
ドリコム<3793>は、10月29日、2027年3月期 第2四半期累計の連結決算を発表し、売上高83億2800万円(前年同期比1.1%増)、営業利益6億5900万円(前年同期は5億7400万円の損失計上)、経常利益5億9500万円(同6億1600万円の損失計上)、最終利益5億0200万円(同23億6200万円の損失計上)と増収・黒字転換となった。
・売上高:83億2800万円(同1.1%増)
・営業利益:6億5900万円(同5億7400万円の損失計上)
・経常利益:5億9500万円(同6億1600万円の損失計上)
・最終利益:5億0200万円(同23億6200万円の損失計上)
主力ゲームタイトルが堅調に推移したことに加え、決済手数料率の低下や広告宣伝費の効率的な運用などが利益改善に寄与した。こうした上期の実績と足元の進捗を踏まえ、同社は2027年3月期の通期業績予想を修正し、営業利益を従来の10億円から13億円へ引き上げた。
■『Wizardry Variants Daphne』が好調、ゲーム事業の収益性が改善
ゲーム事業の上期売上高は78億9000万円となり、前年同期の79億3700万円から0.6%減少した。一方、セグメント利益は11億5900万円となり、前年同期の1億1400万円の損失から大きく改善した。
売上高には、前期末にゲーム事業の子会社2社を売却した影響があった。売却した子会社が運営していたタイトルの売上高は、前期上期に約6億6000万円あったという。
既存タイトルでは、主力の2タイトルが堅調に推移した。なかでも『Wizardry Variants Daphne』は、上期売上高が前年同期比12.9%増となった。8月には全世界累計400万ダウンロードを突破。第2四半期には初となる他社IPとのコラボレーションを実施し、周年施策がない時期の売上を下支えした。
同作は10月15日から2周年施策を開始しており、10月1~28日の売上速報値は15億円と、前年同期の12億9000万円から16%増加した。会社は2周年施策の滑り出しが好調として、過去最高の月次売上を見込んでいる。
他社配信の主力IPタイトルも前年同期を上回って推移したほか、不採算タイトルの赤字幅も縮小した。
利益面では、主力タイトルの売上に加え、決済手数料率の低下が継続したことも寄与した。前年同期に計上した減損損失がなくなったこともあり、ゲーム事業全体の収益性が改善している。
■コンテンツ事業は増収、IP創出・育成への投資を継続
コンテンツ事業の上期売上高は4億3800万円(前年同期比35.4%増)となった一方、セグメント損失は5億円(前年同期は4億5900万円の損失)となった。
出版事業では、上期にコミック17点、ノベル8点の計25点を刊行し、前年同期と同水準の刊行を維持した。MD(マーチャンダイジング)事業では他社IPを中心としたグッズ販売が伸長し、アニメ事業でも収益が増加したことから、全体では増収となった。
一方、出版・アニメ・MD事業やテクノロジーを活用した新サービスの開発など、新規事業領域への投資が続いている。アニメ作品の出資金に関する償却費も発生し、セグメント損失は前年同期から拡大した。
同社は中期的な成長に向け、出版やゲームなどからIPを創出し、アニメ化やグッズ展開などを通じて育成・収益化する体制の構築を進めている。今回の赤字拡大についても、こうした事業基盤の整備やIPの創出・育成に向けた投資が先行している状況といえる。
■2027年3月期の見通し
2027年3月期の業績は、売上高175億円(前期比0.3%減)、営業利益13億円(同218.1%増)、経常利益11億5000万円(同260.6%増)、最終利益9億円(同321.2%増)、EPS31.68円を見込む。株価収益率は15.4倍となる。
・売上高:175億円(同0.3%減)
・営業利益:13億円(同218.1%増)
・経常利益:11億5000万円(同260.6%増)
・最終利益:9億円(同321.2%増)
・EPS:31.68円
【通期計画に対する進捗率】
・売上高:47.6%
・営業利益:50.7%
・経常利益:51.7%
・最終利益:55.8%
期初予想との比較では、売上高を180億円から175億円に引き下げる一方、営業利益は10億円から13億円へ30.0%増額修正した。経常利益は9億円から11億5000万円へ27.8%、最終利益は6億円から9億円へ50.0%それぞれ引き上げた。1株当たり配当予想は5円で据え置いた。
売上高については、自社配信タイトルが堅調に推移したものの、上期の売上が想定を下回ったことなどを踏まえ、通期計画を見直した。一方、他社配信の主力タイトルは想定を上回って推移している。
利益予想の上方修正については、売上構成の変化や決済手数料の減少による採算性の向上に加え、広告宣伝費の効率的な運用によって上期の営業利益が想定を上回ったことが主な要因となった。
上期の通期計画に対する進捗率は、売上高が47.6%、営業利益が50.7%、経常利益が51.8%、最終利益が55.8%となった。
ただし、下期は『Wizardry Variants Daphne』の2周年施策による利益の積み上げを見込む一方、第4四半期にかけてIP創出・育成への投資を継続する方針だ。PC・コンソールゲームなどの開発本格化に伴い、研究開発費も増加する計画としている。
■2031年に向け、継続的なIP創出・育成の仕組みを構築へ
同社は中期的な成長戦略として、2031年3月期までの5年間で、新規タイトルのヒットに依存する事業構造から脱却し、継続的にIPを創出・育成する仕組みの構築を目指している。
ゲーム事業では、運用型モバイルゲームで収益基盤を強化するとともに、PC・コンソールゲームの開発・パブリッシングを通じた新たなIP創出に取り組む。インディーゲームスタジオ「DRECOM CREATORS STUDIO」では、上期にパブリッシュ3タイトルを発表し、開発中タイトルは5本となった。
出版事業でも、新たなノベル・コミック作品の創出を進めている。上期にはノベル4シリーズ、コミック8シリーズを創出し、期末に向けて刊行を増やす計画だ。
また、「Wizardry」ブランドについては、ゲームだけでなく、ノベル・コミックやアニメ、グッズなどへの展開を通じて経済規模の拡大を目指す。同社は「Wizardry」関連売上高が2026年3月期に約48億円となったと説明しており、今後5年間で100億円規模の広告費などを投じる方針も示している。
中長期のKPIとしては、売上高の年平均成長率20%以上、営業利益率15%以上を掲げる。既存ゲーム事業の効率化によって収益性を高めながら、ゲームや出版から新たなIPを生み出し、メディアミックスを通じて育成・収益化する体制を整えていく考えだ。
上期は主力ゲームの収益改善によって黒字転換を果たし、通期利益予想も上方修正した。今後は既存タイトルの収益力を維持しながら、先行投資を進めるゲーム・コンテンツ領域でどのように新たなIPを生み出し、将来の収益源へと育てていくかが、中長期の成長を左右することになりそうだ。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高175億4700万円、営業利益4億800万円、経常利益3億1800万円、最終利益2億1300万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793