ゲームだからこそ展開できる新エピソードに期待大!『コードギアス Genesic Re;CODE』総監修を務める谷口監督&脚本家・大河内氏インタビュー


2006年にTVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』が放送されて以来、OVA『コードギアス 亡国のアキト』といったスピンオフやコミック、ミュージカルなど様々なコラボを展開してきた「コードギアス」シリーズ。
 
 2019年には劇場版三部作『コードギアス 反逆のルルーシュ I 興道』、『II 叛道』、『III 皇道』に続く『復活のルルーシュ』が公開され、多くのファンの話題を呼んだのは記憶に新しいところだ。
 
 そして来る2021年、「コードギアス」シリーズが15周年を迎えることを記念し、「コードギアス Next 10 years Project」が発表された。様々なプロジェクトが開始される中、スマートフォン向けゲーム『コードギアス Genesic Re;CODE(ジェネシックレコード)』がリリースされることも明らかになった。  
アニメ作品のゲーム化について谷口悟朗監督は、ゲームだからこそ表現できる物語も多いと話す。シリーズ15周年を記念した「コードギアス」シリーズの最新ゲームは、いったいどのような内容となっているのか。谷口悟朗監督と、脚本家の大河内一楼氏にインタビューを行ったので、その内容をお届けしよう。
 

●谷口悟朗監督インタビュー

 

▲谷口悟朗監督

——:「コードギアス」新プロジェクトについて、お話を聞いた際の心境や、印象についてお聞かせください。
 
 実は、今までシリーズファンの方々が集まれるような空間を、公式でご用意することができていなかったんです。確かにホームページやTwitterなどは存在するのですが、公式サイトを何度もアクセスすることは無いと思いますし、Twitterでは情報がファンの目に留まらないまま流れてしまう恐れもあります。

今回、ゲーム化を含め様々なプロジェクトを通してファンが集まれる空間を提供できるということで、シリーズ化を前提としたプロジェクトを立ち上げた身としては大変嬉しく思っています。


——スマートフォンゲームについて、どのような展開に期待していますでしょうか。

本作は、シリーズファンはもちろん、シリーズ未体験の方々にも向けた内容となっています。なので、ゲームをプレイして頂いた方の100人に1人……、いや、2人でも3人でも良いので(笑)、アニメやコミックにも興味を持って頂ければ嬉しいです。

——ゲームを体験したプレイヤー中から、オリジナルのストーリーに興味を持つ方も多いと思います。一方、ファンにとっては、スピンオフなど様々なシリーズとの繋がりを楽しみにされている方も多いですよね。

そうですね。シリーズのキャラクターたちが本作でどのような登場をするのか、私自身も非常に楽しみにしているところです。アキトや蓮夜、オルドリンなど、一体どんなパラメーターになるんだろう(笑)。

——確かに、気になるポイントですね(笑)。「コードギアス」シリーズのコラボといえば、以前に「スーパーロボット大戦」シリーズにも参戦したことがありました。

『スーパーロボット大戦』では、ルルーシュといったキャラクターたちやナイトメアフレームが実際に動いている姿を見て、思わず感動してしまいました。作品が自分の手から離れ、他のスタッフの方々が一生懸命に手を加えて下さるというのは本当にありがたいですし、嬉しいことなんです。

『機動武闘伝Gガンダム』が『スーパーロボット大戦』に初めて参戦したときも、「自分が考えた技がゲームで使えるんだ!」と、面はゆい気持ちになってしまいました(笑)。

ゲ—ムに限らず、舞台版の「コードギアス」作品もそうです。自分たちが作ったキャラクターを、役者さんたちがステージ上で演じられているのを観るのは、何とも感慨深い気持ちになります。
 
 
——谷口監督は、普段からよくゲームをプレイされるのでしょうか?

PC88からスーパーファミコン、プレイステーションなど、その時代を代表するハードを嗜んでいました。今ではスマートフォンゲームが、ひとつの主流ですよね。スマートフォンゲームは短時間でプレイできるといった特徴や、ユーザーに向けて様々なサービスをリアルタイムで提供しやすいといった利点があります。

例えばアニメだと、ルルーシュとアキトが再会するシーンを作りたくても、時間的な辻褄が合わないなどの問題があり、展開作りが難しいんです。その点ゲームだと、コラボといった形で様々なシーンが容易に作成できるのが強みですね。また、TVを観ながらアプリを開くなど、色んな楽しみ方や接触の仕方があるのは、スマートフォンゲームならではの楽しみだと思います。

 
——「コードギアス」シリーズをゲームに落とし込む上で、難しく感じたことはありましたか?
 
アニメや漫画のゲーム化というと、一昔前では“いかに原作を忠実に再現しているか”がひとつのポイントとなっていました。ですが、現在では内容が多少原作と異なっていたとしても、ファンの皆さまはアレンジとして許容してくださいます。ストーリーやキャラクターのエッセンスを、どのように扱われているかが重視されているような気がしていますね。
 
例えば、とあるアプリゲームについて知り合いのデータを見せてもらったことがあったのですが、編成しているチームが全部同じ声優さんが担当しているキャラクターだったんです(笑)。それはそれで一つの楽しみ方ですし、ユーザーの皆さまが自分なりの楽しみ方を発見できるのが一番だと思っています。

 
——ファンの方々には、ゲームを自由に楽しんで頂きたいということですね。
 
もちろん、基本となるのは原作のエピソードですが、原作に準じ過ぎていても仕方がないと思うんです。原作からどう発展していけるのか、遊び心加えられるかが大事なポイントなので。

シェイクスピアの作品でも、舞台を現代に置き換えるといったアレンジがありますよね。そういったアレンジによって、当時のテーマ性や特徴な部分が分かりやすく、より強調されて映るんです。時代ごとに視聴者の流行りや楽しみ方は変わっていますので、変えるべき部分は変えた方が良いという考えですね。


——なるほど、ありがとうございます。監督は本作の仕上がりについて、どのような印象をお持ちでしょうか?
 
各スタッフとも、かなり頑張ってくれていると感じています。美術や色彩などをみると、ディティールに至るまでしっかりと作り込んでいる印象がありました。こんなに力を入れていただいて、感謝するとともに、申し訳ない気持ちになってしまったり……(笑)。

——「コードギアス」シリーズの15周年を記念した作品ということで、スタッフの中にもシリーズファンの方は大勢いらっしゃると思います。制作現場は、かなりの気合の入りようだったのではないでしょうか。

もしそうであれば、嬉しいですね(笑)。ただ、そういった現場に「原作者でござい」といった風に入っていくのは、スタッフを畏縮させてしまうだけで、何もプラスにならないと思っているんです。

企画の立ち上げの段階から過剰に介入してしまうと、設定が積み重なっていくだけで発展が無く、世界観に没入しづらい作品になってしまうんですね。なので、スタッフの皆さまには、なるべく自由に作品作りを行ってもらうようにしています。言ってしまうと、そういうことも演出です。

 

 ——ちなみに、監督が本作での登場を期待しているキャラクターは誰でしょうか?
 
 TVシリーズと『反逆のルルーシュ』のストーリーでは、最後まで生存しているキャラクターが違っていたりするんです。なのでスマートフォンゲームでは、例えばマオとシャーリーなど、ストーリーの統合性を無視したうえで、ごちゃ混ぜに登場ができるのは魅力ですね。

あとは脇役ながら、コルチャックという思い入れの強いキャラがいます(笑)。ギアスを使ったルルーシュに「ずっと腕立て伏せやってろ」って命令されたキャラなので、きっと今頃は上半身がムキムキに鍛えられているはずです。他にも学校の壁に傷をつけていた女の子。彼女とかがアプリを立ち上げると「プレイを初めて〇日目です!」など教えてくれると嬉しいですね(笑)。

 
——キャラクターたちがどのように活躍するのか、色んな想像が膨らんでしまいますね(笑)。最後に、ファンの皆さまに対してメッセージをお願いします。

「コードギアス」シリーズを15年応援してくださったファンの皆さま、本当にありがとうございます。シリーズ未体験の方は、ぜひともまずスマートフォンゲームをプレイして頂き、登場キャラクターにどのようなエピソードがあったのか、アニメやコミックに興味を持っていただければと思います。

ファンの皆さまが集まれる空間を提供できるというのは嬉しく、私自身もすごく楽しみにしています。本作を楽しんでいただければ幸いです。


——ありがとうございました。
 
 

●脚本家・大河内一楼氏インタビュー

 

 ▲大河内一楼氏
  
——「コードギアス」新プロジェクトについて、お話を聞いた際の心境についてお聞かせください。
 
今から10年前に、『コードギアス』を10年続けたいって言ったんです。それはあくまで希望で、保証も根拠も何もないものでした。でも、10年続けることができた。新プロジェクトの話を聞いたときは、「ああ、また新しい10年を始められるんだ」「本当に10年続けられたんだなあ」と感慨深かったです。

アニメのヒット作って色々ありますけど、それが10年以上続くのって本当に難しいんですよ。それは誰か一人が頑張れば実現することじゃなくて、好きになってくれたファンと、作品を作り続けてバトンを繋ぐスタッフがいないと実現しないんです。

あらためて、ずっと好きでいてくれたファンのみなさんと、様々な『コードギアス』を作ってくれたスタッフに大感謝です。


ゲーム化の話を聞いて、まず最初に、シナリオの書き手は、アニメ脚本家ではなく、ライトノベル作家がいいんじゃないかと提案しました。

僕自身、小説も脚本も経験したから思うのですが、小説と脚本って似てるようで随分違うんです。今回のゲームは、テキストを読ませるタイプだったので、これは小説家の方が向いてるだろうと思いました。

ライトノベル作家の方が、才能が豊富だというのもあります。ほとんどの方がオリジナルのストーリーを作った経験を持っていますし、人材の層も厚くて多い。投稿サイトや出版社の賞など、デビューの入口が本当に広いですからね。

具体的に作家名を挙げたりはしなかったんですが、集まってくれた作家名を見て驚きました。よくぞこんないい人たちを集めてくれたなって。参加してくれた作家さんたち、そして集めてくれたスタッフには、本当にありがとうって言いたいです。

  
 
——本作のストーリーについて、どのような展開を期待していますでしょうか。
 
集まってくれた作家さんたちの才能にまずは期待しています。自分とは別の個性をもった人たちなので、どんな風にギアスを書いてくれるのか?

それと、アニメは30分という枠があるのですが、こちらにはそういう制限がない。地の文があるので、キャラクターの内面もより掘り下げてもらえそうだし、ホラーやミステリ、ギャグなど本編にはなかったタイプのストーリーだって可能でしょう。

アニメ本編では出会わなかったキャラクターたちが、同じフィールドで活躍するというのも楽しみですね。彼らが出会うことで、どんな化学反応が起きるのか? もう期待することばっかりです。

 
——最後に「コードギアス」ファンに対して、メッセージをお願いします。
 
僕が初めて書いた「コードギアス」はTVシリーズでした。原作のないオリジナルだから、来週放映される展開を誰も知らない。それを、視聴者のみんなが予想したり驚いたりして盛り上がっているのがとても嬉しかったんです。

今回のスマートフォンゲームも、内容が定期的にアップデートされます。なので、TVシリーズみたいにリアルタイムで「次のアップデートどうなるかな?」「あのエピソード、もう見た?」みたいに盛り上がってくれると嬉しいですね。
 
今回のゲームは、「ギアス」が好きなスタッフの方が集まってくれています。最初のTVシリーズから見てくれた皆さんにとっては、あの瞬間、同じように「ギアス」を楽しんでいた、ある意味、仲間のような存在です。

好きになった要素、キャラクター、面白さなど、みなさんと共感できる書き手、ゲームスタッフがきっといると思います。

今現在も、ストーリーは次々と生み出されていて、毎回、原稿が上がってくるのを僕自身も楽しみにしています。このゲームが早くリリースされて、みなさんと一緒に楽しさを共有できること、感想を聞けることが、今から楽しみです。

 
——ありがとうございました。
(取材・写真・文:島中一郎)
 
 


『コードギアス Genesic Re;CODE』
 

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