、多くの方に愛されている理由だと思います。
もちろん、魅力はゲームの中身だけではありません。キャラクターやシナリオも、ファンの皆さんに受け入れられている部分だと思います。ただ、ゲームとして長く続いてきたのは、やはりゲームシステムや面白さを突き詰めてきたからではないかと考えています。
――:長年シリーズを遊んできたファンにとっては懐かしい展示が並ぶ一方、近年の『バイオハザード レクイエム』などをきっかけにシリーズに触れた新しいファンもいると思います。そうした方々に過去の作品の魅力を伝えるため、意識したことはありますか?
川田:先ほどお話しした造形物もそうですが、一目見て「これは何だろう」と興味を持ってもらえる良さがあると思います。
音楽についても、今年開催されたオーケストラコンサートの模様を一部、今回の展覧会で国内初公開しています。
そうしたさまざまな『バイオハザード』の要素を満遍なくご覧いただける構成になっていますので、展示を見ていく中で「あ、こういう魅力もあるんだ」と気に入っていただけるのではないでしょうか。
「こういうのも『バイオ』なんだ」というところを、ぜひ自分の目で確かめていただきたいですね。
▲来場者にとっても、まだ知らない『バイオハザード』の一面を見られると共に、改めて「『バイオハザードとは何なのか」を見つめ直せる展覧会となっている。
■新旧ファンに届けたい『バイオハザード』の魅力 30周年を迎えたファンへのメッセージ
――:最後に、これから来場するファンに注目してほしいポイントや、シリーズ30周年という節目にファンへ伝えたいメッセージをお願いします。
川田:まずは「『バイオハザード』30周年展とは何だろう」ということを、皆さん自身の目で見ていただきたいと思っています。
30年続けていくことは、決して簡単なことではありません。その大きな流れの中には、皆さんに面白いと思っていただける『バイオハザード』がきっとあると思います。
もし機会があれば、ゲームをはじめ、さまざまなメディアで展開している『バイオハザード』に触れるきっかけになっていただければ嬉しいですね。
――:本日はありがとうございました。
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(取材・文 編集部:山岡広樹)
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会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1953億6500万円、営業利益752億9500万円、経常利益741億3400万円、最終利益545億8700万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697


