【エイチーム決算説明会③】エンタメ、ライフ両事業で過去最高の四半期売上高を達成 事業拡大で名古屋オフィスは「半フロアを増床」(林社長)へ


エイチーム<3662>は、3月10日、東京都内で2017年7月期の第2四半期の決算説明会を開催した。説明会に先駆けて発表された2017年7月期の第2四半期累計(8~1月)の連結決算は、売上高152億8300万円(前年同期比52.4%増)、営業利益10億2200万円(同53.7%増)、経常利益10億7100万円(同76.7%増)、四半期純利益6億7600万円(同2.1倍)と大幅な増収増益を達成した。

説明会では、同社の林高生社長が決算概要やセグメント別の事業状況、足元第3四半期の進捗などの説明を行った。今回はその会見の様子をまとめてみた。
 

■プロモ費用をこなしてQonQで大幅な増益を達成


まずは、第2四半期期間(11~1月)の業績を四半期推移(QonQ)で見ると、売上高は前四半期14.2%増の81億4700万円、営業利益は同2.4倍の7億2900万円、経常利益は同2.6倍の7億7900万円、四半期純利益は同3.8倍の5億3800万円となった。売上高は四半期ベースで過去最高を更新しており、特にエンターテインメント事業(以下、エンタメ事業)が大幅に売り上げを伸ばす形となっている。
 

続いて広告宣伝費の四半期推移を見てみると、エンタメ事業は年末年始のプロモーションや『ヴァルキリーコネクト』(以下『ヴァルコネ』)の海外展開、『放課後ガールズトライブ』(以下『ガルトラ』)の立ち上げに費用がかかったことで、大幅に増加した前四半期比と比べて微減。にとどまっている。さらにライフスタイルサポート事業(以下、ライフ事業)で、ブライダル事業のブランド名を「ハナユメ」に変更したことに伴う「認知度向上のためのプロモを実施した」(林社長)ことにより増加しており、トータルで四半期ベースの過去最高を更新している。つまり、こうした費用を消化したうえで、この四半期は営業利益を2四半期前とほぼ同水準まで回復させたことになる。
 

次に人員数の四半期推移は、ライフ事業の人員数が順調に増加し、第2四半期は前四半期比22人の増加となっている。なお、中途採用については「毎月10~15名、多くて20名くらいが入社している」(同)とのことだ。
 
 

■エンタメ事業、ライフ事業ともに過去最高の四半期売上高に


セグメント別の状況を見てみよう。まずはエンタメ事業だが、こちらは『ガルトラ』が課金開始以降の20日ちょっと分寄与する形になっている。また、『ヴァルコネ』の海外展開が順調に立ち上がっていることも大きく寄与し、売上高・営業利益ともに四半期ベースで過去最高を更新した。「複数のタイトルで売り上げを作っていくことや、長く遊んでもらうことのノウハウができてきた」(同)としていた。

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続いてライフ事業は、引越し事業と自動車関連事業が好調で、こちらも過去最高の四半期売上高を達成した。ただし、利益面については前述の認知度向上のためのプロモの費用が膨らんだこともあり、QonQで減益となっている。また、ブライダル事業において、式場との契約の料金体系を成功報酬型に変更し、「式場ごとに複雑化してきたものを綺麗に整理した」(同)という。
 


EC事業は、自転車販売の季節要因もあって、QonQでは減収となっている。ただ、これから迎える繁忙期に向けて、物流組み立て拠点を神戸に開設するなど体制作りが着々と進められている。
 
 

■事業拡大で名古屋オフィスを増床へ


第3四半期の進捗は、エンタメ事業は『ヴァルコネ』で「Fate」とのコラボ、『ユニゾンリーグ』も「エヴァンゲリオン」との復刻コラボを実施するなど、有力IPとのコラボイベントを展開している。ライフ事業は、引越し事業とブライダル事業で引き続き積極的なプロモーションを展開しているほか、ブライダル事業は3月に渋谷ヒカリエで関東初の大型ウエディングイベントを開催した。EC事業は自転車販売の繁忙期が新生活の始まる4月以降となることから、3月は第2四半期に続き繁忙期に向けた準備が進められている。

なお、事業拡大に伴う人員確保のため、名古屋オフィスの増床と設備投資が予定されており、名古屋オフィスは「現在の2フロアをさらに半フロア増床する予定」(同)だという。


■上期は予想上回るも通期予想は据え置き


なお、2017年7月期通期の連結業績予想は、売上高320億円(前期比39.3%増)、営業利益33億円(同49.1%増)、経常利益32億5000万円(同55.2%増)、当期純利益21億5000万円(同66.3%増)の見込み。第2四半期は売上高、利益ともに予想を上回って着地したものの、現時点では不確定要素が大きく、従来予想を据え置くとしている。

エンタメ事業の新作『ガルトラ』は「KPI上で目標設定しているものに届いていないものがあった。いったん中身の立て直し、拡充を図っている」(中内之公取締役エンターテインメント事業本部長)とのことで、この結果も下期の業績に影響してくることになりそうだ。
 
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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