グリー<3632>は、本日(11月14日)、第1四半期(7~9月期)の連結決算を発表し、売上高379億3500万円(前四半期比5%減)、営業利益157億5000万円(同17%減)、経常利益152億5000万円(同17%減)、四半期純利益90億6900万円(同26%減)だった。2四半期連続での減収減益となった。
また同日、決算説明会も開催した。グリーの田中良和代表取締役社長と、コーポレート本部長の秋山仁氏が第1四半期の決算の内容や今後の戦略について説明を行った。今回の記事では、その模様をお伝えしよう。
同社では、売上高については、前四半期を下回ったものの、月次ベースではゆるやかに回復基調に転じた、としている。田中社長は、席上、「6月いっぱいコンプガチャなどの問題に社内リソースを使ってしまったため、売上に影響が出た。しかし、改修が完了した7月、8月にはサービスの改善にリソースを割り当てることができたため、既存タイトルの売上が回復基調に転じてきた。新規タイトルも寄与した」と説明している。
サービス別の売上高については、有料課金収入が346億0100万円(同5%減)、広告メディア収入が33億3400万円(同8.3%減)だった。広告メディア収入の下落については、スマートフォン向けの広告が堅調に推移したものの、フィーチャーフォン向けの広告の落ち込みがカバーできなかったことが主な要因だった。
費用面では、開発スタッフなどの人件費が増加したことに加え、海外向けの人員を増やしたこと、Funzio買収に伴う人員増などが費用の増加要因となった。また賃借料が前四半期に比べて減ったが、これは前四半期にデータセンター増強などに投資したことで一時費用が発生したことによる。
■2013年6月期の見通し
2013年6月期は、売上高1950~2050億円(前期比23.2~29.6%増)、営業利益740~840億円(同10.6%減~1.5%増)、経常利益740~840億円(同9.7%減~2.5%増)、当期純利益460億円(同4.1%減~8.4%増)を見込む。
第2四半期以降は、ブラウザアプリについては「IPの活用」、ネイティブアプリのラインナップ拡充、ユーザーリーチの拡大を重点施策にする方針。第1四半期の数字を4倍しても予想の数字に到達しないが、3つの施策を重点的に行うことで第2四半期以降、再び収益を拡大させていく考えだ。
まず有力IPについては、スクウェア・エニックスの「すばらしきこのせかい」や「ファイナルファンタジー」、「メタルギア」といった人気家庭用ゲームソフトのソーシャルゲーム化を行なっていく。
ネイティブアプリについては、ポケラボとの協業を行なっていく。ランキング上位のさらなる占有や、ユーザー資産とノウハウの共有、開発チームの連携でシナジーを生み出していく。
ユーザーリーチについては、国内ではヤフーとの戦略的提携があげられる。「Yahoo!Japan」のトップページから「GREE」のソーシャルゲームへのユーザーの誘導や、決済手段のひとつとして「Yahoo!ウォレット」などを導入する。ディー・エヌ・エーとヤフーが同じく提携するが、提携内容は発表したものと変わりはないとのこと。
海外展開については、新作ソーシャルゲームとして、「Monster Quest」と「MLB FULLDECK」をリリースした。田中社長は、速報値のため数字は開示しなかったが、いずれも過去最大級のKPIになっていることを明らかにした。これまでリリースしたタイトルでの経験を生かせているという。
このほか、韓国での事業展開も本格化する。「運命のクランバトル」の事前登録の受付を行っているほか、Funzioの「Modern War」の韓国版もリリースする計画。こちらについては「今月か来月中にも提供できる見通し」(田中社長)。
海外事業については、第2四半期以降、収益性は改善していく見通し。一部地域については、第4四半期には、損益分岐点を越えるところも出てくるかもしれない、とのことだった。
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632