
IGポート<3791>は、10月15日、2027年5月期第1四半期(6月~8月)の連結決算を発表し、売上高33億600万円(前年同期比7.9%増)、営業利益3億4200万円(同74.1%増)、経常利益3億8400万円(同81.7%増)、最終利益2億9000万円(同45.8%増)と大幅増益を達成した。映像制作事業が増収となり、前年同期の営業損失から黒字転換したことが主な増益要因となった。
【第1四半期決算の概要】
・売上高:33億600万円(同7.9%増)
・営業利益:3億4200万円(同74.1%増)
・経常利益:3億8400万円(同81.7%増)
・最終利益:2億9000万円(同45.8%増)
■映像制作事業が黒字転換、予算増額も寄与
映像制作事業の売上高は22億5000万円(同18.9%増)、営業利益は2億7600万円となった。前年同期は1億3600万円の営業損失を計上しており、損益が大幅に改善した。
同事業では、「デモンズ・クレスト」など複数作品の制作に加え、予算交渉を進めていた作品の予算増額が反映され、増収増益となった。会社によると、下期に予定していた制作予算の増額交渉が前倒しで妥結したこともあり、第1四半期の業績は当初計画を上回った。もっとも、通期業績への影響はなく、計上時期が前倒しになったものと説明している。
制作面では、テレビ用アニメーション「左ききのエレン」「花ざかりの君たちへ」などのほか、配信用アニメーション「THE ONE PIECE」の納品が始まり、テレビ放映や配信に向けた展開が進んだ。また、劇場用アニメーションでは「劇場版ハイキュー!! VS 小さな巨人」「怪獣8号 完結編」などの制作を進めている。
一方、一部作品では制作期間の長期化に伴う人件費の増加や外注費の高騰が発生しており、受注損失引当金を計上した。事業全体では黒字転換を果たしたものの、作品ごとの採算管理は引き続き課題となる。
■版権事業はシリーズ作品の端境期で減収減益
版権事業の売上高は3億8600万円(同22.7%減)、営業利益は9000万円(同72.1%減)となった。会社は、シリーズ作品の端境期に当たることがの減収減益の要因と説明している。また、売上高の減少に加え、映像マスター償却費(作品出資金)の増加も利益を押し下げた。
ただし、期初計画との比較では、端境期にありながら過去シリーズ作品の版権売上報告が好調に推移し、営業利益ともに計画を上回った。
タイトル別では、「進撃の巨人」シリーズが版権事業売上高の17.5%を占めたほか、「ハイキュー!!」シリーズが14.5%、「SPY×FAMILY」シリーズが8.9%となった。「進撃の巨人」シリーズの海外販売・国内配信収入や、「ハイキュー!!」シリーズの国内商品化・配信収入、「SPY×FAMILY」シリーズの海外番組販売・国内配信収入などが売上に貢献した。このほか、「攻殻機動隊」シリーズの国内商品化・海外販売収入、「甲鉄城のカバネリ」の国内遊技機化収入など、過去シリーズ作品も好調に推移した。
前年同期との比較では大幅減益となったものの、既存作品からの収益が一様に落ち込んでいるわけではなく、作品展開のタイミングが業績に影響した格好だ。
■出版事業は減収減益、商品販売事業は費用先行
出版事業の売上高は5億3600万円(同3.4%減)、営業利益は8000万円(同10.9%減)となった。コミックス・書籍47点を刊行し、4月からテレビアニメが放送された「リィンカーネーションの花弁」は、電子書籍の新刊・既刊ともに売上に貢献した。一方、紙書籍を含めた全体の売上高は、刊行スケジュールの影響もあり前年同期を若干下回った。
商品販売事業は、売上高6400万円(同34.1%増)となった。「ハイキュー!!」「進撃の巨人」関連商品がポップアップストアやテーマカフェで好調に推移したほか、I.G & WIT Anime Studio Storeへの卸売りも行った。ただし、新商品開発費用が先行したことで、営業損失は4100万円と前年同期の1900万円から拡大した。
■2027年5月期の見通し
2027年5月期の連結業績は、売上高145億7800万円(前期比3.7%増)、営業利益5億7900万円(同24.3%減)、経常利益5億4600万円(同40.6%減)、最終利益3億1100万円(同53.5%減)、EPS15.56円を見込む。業績予想に変更はない。
・売上高:145億7800万円(同3.7%増)
・営業利益:5億7900万円(同24.3%減)
・経常利益:5億4600万円(同40.6%減)
・最終利益:3億1100万円(同53.5%減)
・EPS:15.56円
第1四半期の通期計画に対する進捗率は、売上高が22.7%、営業利益が59.1%、経常利益が70.3%、最終利益が93.2%となった。利益面では高い進捗率となっているが、映像制作事業では下期に予定していた制作予算の増額が前倒しで反映されたこともあり、会社は通期予想を据え置いた。
【通期計画に対する進捗率】
・売上高:22.7%
・営業利益:59.1%
・経常利益:70.3%
・最終利益:93.2%
通期のセグメント別計画では、映像制作事業は売上高95億7100万円、営業利益2700万円を見込む。粗利率の高い作品の稼働などにより、前期の営業損失から黒字転換する計画だ。一方、版権事業はシリーズ作品の端境期を想定し、売上高17億4300万円、営業利益3億3300万円を見込んでいる。
■今後の作品展開にも注目
説明資料では、今後の作品展開として、シリーズ作品では「劇場版ハイキュー!! VS 小さな巨人」「ハイキュー!! バケモノたちの行くところ」、テレビアニメでは「真・侍伝 YAIBA」などを紹介した。また、「怪獣8号 完結編」の制作も決定している。
配信・放送中の作品としては「リラックマ」「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」「怪獣8号」などを掲載。制作中の作品では、「デモンズ・クレスト」が11月6日からPrime Videoで世界独占配信、「THE ONE PIECE」がNetflixで2月に世界配信を開始する予定としている。このほか、「LONA」の春放送や、「宇宙戦艦ヤマト√2199」の制作なども紹介した。
「宇宙戦艦ヤマト√2199」については、投資家からの問い合わせに回答する形で、前期の決算説明資料に記載した大型出資作品のパイプラインのうち、「超大型SF作品①」に該当すると説明。子会社のプロダクション・アイジーがスタジオカラーと共同制作し、中長期的な業績への寄与を見込んでいる。中期経営計画にも織り込み済みとしている。
映像制作事業の黒字転換により大幅増益となった今回の第1四半期決算。一方で、版権事業はシリーズ作品の端境期にあり、通期でも減収減益を見込む。今後は、制作事業の採算改善を維持できるかに加え、既存シリーズ作品の二次利用収入や新作の展開が、各事業の収益にどう結びつくかが注目される。
通期予想据え置きの意味を強める四半期進捗と通期利益を整理する
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会社情報
- 会社名
- 株式会社IGポート
- 設立
- 1987年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 石川 光久
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高140億6400万円、営業利益7億6600万円、経常利益9億2000万円、最終利益6億6900万円(2026年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3791