上場から4年で売上・営業利益が5倍に成長したアカツキ、「ゲームを軸としたIPプロデュースカンパニー」としてさらなる高みへ



アカツキ<3932>は、5月13日、2020年3月期の連結決算を発表するとともに、決算説明資料を公開した。同社が株式公開を行ったのは2016年3月だが、そこからわずか4年間で、会社としては大きく成長した。収益規模を見ると、2016年3月期の売上高は59億円、本業の儲けを示す営業利益は21億円だったが、2020年3月期には売上高は320億円、営業利益は110億円に到達した。売上高、営業利益ともに5倍超になった。
 


上場からの振り返りを行いつつ、今後の成長戦略を明かした。同社では、上場時、特定のタイトルに頼る「一本足打法」ではなく、複数のタイトルで収益構造を強化してゲーム事業を成長させつつ、収益の柱を育てるための投資を行っていく戦略を立てていた。ゲームに関してはイメージ通りの展開となったが、リアルエンタメやeSportsなどは経験不足もあって苦戦したという。
 


今後の中長期のゴールとして、「ゲームを軸としたIPプロデュースカンパニー」を掲げた。ゲームを軸として、IPの創出と育成を行いつつ、アニメやライブ、映画、出版などメディアミックス展開でライツビジネスを拡大させていく考えだ。
 


主軸となるのはモバイルゲーム。自社IPだけでなく、他社IPを活用したゲームを開発し、国内だけでなく、海外展開も一層強化し、長期運用を目指していく。成熟化が指摘されるモバイルゲーム市場だが、日本以外の他の先進国市場や新興国市場の立ち上がりなど成長余地はまだ大きく、収益機会はまだまだあると考えているそうだ。IPを深く理解し、そのIPに適したゲーム開発・運用ができる強みを生かしていく。
 


また創業10年目を迎えることもあり、経営体制も変わる。共同創業者の香田 哲朗氏が社長に就任するとともに、Executive Leadership Team(ELT)を新設し、事業戦略を遂行していく。以下、6つの重点領域に関して機動的な執行と意思決定を行うとともに、企業価値の最大化に責任を持つことで、取締役会と相互発展型のチーム経営を実現していく。
 


<基盤事業として強化する領域>
A) 他社IP及び自社IPモバイルゲームの開発運営の強化
B) モバイルゲームのグローバル展開の強化

<価値創造のための挑戦領域>
C) IP創出への挑戦
D) 新しいゲーム体験創出への挑戦

<経営基盤の強化>
E) 技術力・開発体制の強化
F) コーポレート機能の強化
 


なお、塩田氏は、アカツキから離れるのではなく、今後、非常勤取締役兼ハートドリブンコーチとして、メンバーのコーチング・サポートや企業文化の醸成などに引き続き関わっていく予定だ。加えて、アカツキ外でも「A Heart Driven World.」の実現に向け活動していくとのこと。
 


最後に、発表された決算を見ていこう。2020年3月期は、売上高が前の期比13.9%増の320億4800万円となった。『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』がストアセールスランキングで首位を獲得したほか、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』が通年で収益貢献した。さらに『UNI’S ON AIR』も貢献し始め、複数タイトルによる収益構造ができあがった。
 


営業利益については、同18.9%減の110億5300万円となった。これについては、新作ゲームの開発投資に加えて、新規事業への投資、インフラ投資などを行ったことが響いたとのこと。
 


なお、第4四半期(2020年1~3月)の状況や、新作パイプラインなどについては別途、記事にしているので、関連記事を確認していただけると幸いだ。


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(編集部 木村英彦)
株式会社アカツキ
http://aktsk.jp/

会社情報

会社名
株式会社アカツキ
設立
2010年6月
代表者
代表取締役CEO 香田 哲朗
決算期
3月
直近業績
売上高243億3600万円、営業利益57億円、経常利益52億700万円、最終利益13億4200万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3932
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